[ハマルは静かに目を伏せた]

「……いいや。
　ハマルにも心当たりはないのだ」

　[ハマルには詳しいことは伝えられていないのだと]
　[貴方は悟ってもいい]

「……すまない。ハマルはあまり役に立たなかったようだ」

　[眉を下げる][少年の言葉に顔を上げる]

「覚悟？」

　[ハマルは貴方を見ている]

　[ぱちり][ゆっくりと瞬きひとつ]

「……ある。
　ハマルはカウスとこの話をした事に後悔をしない。
　ハマルは、カウスの行動が良き結果を出すことを願っている」

「いいとも。
ハマルはサダルが興味を持ってくれてうれしかったからな！」
　[牧場までの距離はそれなりにある]
　[スケッチブックを羊に取られないようにと先に注意して道を進む]

「うむ？ハマルの家族は家族だぞ。
父と母とたくさんの兄弟と姉妹。ギルドの皆。
牧場の羊や犬や……たくさんの動物達。
ハマルと暮らすみーんながハマルの家族だ。

サダルの産みの親と育ての親が違っても、サダルがその人達を家族だと思うのならばその人々は皆サダルの家族だ。
ハマルとサダルは似ているな！」
　[ハマルは親だけでなくギルドの人々の手も借りて育てられてきた]
　[貴方の事情も似たようなものなのだろうと、ハマルは思った]

「―――カウス！【アンタレス】だ！」

竪琴の音。
ハマルは貴方の背に叫ぶ。

「今日動く“狼”はそいつかもしれない。
　ハマルの協力者はそう推測をしている」

「ハマルを信じても信じなくてもいい。
　……おまえの後悔しない方を選んで、そうしろ」