とは流石に言えないけれど。

［　ひとりしかいない気分に浸れる場所へ。
　　それは諦めでもあり誤魔化しでもある。

　　一人でいなくて済むのなら
　　差し伸べてくれる手を取りたい。

　　　　　　　　　　　誰だって独りは寂しい。　］

［　幸阪結月でなければだめだったと言われたかった。　］**

本気でそう思ってたはずだった。　］

［　こんなに近いとあの日を思い出してしまう。　　
　　思い出さないようにしないといけないのに。

　　何処かで思い出したかったのかもしれない。

　　　　　　　　　　だって、心地よかったから。　］

…………そう、だよね。

［　どうしてだろう、分かってるのに
　　心が揺らいでしまうのは。　］

何処か名残惜しさを感じながら。　］

　［　折角なら、って、
　　　そこに楽しさや幸せを求めた時に
　　　その主語が自分じゃなくて相手になる。


　　　それだけのことが
　　　実はとてもすごいことなんだって。
　　　幸阪は知っていたりするんだろうか。

　　　言葉にせずと態度や空気に出るもので
　　　それが僕が幸阪のことを
　　　役割以上に大事したいと思ったきっかけの一つ。　］

　［　プラネタリウムを見に行こうと決めた当日、
　　　受験の時以上に緊張していた僕はというと。

　　　慣れないワックスで髪型をしっかりキメて、
　　　ファッションも幸阪が恥ずかしくなく、
　　　それでいて圧を感じないくらいに準備して、

　　　その気合いの入りようは
　　　両親に頭を打ったのかと疑われるレベルだった。

　　　そんな紆余曲折を乗り越えて、
　　　待ち合わせ場所で待つ僕は
　　　彼女の目にはどう映っていたのだろう。　　　　］*

［　折角なら自分が楽しく過ごせたらいい、
　　そう考えられる人だったなら
　　私は声をかけられる側じゃなくて
　　声をかける側に回っていた。

　　ただ、それだけのこと。

　　どうでもよかったから。
　　無意識に自分は後回しにして
　　別にいいや、って諦めて。

　　君が幸せだと思えたなら
　　少しは存在する意義も見出せるから

　　主語が君になってることに違和感も抱かない。
　　それが凄いことだとも思わない。　］

［　初めてデートに行く日。
　　緊張はそれほどしてなかったけど
　　やっぱり、服装って大事かな。
　　普通の女の子なら気を遣うよね、とか考えてた。
　　ちょっと悩んだけど、いつも着ている服から
　　系統を外すなんて冒険も出来なくて。

　　白いニットに白いスカートを合わせて
　　青のアウターを羽織るスタイル。
　　長い髪はポニーテールにして
　　星の飾りがついたヘアゴムを付けた。

　　ありきたりだし、君が期待してくれたとしたら
　　あんまり沿うことは出来なかったかも。どうかな。］