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【人】 口に金貨を ルチアーノ>>30 ニーノ 暗い知らせと取締法が収束しかけ明るい賑わいを見せる頃。 空は晴れ渡り、火花が空に咲き―― まだ知人達が数人拘留されている時間、外に用があった男は出歩いていた。 そうしてふ、と一台の車が目に入る。 その車の運転手など見えない、ナンバーに覚えもない。 それでも、都合の良い『あいつ』の車だと気付いた瞬間、 ルチアーノはパレードの通りに向かって走っていた。 パン。 音がやけに大きく聞こえた気がした。 どんな状況であるか男は確認できないまま辺りを見渡す、そして漸く見つけた知り合いは。 賑やかな喧騒の前に立ち尽くす、彼らが大事にする小さな弟分だった。 「ニーノ!」 その呆然としている姿に声をかける、貴方はこの嫌な予感の当事者であったのか。 それとも、ただの、目撃者であったのか。 #BlackAndWhiteMovie (37) 2023/09/27(Wed) 18:18:59 |
【人】 口に金貨を ルチアーノ>>49 ニーノ 「ヴィトー、……そうか。あいつが」 本当に、嫌な予感が当たってしまった。 だけど今ここに死体はない、周りが騒いでいる様子もない。 つまり彼はまだ生きていて、彼女は殺し損ねたか何かを仕込んだか。 少なくとも――その引き金を引いたのは確かなのだろう。 「……すまんなあ、ニーノ。止められんかった」 また男はあなたに謝った。 悪くもないのに、ただ謝った方が楽になれる気がして。 それは起こるのがわかっていたかのような表情で、諦めたような、それでも物悲しそうなものであった。 「旦那のことは諦めるんだなあ。 あの音で撃たれて騒ぎがないってことは もう何処かに逃げてるか、誰かに匿われてる。 行き場所は分からんが、……俺たちが探すから心配するなあ。 無事なら病院に直ぐ運ばれるだろうよ」 「それよりもなあ、ニーノ。今お前は誰に何を言ってやりたい。 ちゃんと決めんとならんだろ、俺はそれの手助けをしてやる」 「また一人で泣いてお家に引きこもるつもりか?」 #BlackAndWhiteMovie (52) 2023/09/28(Thu) 11:06:12 |
【人】 口に金貨を ルチアーノ>>54 ニーノ 「お節介なところが誰かに似た。 なんだ甘えたいのか、どうした?」 視線を一瞬だけ他所にやって、また顔を見返した。 やはり大人だといっても心配されるような家に居るのだろう。 羨ましいような、そんな自分も想像もつかないというべきか。 「なんだそんなことか。 お安い御用だ、その言葉のチョイスの是非は置いといてな。 いったい誰に貰った教わったのやら」 「重要なのは言葉の意味じゃない、おまじないであることだ」 そう言いながら、貴方の頬に手を当て、こつんと額を合わせる。 「ニーノ、お前は"大丈夫だ"」 余計なことは添えずに男の目は正面から貴方を見つめている。 根拠もない言葉がどんな意味を持って貴方の中に生きるのか。 きっと多くに生かせる人間であると男は信じていた。 それだけに頼り切らないで歩いてくれると祈っていた。 だから、これだけでいい。 #BlackAndWhiteMovie (61) 2023/09/29(Fri) 1:23:25 |
【人】 口に金貨を ルチアーノ背の低いしっかり者を見送ったあと、通知の鳴り止まない携帯を見る。 まだまだ自分は何処かで必要とされていて。 疲れても歩きを止めることすら許されないような気にさせられた。 「『ちゃんと答えを見つけて、言いたいことを言えるようになるから』……ねえ」 「俺もそれをしないとならんのだよな」 大きなため息をついて空を仰ぐ。 にぎやかなリボンを一つ空中でキャッチしてまた捨てた。 「それにしても今、あの旦那のことを頼まれたか……? どうせアレのところに行ったんだろ……人気者め……。 ……はあ、……俺が吹っ掛けておいて邪魔できるか」 あと何時間だろうか、と凡そ場所ももうわかっている。 片方の事は良く知らずとも、片方のことはよくわかっている。 あいつがやると言ったらやるやつだ、一番とは言わずともそこそこ理解者でいるつもりなのだ。 「アジトの様子見に行くか……あーあと牢屋の中の怪我人……。 忙しい、忙しいぞアレッサンドロ・ルカーニア! お前が放り投げた分全部俺が拾うことになってるの許さんからな!」 #BlackAndWhiteMovie (83) 2023/09/29(Fri) 23:14:10 |
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