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【赤】 従業員 ルミ[ 覗き込んだ彼の顔が僅かに歪んでいたから、 尚のこと声には窘める色が増した。 そもそも元凶は自分が盛った薬なのだけれど。 過去を搦めとることを望みながら、 いま大人になった彼を体を繋げようとしたのは 目的だけを考えればおかしな話だ。 ──閉じ込めて脅して洗脳でもする方が確実なのに。 心が駄目なら体だけでも、なんて有名で陳腐なフレーズ。 結局わたしは、過去だけ欲しかったんじゃなくて 今の自分の恋すら叶えてしまいたかった。 ] (*5) 2024/05/11(Sat) 8:40:39 |
【赤】 従業員 ルミ……だって、そうでしょ ずっと傷を抉って、死ぬまで覚えててくれるなら 未来も一緒にいられるんでしょう? [ だから全部、わたしのものだ。 過去も今も未来も貴方の全てを食べてしまって、 毒に依存して一緒にいようよ。 二人で死の幕が閉じるまで。 ] うん! わたしが食べる! だからずっと痛がってね、お兄さん。 ────他の人で痛くなくなったりしないでね。 [ あの頃よりも低い声。 もっと聞きたい、と欲が顔を覗かせる。 ] (*6) 2024/05/11(Sat) 8:40:44 |
【赤】 従業員 ルミ────約束だから、ね。 [ 本当は誰かと飲みに行くのも許したくないし、 何だったら仕事を辞めて貰いたいくらいなのだが。 朝から働く一般的な社会人の彼と、 会社員の退勤後から働く自分のすれ違いを思えば。 幸いなことに客はたくさんついているし ここに住んでもらえば生活に不自由はさせない。 考えれば考える程名案のような気がしてきて、 思考を割いている間に。 「ところで」と変わった話題へ一瞬ついていけず ぱちぱちと目を瞬かせる。 ] (*7) 2024/05/11(Sat) 8:40:50 |
【赤】 従業員 ルミ続き? [ 実際に腕を切る実演でも…? などとあらぬ誤解をしそうになったけれども、 その意味はすぐに理解出来た。 ] す、好きだもん! 好き、大好き、 嘘じゃない……ッ [ 本当は好きじゃない?という言葉に首を横へ振り、 縋りつくように彼の服を握り締める。 とんでもないあらぬ誤解だ。 女は好きな人とセックスさえ出来れば 無条件に興奮して濡れるタイプの性格ではない。 それ以前に、 ] (*8) 2024/05/11(Sat) 8:40:59 |
【赤】 従業員 ルミ……セックスって、濡れないのが普通じゃないの? いきなり挿れたがる人以外は 確かにローションとか使って慣らしてたけど……。 [ でもこの家には用意がない。 即物的なセックスなら無くてもいい、と思って。 けれど、今の彼と自分は、こいびとというやつで ──後ろ暗さも無くなった今 続きをしたい気持ちはあるのだけれども。 ] (*9) 2024/05/11(Sat) 8:41:13 |
【赤】 従業員 ルミちょっと痛かったけど……今はもう痛くないよ。 慣れてるから平気。 お兄さん、は? [ 背を支える手は、自分が不意に倒れないようにと 気遣ってくれているだけだと信じている。 もう片方の手が下肢へ滑らされる感覚に、 少しくすぐったいような、そわそわするような。 視線を彷徨わせて息を吐く。 ローションがないから、痛かったなら今日は出来ないと あくまで彼を気遣うトーンで。** ] (*10) 2024/05/11(Sat) 8:45:43 |
【赤】 従業員 ルミ[ 痛みも傷も他人には決して見えない。 どれほど交わってもどんなに近付いても、 言葉にし難いものだってあるのだろう。 経験していないことを警戒出来ないように 得たことのないものは想像出来ない。 ] …うん、わたしだけ。 [ 満足げにふにゃ、と頬を緩めて頷いた。 後は住居や仕事のことを決められれば完璧だ。 ──この後今後について話し合うことになれば、 必然的に自分の" 夜のカフェ "も話すことになるか。 さすがに恋人には胸を張って言える気はしないので 店の詳細がバレないことを祈るのみである。 ] (*15) 2024/05/11(Sat) 22:14:51 |
【赤】 従業員 ルミ[ ここにきて好意を疑われているのかと思ったけれど、 自分の思い違いだったらしい。 縋りついていた指先から力を抜いて、息を吐く。 ] よ、よかった…… セックスは別に、好きじゃない。 でもお兄さんとならしたいって思うよ。 [ 処女ならあんな凶行には流石に及べなかっただろう。 客とは決してそんな関係になったことはないが それ以外の男とは何度かしたこともある。 内臓を押し上げられるような、妙な感覚だった。 ああそういえばシフト載せてないなあとか 次の自撮りどうしよう、と考える余裕があるほどに。 " 好きな人とするもの "だという知識はあった。 自分には適用されなかった言説だが。 ] (*16) 2024/05/11(Sat) 22:14:56 |
【赤】 従業員 ルミ[ ところで今、彼はかわいいと言ったか。 今まで飽きる程に聞いてきたその言葉が鮮明に聞こえて なにも言えず、聞こえなかったふりをする。 頬がじわりと熱を持った。 平常を保とうとして、今度は両腕で背を抱き締められ 否が応でも体がぴしりと固まる。 なんだこれは。夢を見ているのかもしれない。 毎日見ていた叶う筈もない夢が現実になって 雨のように降っている。 ] ……お兄さんもさっき、痛かった? ご、ごめんね……。 でも今までわたし、気持ちいいってなったことないし たぶん、不感症……とか…… [ しかしそれでは彼が一生セックスをしてくれないのか。 自分が気持ちよくなったら挿れたいと言われても、 そんな経験は一度も──── ] (*17) 2024/05/11(Sat) 22:15:01 |
【赤】 従業員 ルミッひゃぅ、 [ 肩に心地いい重みが乗っかって、 次に首筋へ彼の唇が軽く触れ、くすぐったさに声を零す。 背中を撫でられるのは好きだ。 けれど、何にも守られていない首筋や耳を啄まれると なんだか背筋や体がそわそわする。 ] ん、ふふ、 くすぐったいよ、お兄さん… [ 大型犬が甘えているように見えて、 思わずやわい皮膚を啄む彼の頭をふわりと撫でた。 えっちなことが出来ないから甘えているのかと 勘違いをしたまま、こそばゆさに身体が跳ねる。 少し身じろいで、目が瞬いた。 ] (*18) 2024/05/11(Sat) 22:15:05 |
【赤】 従業員 ルミ…………お、お兄さん、って わたしで勃ってくれるんだ……。 [ 決して押し付けられたりしたわけではないが 当たってしまえばさすがに気付く。 動揺を露にして、反射的にそう零した。 てっきり刺激しなければ兆さないと思っていたのに、 触れなくても固くなっていることに驚いて。* ] (*19) 2024/05/11(Sat) 22:16:13 |
【赤】 従業員 ルミ[ あの時覗き見たパスワードは" 計画 "のためで、 崩れ去った今、使う発想を持っていない。 今はもう連絡手段を奪う必要もないからこそ 実家への連絡を気にするのを忘れていた。 さて、物語を現実で続けていく為の話し合いの一つに 自分の仕事があるとして。 抵抗があると伝えられたら、どうだろう。 この仕事でなければ、というわけではない。 けれど辞めて他の仕事が出来る気もしない。 店用のSNSアカウントを教え、 彼が許せる範囲の営業方法を探していくことになるか。 ────そう、それから。 ] (*26) 2024/05/12(Sun) 0:01:53 |
【赤】 従業員 ルミ[ 大切に扱われるセックスの経験がないことを、 不幸に思ったことは一度も無い。 " 関心を失う "ことに対してはひどく敏感だったが セックスにおいて静かだったのは、 前提となる経験が乏しかったおかげだろう。 ] ……? うん。 したいって思ったの、お兄さんが初めてだよ。 だって、ほんとは好きな人とすることなんでしょ? 今までの人には思ったこと、ないなぁ。 しなきゃ、はあったけど。 [ 捨てられて、他の女に関心が向くよりは、と。 埋まらない穴を体温とちっぽけな愛で埋めようとした バカな女の自傷行為だ。 ] (*27) 2024/05/12(Sun) 0:02:18 |
【赤】 従業員 ルミ──────……ありがとう、お兄さん …………やさしいね、ほんと そういうとこも、昔と変わんないな……。 [ 長い間頑張って今日を作った。 そう言われるだけでも、何故か泣きたいような心地になる。 おとぎ話のお姫様よりも傷だらけで、 なんでもしてみせると誓って来た道を汚して、 何度も何度も夢見た大事な人。 ──可愛いの四文字は聴こえなかったことにした。 かわいくないと否定するのも違う気がするし かといって、仕事のように素直に受け取れもせず ] ……期待外れでも捨てないでね。 [ 気持ちよくなるなんて無理だろう、と思いながらも 口にはせずにくすぐったさを受け入れる。 そもそも不感症なら戯れに反応しないというのを、 知識のつまみ食いで構築された女は知らない。 ] (*28) 2024/05/12(Sun) 0:02:22 |
【赤】 従業員 ルミひだり、 ……────ッ、んん、くすぐったいてば……っ [ 頭が反対の肩に移動するのは良いのだけれど、 やわらかな髪が肌を掠める感覚に声が震える。 間を置かず、今度は音が鼓膜を伝って神経を揺らした。 かすかに首筋を吸い立てるような音。 近くで鳴るのを聞いていると、 耳から神経をくすぐられているみたいだ。 ] み、 みみ、ぞわぞわする…… [ 決してそれは不快だなんて類ではないのだけれど ──適切な言葉はまだ、経験には無い。 ] (*29) 2024/05/12(Sun) 0:02:33 |
【赤】 従業員 ルミ男の人が擦られたらおっきくなるのって、 そういう理由だったんだ……? すごい、お兄さん。物知りだね、 ………………ぁ。ぇと、……わたしに……。 ……ぅ……うれしい、けど、 あたまおいつかない ……かも…… [ 何ならずっと今の言葉がリフレインしている。 信じていないとか嘘だとか言うつもりはもうないが、 「わあ嬉しい、ありがとう!」などと 素直すぎる反応が出来るほど子どもでもない。 蜘蛛の糸よりも細い粘性の糸がちら、と見えて 漂う夜の気配にたまらず目を逸らした。 そのまま彼の手が背を撫でてくれるのを 最初は「宥めてくれているのか」と なにも咎めず、むしろ喜んでいた──が ] (*30) 2024/05/12(Sun) 0:02:39 |
【赤】 従業員 ルミ[ どうにもこれは、擦っているわけでもなさそうだ。 落ち着かせるためなら一定数同じ場所を触れるべきで、 あちらへこちらへと動く手は 別の目的を伴っている気がしてならない。 窺うように彼を再度見上げた。 おず、と服を握り、問うための言葉を探している。 ] お兄さん、あの、背中──── ──────ッん、ぁっ!? [ 尾骶骨と脇腹の部分を撫でられた瞬間、 妙に甘ったるい声が零れて、ば、と口をふさいだ。 くすぐったい、と笑っていた時とは違う色。 僅かだけ電流が奔ったような心地がして、 彼の手の動きを止めようと 空いている手で、咄嗟に彼の腕を取ろうとした。** ] (*31) 2024/05/12(Sun) 0:05:15 |
【赤】 従業員 ルミ[ そう、自分にとってはパスコードを盗み見ることも、 例え何度変えたってそれを見破るのも容易い。 毎日毎日勝手に覗いて女の痕跡を洗い出しはしないが、 知っておけば怪しい時に取れる手段が増えるから。 とはいえ合法的に浮気や類似するものを探れる今、 疑っていようとそうでなかろうと 定期的にスマホは見せて貰おうとするだろう。 元恋人と繋がっていやしないか、飲み会に女はいるか 不安の種はそこらにあるもので。 自分の仕事が快く受け入れられるものではないことは、 一応自覚もしている。 知られようとそうでなかろうと、 今の色をかけるような営業はやめていくつもりだった。 ────歪んだ承認欲求はすぐには治らない。 並べてみれば、過去も感性も何もかも違うけれど おとぎ話のようにすぐさま解決することは何もない。 続いていくには、続ける努力が必要なのだ。 ] (*38) 2024/05/12(Sun) 21:56:35 |
【赤】 従業員 ルミ……──、うん。 お兄さんが教えて。ぜんぶ。 [ 大事にされなくてもいいと思っていた。 夢を見ない方が、現実に傷付かなくて済むからだ。 やっぱり自分にはこの道しかないんだ、と 一本道しかないと諦める方が楽だった。 ] ────……優しいとこ、好きだよ。昔から。 お兄さんなのに子どもっぽかったとこも 名前で呼ばれるのとか、 嫌なことは嫌って教えてくれたとこも好き。 でも、例え優しくなくなっても お兄さんのことは、ずっと好きなままだと思うな。 [ 過去に執着していただけなら、 忘却を" 優しくない "と捉えて嫌いになっただろう ] (*39) 2024/05/12(Sun) 21:56:41 |
【赤】 従業員 ルミ[ こんな自分に好かれて執着され続ける彼を、 可哀そうだと思う気持ちが無いわけでもない。 けれど手元に手繰った運命がここにあるのなら 今更聞こえの良い言葉で手放してもやれない。 これは、誰が何を言おうとも運命だ。 あの日貴方がわたしに声を掛けなければ。 わたしが貴方を好きになどならなければ。 例え人から獣に変じたって愛している。 ────そう、例え意地悪を言われても、だ。 ] …こ、言葉のあやってやつだもん…… [ 揚げ足を取られて思わず言葉に詰まる。 喉奥で笑うような、聞き慣れない笑い方が揺れた。 途端に気恥ずかしくなって、 それ以上を紡ぐのをやめ、ふ、と息を零す。 ] (*40) 2024/05/12(Sun) 21:56:46 |
【赤】 従業員 ルミん、んん、……笑っちゃうより くすぐったいの、感じないように意識する……から…。 というか、くすぐったくなったこと自体 今まであんまりない、し……。 [ 今まさに身を捩って感覚を逃がそうとしたわけだが、 上手く逃がせずに、返事は時折不自然に途切れた。 そもそも今までけらけら笑った経験と言えば 幼い頃くらいしかないような気もする。 子ども同士の戯れのような触れ合いの気分で、 彼の困ったような笑みに「ええ?」と笑い返した。 ] なぁにそれ、適当? ……あは、お兄さん調べならそれが正しいでしょ。 [ 自分には彼が世界に等しい。 あっけらかんと見解を受け止め、知識を上書きして。 ] (*41) 2024/05/12(Sun) 21:56:52 |
【赤】 従業員 ルミわたしはお兄さんが夢中になってくれるの、 嬉しいけどな。 ……わたしもべつに、余裕あるとかじゃないし…… [ 彼が絡むだけで何に対しても余裕など失われ、 まるで毒殺を試みた白雪姫の魔女のようだ。 目的を成すにはもう殺すしかない、と りんごに毒を塗った短慮さを咎められない。 他愛ない会話にすこし力が抜けていた。 ────だからだろうか、 高い声を抑えられずに零してしまったのは。 ] (*42) 2024/05/12(Sun) 21:56:57 |
【赤】 従業員 ルミぇぁ、 あ、ぅ、 [ 声は言葉の輪郭を保てなかった。 気持ちいい、を教えてほしいとは確かに言ったが 自分のものではないような声が出るなんて聞いていない。 唇で声を抑える手をつつかれ、 言葉でも促されると、困ったように眉を下げた。 例えばここで彼が手を外してくれたなら、 声を聞かせることへの言い訳も出来ただろう。 自分から外すのは。 つまりそうすることを、自分で選んだというわけで。 ] (*43) 2024/05/12(Sun) 21:57:46 |
【赤】 従業員 ルミ…………………ひかない……? [ しかしこのまま意地になっても仕方がない。 まるで合意ではない行為のように見えてしまうし、 ────きもちいい、を教えてほしいと思ったのも したいと言ったのも自分なのだ。 そろ、と恐る恐るの仕草で手を下ろした。 行き場を失った手はすこしの間宙を彷徨い、 彼の肩をそうっと掴む。* ] (*44) 2024/05/12(Sun) 22:00:40 |
【赤】 従業員 ルミ[ " 知らない顔 "があることを許しがたく思うのは、 自分の悪癖であり、同時に変えられない部分だ。 正確に言えば「我慢をしろ」と言われれば出来るのだが、 重ねていくうちに遠からず爆発してしまう。 いつか暴くのではなく、 自分にも見せてくれるようになればいい。 何でもかんでもSNSで把握しようとしてしまう性分を、 愛の実感を得るために相手の全てを知ろうという欲を、 もし正せる日が来るのならば それもまた、運命の成せる技になるのだろう。 ] (*50) 2024/05/13(Mon) 0:26:14 |
【赤】 従業員 ルミふふ、そうだね かわいかったな、小さい頃のお兄さん。 [ 記憶の中を慈しむように目を細める。 一緒に食べた美味しいものの味、 凪いだ風の音、祭りの喧騒、手の温もり。 降り注ぐ雨から守ってくれたのも彼だった。 肌から熱を奪うつめたい雨。 傘を差したかったけれど、わたしは持ってはいなくて、 けれど濡れないでいられる道を諦めさせないでくれた。 それなら。 傷を抉って、わたしをずっと憶え込ませて、 ────そんな中でわたしは貴方の何になれるだろう。 痛い傷以外の何に、いつか、成れるのだろう。 ] (*51) 2024/05/13(Mon) 0:26:18 |
【赤】 従業員 ルミ[ これは夢よりも優しい現実だ。 嫌われて憎まれて然るべきのことをしたわたしに、 貴方はずっと近くにいる許しをくれた。 防衛反応、あるいはストックホルム症候群。 傷付けてその痛みを食べ続けるという行為は ある意味洗脳だと言われても反論できない。 ────罪に対する罰はどこにあるのだろう。 けれども、食べていたいのだ。 愛されていると思えるような蜜の味。 貴方をこんなにも愛しているのは、わたしだけ。 ] (*52) 2024/05/13(Mon) 0:26:22 |
【赤】 従業員 ルミ……が、がんばる…… ッ、 [ ────いやそれにしては甘い言葉が出てくるな?と 彼の経験値を推察し、過去の恋人の顔を浮かべ、 わたし以外にはそういう顔も見せてたのに……と 嫉妬の炎を燃やしてしまう。 耳朶をやわく噛まれる感覚に、すぐさま鎮火したが。 多くは言わないようにして、言葉を返した。 どうせSNS越しにもう知っている情報だ。 改めて肉声で聞きたい話でもない。 過ぎたことを詰って責めたいわけでもないのだ。 大声で喚いたのは関係が終わると思っていたからで、 続いていくためには堪えるべきことも分かっている。 過去は変えられないから過去なのだし。 ] (*53) 2024/05/13(Mon) 0:26:25 |
【赤】 従業員 ルミぁ、 当たってる……けどっ ……お兄さんの、そういう…… えっちなことの対象に入ると、おもって、なくて …………し、しんぱい、なのっ! [ そういえば当たっていることを遠回しに言及しても、 特に位置をずらそうということはしていなかった。 あまり自分が身を引こうと動けば余計に熱を感じるし、 気にしないようにしていたのに。 再度意識すると、後はもう気にしないなんて出来ずに、 彼の熱から粘性のものが零れていることに気が付いた。 流石に正体を知らないほど無知ではない。 かぁ、と耳が熱くなって、 神経を言葉に出来ない感覚が奔っていく。 ] (*54) 2024/05/13(Mon) 0:26:31 |
【赤】 従業員 ルミ[ 既にどうしていいか分からない迷子なのだが、 どうやら爪を立てても良いらしい。 こくんと頷き、緊張を逃すように息を零して。 傷の残る唇なんて美味しくもないだろうに キスをしてくれるのが嬉しくて、目を閉じた。 りんごと同じ赤い色だったはずなのに やっぱり甘さなんて微塵もない、鉄の味。 ] お兄さん、 [ 優しいキスを名残惜しく思うのはこちらも同じ。 どこかねだるような色を帯びた声で彼を呼び、 離れていく唇を見つめて── ] (*55) 2024/05/13(Mon) 0:26:35 |
【赤】 従業員 ルミ──ッんぅ、ぁ、ふ……っ [ さっきと同じ場所を擦られると肩が跳ねる。 伸ばされた手に服越しで軽く胸を引っ掻かれると、 くすぐったさでもぞわぞわでもない、 身体が熱くなるような感覚が込み上げた。 胸は左程大きいわけでもなく、平均的だ。 戯れに触れられたことはあるけれども、 乱雑に扱われて痛いだけだった。 ────だからこそ、自分は性行為では感じないと 思っていた筈だった、のだが。 ] (*56) 2024/05/13(Mon) 0:26:42 |
【赤】 従業員 ルミや、……へんな、かんじ、する……っ [ 下腹部がわずかに重い。 きゅう、と勝手に膣が締まるような感覚があって、 彼の肩を掴む指先に力を込めた。 服越しという状況の生々しさに気が付いて、 ふるりと睫毛を揺らす。 ] ……お兄さん、あのね、その…… [ リボンやビジューが多く施された可愛い服だが、 彼の動きの邪魔にもなってしまうだろう。 ──という最もらしい理由をつけて、 おねだりをするような上目遣いで彼を見つめ。 ] (*57) 2024/05/13(Mon) 0:32:55 |
【赤】 従業員 ルミ服、……ぬぎたい、かも…… ………………おにいさん、脱がせてくれる……? [ おねがい、と甘えた声で。 図らずしも選択を迫られるより先に。** ] (*58) 2024/05/13(Mon) 0:34:18 |
【赤】 従業員 ルミ[ 可愛い、はたくさん浴びてきた。 自分に似合うメイクも髪型も服装も知っているし、 生まれ持ったこの顔自体が可愛い類なのも分かっている。 SNSや店、或いは道でも言われてきたし その度に笑って「ありがとう」と返せていたはずだ。 そう、誰に言われても今までずっと変わらなかった。 ────今まで、なら。 ] はぇ、 [ 気の抜けた声が零れて宙に溶けた。 小さい頃の彼をかわいいと言うだけのつもりが、 強烈なカウンターを喰らった気分だ。 かわいくないという謙遜などは頭にないけれども 妙にまごついてしまって上手くいかない。 ──彼にそんな風に思って貰えるわけがないという、 無自覚の諦めがあったのかもしれず 重ねられた言葉に、瞬きを数度。 ] (*65) 2024/05/13(Mon) 20:43:51 |
【赤】 従業員 ルミ…………ありがとう、お兄さん あの、その、……うれしいよ。 [ 複雑そうな、微妙ともいえる反応ではなく 幼い頃のようにへにゃりと頬を緩めて笑った。 自分にとっての世界である彼が、 他でもない唯一がそう言ってくれるなら、 受け取りたくないわけがないのだ。 ] (*66) 2024/05/13(Mon) 20:43:57 |
【赤】 従業員 ルミ[ 元カノの影を見るたび、嫉妬の炎がぱちりと弾ける。 何度同じことをあの人にしたの、とか かわいいってわたし以外にも言ったんだよね──など 嫌な想像は枚挙に暇がない。 別れろと迫った女の顔を思い出して。 昏い思考に呑まれる前に、彼が想像を奪っていく。 ] ……一致してるのも嫌じゃない……? 解釈違い……でも、そうかも。 だって、わたしの知ってるお兄さんは わたしのこと女として見なさそうだもん……。 [ 恋と聞けば鯉を連想しそうな少年だった気がする。 いや、さすがにそれは穿ちすぎかもしれないが、 色恋沙汰に興味など無さそうだったのは間違いない。 ] (*67) 2024/05/13(Mon) 20:44:04 |
【赤】 従業員 ルミ……お兄さん、甘やかすの上手だね。 [ 一度許されると、なんでも許されるような気がしてしまう。 心配や不安を否定せず受け止めて貰えるたび、 相手の許容のラインを探りたくなる。 心の隙間を蜜で埋めようとする悪癖だ。 自覚しているから、堪えるためにそう言った。 何気なくしているかもしれないその受容は、 自分にとっては甘やかしなのだと示すために。 ] (*68) 2024/05/13(Mon) 20:44:12 |
【赤】 従業員 ルミ[ あつい?、と問われて首を横に振った。 髪飾りを外してもらいながら、少しの間考えて ゆるやかに口を開く。 ] ……この服、お気に入りなの。 だからよく着るんだけど。 [ きらきらで、ふわふわで。 幼い頃手に入れられなかった、お姫様のような服。 だから生地を傷ませたくないというわけではない。 物にはいずれ寿命が来てしまうのが摂理だ。 ────あついわけではないのに、 恥ずかしさを覚えてでも脱がせてとねだったのは、 ] (*69) 2024/05/13(Mon) 20:44:15 |
【赤】 従業員 ルミ…………服着たまま、しちゃったら 見たり、着る度に思い出しちゃいそうだなって その……お兄さんのこと。 [ この服着てえっちなことしたんだ、などと 裾やレースが目に入る度に思い出すのは遠慮したい。 街中で平然としていられなくなってしまう。 髪飾りの結晶は、 白雪姫の制服が決まった時に買ったものだ。 自分の名前になにか意味があるなんて知らない。 ──そんなものないと無意識に思い込んでいるから。 けれど、いずれ知っていくのだろうか。 この名前にもなにか、ひとつ意味はあるのだと。 ] (*70) 2024/05/13(Mon) 20:45:01 |
【赤】 従業員 ルミ[ 自分の解釈と思い込みの世界で生きてきた女には、 知らないことの方が多くある。 ────思えば。 考えをこうして誰かに話すこともあまりなく、 そんな経験にも乏しかった。 ] ……そう、かな……? [ 服と同じ、黒いレースの下着のホックを外されると 心臓がいっそう音を立てて早鐘を打った。 彼の片手で外さない判断は英断だっただろう。 そんなことをされていれば、ほぼ間違いなく 女の幻影に牙を剥いてしまいそうだったから。 ] (*71) 2024/05/13(Mon) 20:45:11 |
【赤】 従業員 ルミ[ 体全部に心臓の鼓動が届いていると錯覚するくらい、 跳ねて、動いて、全身で緊張を訴えている。 シャツを脱いだ彼の身体を直視できず、 まるで初めての女のように視線をうろつかせた。 ──おかしい。 今までなら、こんな風に身体が固まるようなことも、 相手の肌すら何を思うこともなかったのに。 ] ────ひゃんっ、 [ 左胸に彼の掌が触れて、体温が融ける。 びく、と肩が跳ね、制御出来ない声を零して。 強く触れるわけではない優しい触れ方。 痛み以外を行為で感じたことは無かったのだから これもきっと、くすぐったくて 少しぞわりとするような、妙な感覚で終わる、── ] (*72) 2024/05/13(Mon) 20:45:17 |
【赤】 従業員 ルミ──…ッふぁ、ン、ん……っ、 ゃ、ぁ……っ? [ ────終わるはず、で。 そっと薄桃の先端をなぞる指先の動きが、 ふに、と戯れのように沈ませられる感覚が。 今までの感覚とは違う痺れを奔らせてくる。 びくんと腰が僅かに跳ねた。 先端が次第に硬くなっているのは単なる刺激故ではなく、 確かに快感を拾っている結果だ。 唇を舐められる度、声を抑えるのにも失敗して 色の混じった喘ぎを零すしかなく。 すこしずつ、蕾が朝日を浴びて花開くように、 秘部は蜜を帯び始めた。* ] (*73) 2024/05/13(Mon) 20:45:21 |
【赤】 従業員 ルミ[ 優しい嘘という言葉がある。 あれは言う側ではなく言われた側に許された例えだが、 今この場で「可愛いと口にしたことはない」などと 嘘を言われても、自分は優しさと捉えなかっただろう。 言った経験くらい推察できる。 インターネット越しに見て来たのだから。 なにも考えずにただ眺めていたなんてあるわけがない。 ] ふふ、それはもちろん ──……ほんと、大きくなったね、お兄さんも [ けれどネットとリアルは違うものだ。 いくら分かった気になっていても、 直に触れて初めて" 実感 "としてそれを得る。 過去の亡霊が大人になったような感覚が、 輪郭を伴い、温度を連れ立ってやってくる。 ] (*81) 2024/05/13(Mon) 23:04:17 |
【赤】 従業員 ルミ[ 何でも知りたいと願って糸を巡らせても、 秘められてしまえば分からないもので。 長い睫毛を瞬かせ、呆けたような顔を浮かべた。 ] ──────……おにい、さん、って そのときから、かわいいって 思ってくれてたの? ……わたしのこと、面倒になったとか そういう理由じゃなかったんだ……。 [ よかった、と消え入るような声で呟いて、 彼の肌へ頬をすり寄せた。 例え知っても嫌いになんかならなかったのに、と 悔しいような気持ちにもなるけれど。 ] (*82) 2024/05/13(Mon) 23:04:21 |
【赤】 従業員 ルミ[ 縛り付けられていることが我慢ならず別れた、 という事情までは知る由も無いが。 その過去があって尚「ずっと傷をつけていい」と 自分に許しをくれたのは、 他の誰よりも痛くて尊い特別だ。 ] ……ん、……うん。 …………うん。 うれしい、お兄さん、──だいすき。 [ 痛みも甘やかな毒にして、 ふたりしかいない世界で一緒にいられればいいのに。 出来ないならせめて、ここにいるときだけは、 自分のことしか見えなくしてしまいたい。 ──……ぎゅう、と一度、彼をやわく抱き締めて。 ] (*83) 2024/05/13(Mon) 23:04:25 |
【赤】 従業員 ルミ[ 運命の出会いには可愛いドレスが付き物だ。 再会を演出する道具にうってつけの気に入りの服。 鮮烈に記憶を彩って、 忘れがたい程の色を植え付けるための。 傷んでしまっても良かった。 わたしが可愛く在りたい理由は結局のところ、 貴方の目に入りたい一心だったから。 ] (*84) 2024/05/13(Mon) 23:04:40 |
【赤】 従業員 ルミえー……うーん……。 だってそれだと、お兄さんがいない時、 思い出すばっかりで寂しくなっちゃう…… ……んん、いかない。 わたしばっかり思い出すなんてずるいもん。 お兄さんもこのソファ座る度に、 思い出してよ、わたしのこと。 [ 可愛さを武器に生きてきた自覚はあるし、 言葉や態度が男性にどう刺さるかも知っている。 が、これは計算でデコレートされた甘さではない。 そんなことが出来る余裕はとうに奪われた。 ベッドで熱を思い出すなんてのも良いけれど、 せっかくなら、彼の日常に潜む記憶でありたい。 ] (*85) 2024/05/13(Mon) 23:04:52 |
【赤】 従業員 ルミ[ 部屋を暗くしたがるような初々しさは無いけれど、 慣れたような素振りを見せることもない。 ゆっくりと与えられる刺激へあまやかに鳴いて、 身体を跳ねさせ、内側に熱を燻らせた。 触れられずともぴんと立った右胸の先へ、 彼の舌先のぬくもりが触れれば ] ────……ッひぁ、あっ!? [ やわらかな舌の感覚が妙に心地よくて、 なのにはっきりと分かるほどに舌があつい。 かわいく表情を作ることも出来ていないのに、 それでも彼には自分が可愛く映るのか。 ] (*86) 2024/05/13(Mon) 23:04:55 |
【赤】 従業員 ルミンぅ、あ、──ッひぁ、ア、ん……ッ や、それ、やだ……ぁ…っ おなか、きゅうって、なる……っ [ 刺激に慣れる前に別の愛撫が施されて、 すっかり力の抜けた手で彼にしがみついた。 胸を揉まれたことなんて幾度かあるのに、 あの時とはまるで感じ方が違うのだ。 尾骶骨と脇腹の間へ軽く吸い付かれただけで、 大きく震える体を抑えられない。 本当に嫌というわけでもないのに それ以外に例える言葉を知らなかった。 ] (*87) 2024/05/13(Mon) 23:05:51 |
【赤】 従業員 ルミ[ 言葉で「やだ」と紡ぎながら、 身体は決して彼から逃れようとはしていない。 しがみつくのと同時、 初めて味わう快楽を「もっと」と求めるように、 彼へねだっている。** ] (*88) 2024/05/13(Mon) 23:07:22 |
【赤】 従業員 ルミ[ 愛しているから何でも知りたいような、 傷付けることすら出来てしまうこの愛はきっと 無理矢理に犯す愛を持たない彼とは 根本から違う色を帯びている。 ] あは、……お兄さんはそれで傷付いてくれるんだ。 うれしいなあ。 でも今ここでおあずけするの、 わたしがヤだから、大丈夫。 [ 本当に夢から醒めたと嘘を吐いたとして。 彼を傷つけることが出来ても、 それで離れて行かれては元も子もない。 ───日常に根差す毒花である方が わたしのことを忘れられないでしょう? ] (*96) 2024/05/14(Tue) 18:44:29 |
【赤】 従業員 ルミ[ わたしにとっての愛は優しくない。 目に見えないくせに形すらまばらで歪で 日常のどこにでもあるような色をして、 世界から隔絶されたような鮮烈さを残して。 縛っても呪っても抑え込んでも構わない。 だからずっと憶えてね。 わたしが貴方を傷付けた数だけ、 わたしが貴方で傷付いたこと。 ────これじゃまるで人魚姫だ。 ] …………ずるいよ、お兄さん そんなこと言われちゃったら、許したくなる。 ────────……。 [ もっと早く教えてよ、と肌に縋った。 彼が一番にかわいいと言ってくれていたら、 彼だけにかわいいと言って貰えたら。 もう手に入らない夢のたられば話だ。 ] (*97) 2024/05/14(Tue) 18:44:46 |
【赤】 従業員 ルミ[ あの頃は、同じ気持ちなどひとつも返って来なかった。 好きなのも一緒にいたいのも離れ難いのも自分だけ。 それでも良いなんて健気な女のフリをして、 諦め悪く惨めに夢へしがみついて。 ふらりと足を踏み入れた夜の街は綺麗だった。 満たされてない人ばかりの雑踏に紛れれば わたしの痛みも昇華されると思っていた。 時折金を貢いで気を引こうとした男は、 どれもみんな思い出の中の彼に似ている。 傷の中でしかもう会えなかった好きな人。 ──これからはもう、全部、わたしだけの。 ] (*98) 2024/05/14(Tue) 18:45:03 |
【赤】 従業員 ルミ………………、……… ……お兄さんだけで満たされるように、 これからずっと、いっぱい言って。 [ この承認欲求が歪んでいることは分かっている。 数多の人に愛想を振りまいて、色をかけ、 薄っぺらな愛を得ようとする不健全さ。 一時だけ満たされるために始めた仕事も、 彼しか充たせない心の隙間が埋まった後なら 辞める決心もつくだろうから。 そうなれば。 その時ようやく、彼の好きだという気持ちを 微塵も疑わずにいられるのだろう。 ] (*99) 2024/05/14(Tue) 18:45:17 |
【赤】 従業員 ルミ[ ソファを見る度押し倒された記憶が蘇ってくれるなら、 あのシュガーポットも警戒するだろうか。 捨てはせずとも仕舞い込む予定ではあるけれど。 ] すごいの……? …あんまりえっちなこと、分かんないけど お兄さんの好きにしていいよ。 ……いいって言い方、だめかな してほしい、のほうが正しいかも… [ 体から始まる恋もあるというし。 手放すのが惜しい体だと思われれば御の字である。 最悪顔で留めてはおけないものか。 ] (*100) 2024/05/14(Tue) 18:45:32 |
【赤】 従業員 ルミ[ すぐさま体と顔に頼ろうとする悪癖を頭に過ぎらせたが、 与えられた刺激が即物的な思考を追い払う。 強くはないどころか、ただ甘くて優しい触れ方なのに 声がこぼれ落ちるのが止められない。 彼の熱が太ももに当たり、粘性の液体が肌へ伝った。 ──それだけの刺激さえ甘いような、 ] ン、ゃ、おにいさ…っ [ 吐いた息は体温を乗せたようにあつい。 時折肌にかかる彼の呼吸も同じように熱を帯びていて、 堪らないような心地になり、軽く頭を抱いた。 ] (*101) 2024/05/14(Tue) 18:45:48 |
【赤】 従業員 ルミ[ お腹がきゅうとなるような感覚は、 これが“ きもちいい ”ということらしい。 薄っぺらな生白い下腹部をやわく摩り、 ぽや、と半ば蕩けた目で彼を見た。 ] これ、が、きもちいい……なら もうお兄さん、挿れてくれる、の? [ 確か最初、そんなことを言っていたような。 必死に頭を回し、あやすような柔いキスを追い掛ける。 甘える子どものようにキスをねだり、 乱れた息を落ち着けた。 ] (*102) 2024/05/14(Tue) 18:46:03 |
【赤】 従業員 ルミ[ 差し込まれた指が軽く動かされるだけで、 いやらしい水音が立って鼓膜を揺らす。 ローションも使っていないのに、 気付けば下着は粗相でもしたように濡れていた。 ] ぅ……や、だめ、みないで…… [ 彼の視線の先に気が付いて、 思わず手で秘部を隠しては俯いた。 生まれつき薄い陰毛は大事な場所を隠すにはやや足りず、 卑猥な糸がとろりと太ももへ伝い落ちる。 どう見ても不感症のそれなどでは無い。 それくらい自分にも嫌ほど理解が出来て、 今しがた秘部を隠そうとした手を動かし直して 今度は彼の目を覆うようにあてがった。 ] (*103) 2024/05/14(Tue) 18:46:18 |
【赤】 従業員 ルミ……えーと、えへへ…… か、かくれんぼ……。 [ 何とも色気のない言い訳だった。 幼い頃かくれんぼをふたりで遊んだ記憶が蘇り、 どこか懐かしいような気持ちになる。 そのまま彼の髪へ顔を埋め、目を細めた。 砂や太陽の匂いがしていた昔と違って、 匂い立つのは大人の男としての色。 ずくりとお腹の奥が重くなって、熱が疼いて、 それを隠すようにまた息を吐いた。** ] (*104) 2024/05/14(Tue) 18:46:34 |
【赤】 従業員 ルミ[ 虐げられるのが好きなら最初から喜んでいるだろう。 さすがの自分でも、まさか被虐趣味かと疑ってはいない。 いや、もしそうなら受け止めるつもりではあるが、 SNSも現実の彼もそんな片鱗は見えないので。 許されるつもりなどないまま、毒林檎を手向けた。 ふたりを結ぶのはもう過ぎた過去の青さでも、 陽だまりの柔さでもないと知っていたから。 呪って縛って、 血よりも赤い糸で彼と自分の世界を繋ぐ。 ] …… [ わたし以外の誰のものにもならないで、と祈るのも愛で わたしを忘れられないくらい傷付いて、と呪うのも愛で わたしとずっと一緒の地獄にいようよ、と願うのも愛だ 日常の色に紛れた呪いは愛の顔をしている。 ] (*113) 2024/05/14(Tue) 23:02:46 |
【赤】 従業員 ルミ[ 大人になっただけのただの男女ではなく、 恋人よりも強く結びついた唯一の関係というのは 傍目に見れば正しいものではないのだろう。 正しくないことを「おかしい」と糾弾するのは簡単だ。 自覚している。理解だってしている。 けれど、" おかしい "からなんだと言うのか。 わたしは狡いから、きっと許したくないと言う。 傷を主張すればずっと償わせて傍に置けるから。 過去のふたりも、捨てたくないから。 ] (*114) 2024/05/14(Tue) 23:02:51 |
【赤】 従業員 ルミ[ イミテーションの愛はもう飽きてしまった。 どれだけ与えられても満たされない。 求めた本物のひかりをいつか素直に受け入れられたら、 きっと、縋り続けた偽りだって手離せるのだろう。 愛される存在を演じて、そして向けられた愛は 手離す間もなくやがて朽ちるかもしれないが。 ] ────ん。 お兄さんの今の言葉、忘れないでね。 何かある度に突き付けてやるんだから。 [ その度に腕を切って脅すことも躊躇いがないのだ。 都度罪悪感で転げ回って欲しい。 彼となら初めても、それを越えたあとだって どんなことも特別ないろになる。 ──雪は何色にだって染まるものだ。 ] (*115) 2024/05/14(Tue) 23:02:55 |
【赤】 従業員 ルミ…………? りんごあめ食べ切れなかったのはおにいさ、 ────ンむ、 [ なるほど……と神妙な顔で頷こうとしたが、 思い返さなくてもりんご飴ギブアップは彼ではないか? わたし泣いたことないもん、と 異議を申し立てようとするより先にキスが降る。 ────まあ、いいか。 途端に思考を溶かして目を閉じる。 薬が抜けきったなら、交わる体液にも影響はない。 白雪姫はキスで目が醒めたのに、 今はまるで真逆のような。 ] (*116) 2024/05/14(Tue) 23:02:59 |
【赤】 従業員 ルミ[ 喉が鳴る音が近くから聞こえるのが居た堪れなくて、 まるで幼い頃に戻るように戯れを重ねた。 したいと言った思いに嘘はないのに 許容量を越えそうな現実が、判断を鈍らせる。 ] えっ、えと、じゅう……? [ 十秒しか猶予がない遊びだったか、あれは。 今この場では至極どうでもいい二人のルールを、 必死に思い出そうと海馬に潜る。 いや三十秒だったじゃん!などと言ったとしても、 どのみち時間制限があることに変わりないのだが。 ] (*117) 2024/05/14(Tue) 23:03:04 |
【赤】 従業員 ルミ……あぅ……。 [ 恥ずかしいからといって反射で動かなければよかった。 着実に進み続けるカウントダウンに、 むしろその時を意識してしまう。 今更やめた、など通用しない空気になってしまった。 身を守っていたショーツが横に避けられ、 もう意味も無い可愛いだけの布一枚になる。 触れられる距離にいるのに、触れられない。 お預けに似たことをしたのは自分なのに そのくせ落ち着かない気持ちになりながら。 律儀に数え続ける彼へ、つい昔の影を── ] (*118) 2024/05/14(Tue) 23:03:12 |
【赤】 従業員 ルミ────ッは、反則……! [ 見なかった。 素直な少年は狡い大人になり、早口でカウントを終え 面影を辿る時間を奪っていく。 そのまま彼の手が自分の手に重なって熱を帯びる。 幼子のじゃれあいのようなやり取りは終わって、 ここにあるのは、体温を融かしあう二人の男女だけ。 ] (*119) 2024/05/14(Tue) 23:03:17 |
【赤】 従業員 ルミ[ 息を吐く。 少しの間忘れられていた腹部の熱が重く疼いて、 そろりと彼の目から手を離した。 見つかってしまったら、鬼は交代。 ────けれど今回に限っては、 ありきたりなルールは返上になるだろうか。 ] ……みつかっちゃった。 ふふ、懐かしい 昔はよくこうして遊んでた、けど。 [ 今と全く同じ言葉を紡いで、 彼を見つける側に回ったものだった。 夜の匂いなど無かった頃の話。 ] (*120) 2024/05/14(Tue) 23:03:23 |
【赤】 従業員 ルミ…………ああもう、…だめかも。 はずかしいと、わたし、言葉が多くなっちゃう。 ……お兄さん。 あのね、……しゃべれないくらい、きもちよくして。 [ ぎゅ、と彼に再び抱きついた。 そのまま首へ吸い付いて痕を残そうとしたけれど、 経験が足りないのか、上手く赤がつかなくて。 代わりにかぷりと首筋を噛む。 ふふんと笑って、「浮気防止」と呟いた。* ] (*121) 2024/05/14(Tue) 23:05:41 |
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