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【秘】 うたかたの ダニエラ → 黒眼鏡「…わかってます。」 「でも、A.C.Aに選抜されましたから…少しは誤魔化しが効く立場なんですよ。」 ヒラの巡査に比べたらの話。 さて、そうでなくても果たしてここに足を運んでいただろうか。 …意味のない自問だ。目を伏せて一蹴した。 「せっかくの色男が台無しですね。」 問いには苦い声。 乱視で少しぼやけているから、直視こそせずに済んでいる。 …本当はこんなところで会いたくもなかったし、こんな姿を見たくもなかった。 眼鏡はその、折衷案だ。 (-492) 2023/09/19(Tue) 23:05:55 |
【秘】 渡りに船 ロメオ → 暗雲の陰に ニーノ「ああ……やればできる的な……」 「……そうかね」 カッコいいと思われること自体は悪い気はしない。 ありがとさん、と小さく返したのは少しそわついたから。 段々握られるのにも慣れて、 自分の手を握る手をぼんやり眺めたころに、 「に」 「……………………おう」 まさかそんな風に呼ばれるだなんて思わなかったから、 珍しく動揺して、短い返事をした。 少しそっけなくなってしまったが、照れているだけ。 「……さっきよりも強いよ。結構、」 「あ、ほら。結構来るよな」 これでも飲みやすい方なんだろうなあ、と思いながら グラスの中身を少しずつ味わう。 一気に飲んだら倒れちゃうからね。 (-493) 2023/09/19(Tue) 23:05:56 |
【秘】 幕の中で イレネオ → 暗雲の陰に ニーノとろとろとした声で礼を告げられれば、男は静かに頷いた。 「ああ。」 「まさか、お前まで捕まっているとは思わなかったよ。」 ガラス一枚を隔てた金は、じっと貴方を見つめている。 観察するようなその視線は、しかし心配からくるものだった。 「……平気か?」 「休め、と言ってやりたいが。ここじゃそれも難しいだろう。」 「手早く済ませて戻ろう。あっちの方が、横になれるだけまだましだ。」 薄い紙の表面を四角い爪が引っ掻いている。 表情はなんだか複雑そうだった。 (-494) 2023/09/19(Tue) 23:06:20 |
【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → 暗雲の陰に ニーノ「ああ――そのことか。確かにそうだね、ここで話すことでもない。 もう勤怠を切っているなら、パン屋にでも寄って公園ででも話そうか。 屋外とはいえ、そっちのほうが話しやすいだろう?」 問いかけの内容を聞いたならば、それとなく話題の中心を曖昧にしながら提案する。 自分よりも立場の低い貴方を守るためだ――今となってはその配慮も無意味だったわけだが――。 ただ少なくともその態度だけで、貴方には"言い辛い側"であるとは伝わったかも知れない。 答えだけを得たいのなら、それだけでも十分な回答にはなるか。 不安がってあるように思える貴方の、低い位置にある顔に。 子供にそうするみたいに首を傾けて少しだけ高度を合わせて問う。 連れ立っていってきちんと話をするかどうか、それとは別に。 「……大丈夫かい、フレッド?」 (-495) 2023/09/19(Tue) 23:09:50 |
【秘】 月桂樹の下で ニコロ → 無敵の リヴィオ「…誰かに貰った事、あるのか?」 貴方が撫でている右手の甲に目線が移った。 何かがあるのだろうことは違いないけれど それが何なのだろう、と首を傾げた。 「それは違いなくそうだけどな。 与える事は簡単だよ。教える事もな。 だけど、お前がそれを望むかってのも大事なんだよ。」 撫でていた手を貴方の左手へと伸ばす。 触れられるなら、触れようとして。 「自滅願望があるっつってたし、難しいかもしれねえけど。 今、得たいと思ったりはするか?」 (-496) 2023/09/19(Tue) 23:12:49 |
【念】 うたかたの ダニエラネイルや靴や、豪華な食事。 女はただそれについては、曖昧な笑みを返すだけに済んだ。 そんな用途にこのお金を使ったことは1度もない。 使わなかった分は使わなかっただけ貯め込まれ、此度ようやく日の目を見たというわけだ。 つまり何ら痛手でもなかったという話だが、やっぱりそのことも結局あなたは知る由もない。 「はあい。じゃあ」 「…ご連絡、楽しみにしてますねえ」 このホテルを離れる準備を進めながら。 笑って女は、あなたを見送ったことだろう。 そうしてきちんとこのホテルも離れ。 次のアジトは、またあなたの知らない別のホテルなのだった。 (!27) 2023/09/19(Tue) 23:13:54 |
【秘】 オネエ ヴィットーレ → pasticciona アリーチェ「もう、本当に仕方のない子なんだから……」 ふふ、と笑う声もやはり力なく。 よほど体力を消耗しているのだろう。 それだけのことをされた、証。 貴方にだけは、この姿は見せられない。 腫れた顔、剥がれた爪、赤いままの衣服。 どれか一つでも見たら、貴方は気絶してしまいかねない。 ズキズキと痛む体を抑え込んで、出来るだけ平気なふりをする。 「大丈夫、大丈夫よアリーチェ。落ち着いて…… ちょっとした怪我よ。大したことないわ。 それにこれはね、アタシが皆を守れた証なの。」 拷問は、情報を吐かねば吐かぬほど苛烈になる。 怪我が酷ければ酷いほど、何も言わずにできた証拠。 ヴィットーレは守っている。大切な家族を、今もなお。 「……アタシは死なないわ。約束したでしょ? だから、心配しないで。アリーチェ。 貴方の不安そうな顔を見たら、アタシ、泣いちゃうわよ。」 貴方だって、大切な家族の一人。 近づいて撫でてあげられない分を、せめて声色に乗せて。 貴方を元気づけようとするその所作は、昔から変わらない "皆のお兄ちゃん"の姿だった。 (-497) 2023/09/19(Tue) 23:14:19 |
【秘】 渡りに船 ロメオ → 門を潜り ダヴィード「臆病なだけだよ」 「ま、オレが髪切んのは……掴まれた時に逃げるためか、 ここから足洗うときだな」 別に足を洗う予定もないから、あり得るとすれば前者か。 警戒心は立派に備えてはいるが、 どちらかと言えばマフィアだからというより 生来の性分から来る臆病さなのかもしれない。 歯磨き中にじゃれ合うのがなんだか面白くなってしまった。 とはいえあんまり押しすぎも良くないので、 少し撫でていい加減にやめることにする。 「寝室に何置くかって難しいよなー……。 サイドテーブルとかランプとかか?」 「ああ、なるほどな。まあ確かにこりゃ一人で寝るたあ…」 広いよなあ、とまた改めて呟いて。 「…………」 「おお……」 ベッドの縦幅と自分の縦幅を比べた。 セーフだった。 (-498) 2023/09/19(Tue) 23:16:43 |
【秘】 オネエ ヴィットーレ → 法の下に イレネオにこにこと、細まった翡翠の瞳が貴方を見る。 まるでバーに来たお客を接客するのと同じように。 貴方に愛想のいい笑顔を向け続ける。 「じゃあ、誤認逮捕なんでしょうね。」 「この捜査に誤認がないっていうのなら」 「貴方だって同じ穴の狢ってことじゃない?」 そうでしょう、と挑発的な笑みを浮かべて。 ヴィットーレの主張はあくまで"無実"だ。 自分はマフィアでもなく、ましてや人身売買などするはずもなく。 してないのだから仕入れ先なんてものもない。 全ての嫌疑に否を通し続けている。なにをされても。 「探られて痛い腹なんてないわ。」 「貴方たち正義を自称する人たちが納得できないというなら。」 布で巻かれた血だらけの両手を、前に差し出す。 「どうぞ───お好きなだけ。」 ───ヴィットーレには、覚悟がある。 必ず隠し通してみせるという覚悟が。 (-500) 2023/09/19(Tue) 23:26:28 |
【秘】 黒眼鏡 → うたかたの ダニエラ「ならいいが。 この後のことを考えるとなあ」 困ったように頬をかく。そうするといてえ、と当然の悲鳴をあげて、びくんと顔をそらす。 牢の中のアレッサンドロはなんだか気が抜けたようで── いや、気のせいではなく、彼は何かに安堵し、満足していた。 場所と境遇とのギャップが、その違和感を不気味に縁取るかのようだ。 そんなことにも構わず、男はあなたの軽口に肩をすくめる。 「子供のころはずっとこんな感じだった。 成長すると色男になったわけだが」 だらしなくかいたあぐらの上で、気怠そうに足を組み直す。 「そういうお前も、なんだかしんどそうだな。 仕事が辛いか?」 からから。笑い声は、牢獄のなかにばかりこだました。 (-501) 2023/09/19(Tue) 23:31:07 |
【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → 黒眼鏡「……そうか」 長く、長く沈黙があった。少なくともそこには納得があった。 思考がぐるぐると落ちた先には少なくとも着地点がはっきりとあって、 遣り切れない思いを消化するだけの道筋を得た、そういう響きだった。 「お前がそう云うんだったら、そうなんだろう。 そういうことにしておくさ」 憎まれ口めいた言葉を残して、冷たい廊下から立ち上がる。 長らくいられるわけではないし、こんな情勢で出来ることも多くはない。 いずれは案内をした職員も戻ってきかねない、それだけの時間が過ぎていた。 「アレッサンドロ」 最後に一言だけ、貴方の名前を口にする。呼び寄せるように。 けれども貴方に応える義理のあることではない。貴方に責のあることではない。 放り投げられたボールをどうしてやるかなんて誰が決めるものでもない。 振り向かない権利は貴方にあって、引く指に引かれてやるかどうかなんて、強制力もない。 そのくせ、こちらを向かない瞳に向ける諦めは、縋るような輪郭をしていた。 (-502) 2023/09/19(Tue) 23:31:12 |
【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 幕の中で イレネオ「そっ」 「揃いというわけじゃなくて……似たようなのしか持ってないんだよ」 どう聞いても苦し紛れの言い訳だ。 本当に似たようなのしか持っていないのだが、揃いと取られて当然ではあるのだから。 ただ、それを柔らかい笑みを浮かべて言われるものだから動揺してしまうのは仕方ない。 だって、ベッドはもう、すぐ側にあるんだから。 何をそんなに考え込むことがあるんだろうと、心を落ち着けながらも訝しんで。 揺れる視線をきょろきょろ追いかけながら明け渡されるように、ベッドの上に足をかけた。 「は、見る?」 「あ、いや……うん、そう、だよね」 通常、人を寝かそうとするだけなら一緒に寝る必要は必ずしも必要ない。 けれど以前の事を考えたなら、一緒に寝てもらったほうが良い。 酔いもあったが、隣に人がいる温かさと隣の寝顔のあどけなさが安心感を誘って、寝ることができたのだと、そう思うし、隣で見られているというのは、逆に緊張してしまうだろう。 だから――――― ▼ (-503) 2023/09/19(Tue) 23:32:02 |
【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 幕の中で イレネオ「キミも一緒に……、横に、 寝てくれない、かな 」心の中の言い訳を打ち消すかのように、ベッドの上から、そろりと手を伸ばして、ぎゅ、とその袖を掴んだ。 もう寝転ぶだけの状態だったから、あなたの視線は10cmよりももっと高くて自然と見上げていて、なんだか強請ってるみたいだな、なんて心の中で呟く。 揺らめく花浅葱が、こう言うので限界だと語っているように見えるかもしれない。 子供ではないのだから。 あんな話をしたのだから。 それがどういう事になるかなんて、ちゃんとわかっている。 逃げるチャンスだって、ちゃんとあった。 これが最後の”待て”なのなら、僕は”いいよ”と手を広げてやるだけだ。 (-504) 2023/09/19(Tue) 23:35:24 |
【秘】 渡りに船 ロメオ → 路地の花 フィオレ『そりゃいい。人を騙せる女はいい女だよ』 猫のスタンプが送られてくると少し微笑んだ。 かわい、と呟いて。 『おう』『任せな』 そう返せば、ロメオの返信は途切れるだろう。 「…………」 心配をしている。 様々を、考えている。 ロメオはこれよりもっと人が減る事を知っていた。 警察も、マフィアも。 目星がつけられている人がいるという事も。 自分が、あなたが、親しい誰かがいなくなった時。 その時のことを、考えている。 (-505) 2023/09/19(Tue) 23:39:51 |
【秘】 pasticciona アリーチェ → オネエ ヴィットーレ優しい声が聞こえる。いつも慰めてくれる時の、 頭を撫でてくれようとする時の貴方の声。 落ち着かせようとしてくれてるんだ。わかってるはずなのに、 「約束、した……ヴィットーレの、嘘だと思いたくない… 私達のこと、懸命に思ってくれてるのもわかるよ、でも… だけど、だけど……こんな場所に、何日もいたら……」 早く、早く何とかしないと。 どうしてこんなことになってしまったの。 子供達を救う為にマフィアになったヴィットーレ。 罪が一切ないとはいえないけれど、少なくともこんな目に遭うような人ではないはずだ。それが悔しくて、自分達を分け隔てる檻を意味がないとわかっていても強く、強く握りしめた。 暫くそうし続けていたが不意に何かを閃いたように目を開き。 「……そう、そうだ…… 逃走ルート、計算すれば、…… そうよ。早く逃げられるなら逃げられるに越した事は」 「あのね、ヴィットーレ、今考えるから。 時間はかかるかもしれないけど、うまくやれると思うの…!」 そうだ、名案とばかりに呟かれた言葉だが、 完全な自惚れだ。女にそこまで全てを搔い潜り、 貴方を密かに脱獄させる力は、一切ない。 幸か不幸か、ここまで無事に来れてしまったから。 不思議な力があるから、とんとん拍子に上手くいっている今、次もいけるかもしれないと、下手な高揚感に煽られ愚かな女は甘すぎる算段を立てようとしている。 (-506) 2023/09/19(Tue) 23:42:12 |
【教】 コピーキャット ペネロペ「あいつ、顔が広いからな。人気者の宿命ってやつかね」 盗み見た話では耳聡い者から順番に、と。 名前と長所が知れ渡っているという事は弱点にもなり得る。 凡庸である事のメリットもまた、そこにあるのだろう。 「あんたにとって敵でいいのか?穏健派だしまあいいのか。 ま、強引且つ唐突に施行された法案とはいえ 流石に優秀な奴が集められてるだろうしな」 「まあ実働部隊ともなれば色々恨みも買うだろう。 そのうち尻尾は出てくるだろうさ」 (/11) 2023/09/19(Tue) 23:42:43 |
【秘】 幕の中で イレネオ → オネエ ヴィットーレ男は貴方の店を訪ねたことがない。 あったならその笑顔はまた別の感傷を齎したのかもしれないが、今は単に胡散臭さを感じさせるだけだ。貴方への偏見が疑惑を助長する。 同じ穴の狢。 飛び出した言葉に、これはあからさまに顔を顰めた。 不快そうな面差しで言葉を吐きかける。 「愚弄するなよ。」 「マフィアなどと同類なわけがないだろう。この俺が?」 殊更に見下すような言動は、誇りを傷つけられた者の常だ。 それでも本人はいら立ちを隠しているつもりか、未だ声を荒げることはない。 代わりと言うように、再び、大きな溜息。 差し出された両手を、まるで汚らわしい物でも見るような目で見た。 「一緒に」 「するなと言っているんだ。俺は、お前たちとは違う。」 「無節操に暴力を好む、ノッテのような生き物とは。」 がたん。腹立たし気に椅子が揺れた。 同時に男の腕がだん、と机を叩く。 振動のせいで、爪の剥がれた断面と布地が擦れたはずだ。 その微弱な刺激さえ新鮮な傷口は拾うだろう。貴方は何か、反応しただろうか。 (-507) 2023/09/19(Tue) 23:45:38 |
【魂】 花浅葱 エルヴィーノ「どういう意味だよ」 言い方が、なんだか気に入らなくて拗ねたような顔になる。 急に変な例え話をしておいて、そんな、安心したような息をつくなんて、意味がわからない。 「普通じゃなかったら、なんなんだい?」 「言ってる意味はわからないけど……僕が誰に身体を許そうが僕の勝手だ。 許してもいいと思ったら許すし、自分の価値なんてどうでもいいよ」 大事な人に幸を与えられるなら、それを成すその時に、自分は別にそこに居れなくたって構わない。 他の誰が傷つこうとも、自分が傷つこうとも、それを成す方が良いと、本気で思っているのだから。 「でも、そうだな……」 「もし、そういう機会があったとしても……キミと恋人になるのは、嫌だな」 だって。 3ヶ月で飽きられてしまうのは、嫌だろう? 例え身体をキミに許したとしても、幼馴染が良いんだ。ずっと、ずっと、壊れることはないから。 執行候補の話には、一瞬目を見張ったが、そうか、と小さく息を漏らした。自分でも怖いほど落ち着いているけれど、自分には今はやるべきことがあると思っているから、取り乱している場合ではないのだ。 「近寄るなっていうけど……僕は僕のやれることをやる。 キミが捕まるなんて、僕は許さない」 「アリソン・カンパネッロに……僕は、会いに行くよ」 (_9) 2023/09/19(Tue) 23:50:58 |
【教】 pasticciona アリーチェ「言葉の綾で、つい…… 実際にどう集められたかはわからないから、 味方か敵かはわからないけれど…… でも打倒したい法案なのは事実だから……敵?」 「命じられていたりするなら恨みは私はないんだけどね… いずれにせよ、もう少し待つしかないのが辛いわ……」 (/12) 2023/09/19(Tue) 23:53:29 |
【妖】 路地の花 フィオレ「あとは置くなら私くらい?」 当然、冗談。話しながら、ローテーブルにチーズとろけるパニーニやサラダ。ローストポークにチーズや生ハムの切り落とし。デザートにはカットフルーツのパックを並べている。 それぞれ、食べきれるよう量は抑えられているようで。ワインも多くて1人2杯くらいといったところ。 ワイングラス、ある?なんて聞きながら。 「まあ、私の部屋も同じくらいね。殆ど使ってないし…… あとは貰ったものが置かれてるくらいで」 視線を追って、秋の花が目に入ると。ふふ、と小さく笑う。 家でも育ててるんだなあ。 「……兄弟同然で育ったひとがね、捕まったんですって」 「弟の方はあなたも知ってる顔かもしれないわ、警察の子だから」 だから、どうしてもね。と、一つだけ小さな紙袋をソファにのこして。 眉を下げて笑う。 ($13) 2023/09/19(Tue) 23:53:58 |
【秘】 渡りに船 ロメオ → うたかたの ダニエラ「そうなんだよ。ちゃんとオレの足音、分かんだなって」 誰かが自分の帰りを迎えてくれるなんてこと、 今まではなかったから嬉しいのだ。 先行きに不安はあるものの、今の所、いいなと思っている。 「ハ。違いないすね」 「気まぐれで店閉めないように店長にも言っときますよ」 店長は平気だと言っていたから大丈夫だとは思うけれど、 この騒動の余波で店を休まれるのもなんだか嫌なので。 バイトの身ながらでも守れるものはあると思いたい。 「……ああ。そういえばあんたはそうでしたね」 「世話んなりました。多分もう大丈夫」 「な」 猫もナア、と鳴いた。くつくつとロメオは笑う。 「オレも解放されたし帰るとしますわ。……」 「じゃ」 「また店で」 猫が付いてくる様子はない事にそっと安堵しつつ、 貴女に背を向ければ後ろ手に軽く手を振った。 呼び止めなければ、きっとそのまま公園を後にするだろう。 (-508) 2023/09/19(Tue) 23:56:46 |
【秘】 路地の花 フィオレ → 渡りに船 ロメオ『もっといい女になってみせるわ』 『道端に咲く花は、強かに生きるものだからね』 手を振る猫のスタンプを送って。 ここでこちらも返事を止めた。 「……いなくならないでね」 「みんな、私を置いていくなんて……本当に、嫌だから」 祈りを捧げる。女には、そのくらいしか出来なかった。 自分を支えてくれる人達に、理不尽が襲い掛かりませんように。 (-509) 2023/09/19(Tue) 23:57:45 |
【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → 口に金貨を ルチアーノ「若いな。相手が何者かも知れないってのに」 溢した声には多少の笑いが含まれていた。それを無礼と取ることも出来るだろう。 声音からいくらか相手が年若いことを見て取ったのが一つ、 こんな施策を振るう側であるのは違えない警官を相手にして尚案ずるほどの、 優しさ、あるいは俠気だろうか、それを懐いている姿勢に対してが一つ。 少なくとも警官のほうは、警戒ばかりを電話口に向けているわけではないようだった。 数刻。 入念に監視の目を欺いて追手を撒いて、待ち合わせ場所へと辿り着く。 貴方の前に現れた男は、長いコートを着込んではいるものの丸腰であるようだった。 拳銃の一つも提げてしまえば、あるいは防弾ベストなんて着込んでしまえば、 きちんとした仕立てのスーツは見かけの型が崩れてしまう。 一般人にはわからない違いだろうが、部下を率いるソルジャーの立場、 有望だろう貴方であればそうした違いは見た目でわかる範疇のことかもしれない。 片手にはアタッシュケースを持ち、小暗い廃屋の中に座る。 かつては待合席なりだったのだろう破れたソファの上に、男の姿はあった。 「……どうも。 少なくともここに押し込みが来ることは無い筈だ、安心しな。 確か話じゃ、俺が狙われてるってことだったが。どうしてお前がそれを知らせる。 俺が多少お前たちについて、口利きしてやってるからか? 今じゃあいつが捕まっているんだから、その利点もお前たちにあるかどうかわからんがね」 まずは、貴方の言葉に耳を傾けるべきだろう。 とはいえどこまで話すべきかなんてのは、貴方の立場を思えば難しいことだろう。 それとなく、己の側で思い当たりのあるところをぽつぽつと挙げる。 (-510) 2023/09/20(Wed) 0:04:49 |
【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 黒眼鏡――かつん。 廊下に一つの足音が響く。 牢の中にあなたはどんな格好でいるだろうか。 立っているなら堂々と見据えて、座っているなら冷めた目で見下ろして、あなたを見る一人の男が牢の前に立った。 いつもは客としてあなたの前に立っていたけれど、今日は違う。 警察として、多少の無理を通してここに訪れた。 そうでなければ、ここに堂々と来ることは出来まい。 「アレッサンドロ・”黒眼鏡の”・ルカーニア……いや」 つらつら語るはあなたの名前。 でもね、知っているんだ。お前の、正体。 「アリソン・カンパネッロ」 「……取り調べを……させてもらうよ」 ―――聞きたいことが、あるんだ。 (-511) 2023/09/20(Wed) 0:08:46 |
路地の花 フィオレは、メモを貼った。 (a19) 2023/09/20(Wed) 0:16:29 |
【教】 コピーキャット ペネロペ「法案に賛同したか、単に仕事としてやっているか、 何らかの取引、弱みを握られたか……思惑はそれぞれだろうな」 「間違いないのは例の法案が街を荒らしてるって事だ。 マフィア、警察、一般市民を問わずな」 誰彼構わず向けられる矛先は街の日常を壊していく。 それは誰にとっても本意ではなかったはずだ。 少なくとも、件の法案に賛同した者以外にとっては。 「この夢も予知夢までは見せちゃくれないらしいな。 ま……急いても事は動かない。次を待とうじゃねえの」 夢の景色は移り変わっては薄れ、消えていく。 そして、そのうちにまた、目が覚める。 (/13) 2023/09/20(Wed) 0:24:00 |
【秘】 法の下に イレネオ → 花浅葱 エルヴィーノ否定の言葉にまた笑みを深めもしたんだろう。 それくらいわかる。自分の家にある寝間着だって、全部同じような色形をしているんだから。 少し考えれば────考えずともわかるようなことを、真面目に否定する貴方が可笑しかった。 そして、続いた貴方の言葉。 段々小さく、尻すぼみになったそれ。 けれどその音は、きちんと空気を震わせて男に届いた。 それを男は、ひとまず無言で咀嚼したのだろう。 それが。 ▽ (-512) 2023/09/20(Wed) 0:35:29 |
【秘】 法の下に イレネオ → 花浅葱 エルヴィーノそれが、男が穏やかな顔をしていた、最後のこと。 貴方は男の袖を引いた。 それよりも強い力で、男は貴方の背を引き寄せた。 鼻先が突き合わされるほどの距離。 吐息を感じるほどの距離。互いの瞳しか映らないくらいの距離。 色を増した金色が、瞳孔の開いたその瞳が、全てを飲み込もうとするようだった。 「いいんですか?」「先輩。」 「 解っていますか ?」問う。 のは、きっと形だけ。 本当に止める気があるなら。 本当に止められる気があるなら。 こんな、確認はしないのだ。 これは責任を分かつ言葉。 貴方を共犯者にする確認。 狼は、既に牙を顕わにした。 (-513) 2023/09/20(Wed) 0:36:44 |
【秘】 うたかたの ダニエラ → 黒眼鏡開きかけた口がその悲鳴で閉じる。 そのまま眉間に薄い皺を寄せた。 何でこっちまで痛くならなきゃいけないんだろう。 なんだか満足そうなのが、また、腹が立つ。 「…… 辛い、ですよ。 」だからちょっとくらい仕返ししてやってもいいかなと思った。 「…聞いてくださいよ。」 「いきなり上司さんがいなくなっちゃって」 「困ったことがあったら言えだとか」 「仕事に穴は空けないだとかいってたくせに」 「どおしたらいいかわかんないじゃないですか」 「あたし、これから誰に何を報告したらいいんですか」 少しずつ声が震えていく。 本当に。仕返しですら痛くさせるんだから理不尽だこんなの。 まだ言ってやりたいことはいくらでもあるけど熱くなった目頭に中断させられる。 泣いてなんかやりたくない。路頭に迷ってただ泣くなんて嫌だった。 (-514) 2023/09/20(Wed) 0:50:43 |
【秘】 うたかたの ダニエラ → 渡りに船 ロメオ「……いいなあ」 しみじみとつい漏れた。 本気で検討したいなと思う反面、 もしかしたらこんな状態じゃなくても元から自分は飼えなかったかもななんて薄く思う。 「ふふ、よろしくお願いしまあす。」 幾ら目かのお願い。厚かましい常連客だ。 空になった紙コップを丁寧に半分に折りたたむ。 「お返事できるんですねえ。」 「かしこおい。」 あなたと一緒にくすくす笑い。 「はあい。」 「またお店でえ。」 立ち去る背中に手を振った。 ゴミやら何やら回収した後、そうして女も仕事に戻った。 (-515) 2023/09/20(Wed) 1:06:26 |
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