情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新
【秘】 黒眼鏡 → Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ「あんたが正論を言ってると、 鼻をつままれたような気分になるよ」 ははは、と笑い声を放り投げる。 間に置かれた距離はちょうどよくて、 それでもきっと短すぎる。 「はいよ。 じゃあちょっと準備するから、大人しく座っててくれますかね」 店ならサイフォンを火にかけたりしはじめるところだが、 裏口から入れば店の外観からは想像もできないほど 狭くぎゅうぎゅうと物が押し込まれた部屋がひとつ。 あなたも何度か覗いた事くらいはある、事務所兼黒眼鏡の私室だ。 スチールデスクの上に置いてあった電気ケトルのスイッチを ぱちんと指で弾きながら、 「あんたからなんか持ってくるなんて、 明日は海が荒れるな。 船は出すなといっておかにゃ」 二つ置かれたカップのひとつをひっくり返して、 口許だけで笑った。 「で、ご注文は?」 珈琲ではなく、と。黒眼鏡の隙間から、瞳が覗いた。 #Mazzetto (-5) 2023/09/11(Mon) 21:20:14 |
【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → 黒眼鏡「別にいつでも詭弁を口にするわけじゃあないさ」 長い脚を折り曲げて言われた通りにソファに座る。 手持ち無沙汰げに上げた目が散らかった部屋を見回して、そのひとつひとつを眺めた。 小言じみた声を聞き流しながら、明け渡されずに残された物を見つめている。 机なりがあるなら、その上にビニエを置く。紙袋から取り出すまではしない。 ご丁寧にふたつきりのそれを、どう扱うかは持ち込んだ先が決めるべきということ。 座った席の肘掛けに頬杖をついて、注文の為に口を開く、その合間に視線が戻ってくる。 「言っただろう。最後になるかもしれないから、って」 スカイブルーの瞳は色付きレンズの向こうをじっと見つめる。 冗談にしては、視線は外れないまま瞬きも少ない。 #Mazzetto (-29) 2023/09/12(Tue) 1:27:19 |
【秘】 黒眼鏡 → Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ「そうとも。似合わないさ」 湯が沸く音、インスタントの珈琲が注がれる音、部屋を歩く軽い足音。 部屋は狭いなりに雑多な荷物が押し込まれていて、 いうなれば狭苦しい。 だが机の上はきちんと開けていて、 無秩序にちらかされているわけではないことは分かるだろう。 「皿」 さほどの時も置かず、コーヒーカップを二つ片手で鷲掴みに持ってきて、 もう片方の手で皿を一枚机の上にかちゃんと放る。 コーヒーカップもことり、と続き、 やっと空いた手でビニエの袋を吊り上げて、中を取り出し一つを皿の上に乗せた。 雑に手で押しやるように、その皿をあなたのほうに差し出す。 「――なんだ、ついに辞めンのかね。 それとも転勤? 勤め人は大変だね、旦那」 がぶり、とビニエにかぶりついて、瞳を合わせる。 視線が合わない時は一切合わないし、 合ったのなら外すことはない。当然だ。 #Mazzetto (-30) 2023/09/12(Tue) 2:08:27 |
【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → 黒眼鏡「燕が運ぶ黄金の元はここから剥いできているのか??」 言葉は暗に蔵の中身を空けたかのような部屋の様子を指していた。 いずれは此等も人々の手の中に明け渡されてしまうのか、 それとも難を逃れたものたちがここに残されているのか。 黒く帳の降ろされて色の見えない瞳を、見えているとでもいうように見つめる。 その癖見透かしているというには目元の険は鋭くはなく、望遠鏡を覗き込むようで。 しばらく見つめ続けたあとに、ふ、と満足げに笑って視線は外された。 何を悟って何に納得したか、なんて口にされることもない。 「お前のほうこそ景気はどうなんだ。市井が荒れると、書き入れ時だろう。 それとも一丁前に店一本に絞れるくらいにはそろそろ腕も上がった頃か?」 貴方を見つめていた時には蝋のように動かなかった指は、すいとコーヒーカップの方を取った。 手間の少しも掛けられていないインスタントであるのを目の前にして知っているのに、 わざわざ一口啜って、皮肉っぽく片眉をあげた。 #Mazzetto (-35) 2023/09/12(Tue) 7:43:38 |
【秘】 黒眼鏡 → Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ「そうだったり、そうじゃなかったり」 ここにあるから渡している――だけではなく、新たに買ったりしているらしい。 意味不明だ。 彼自身が使っている電気ケトルなどは、簡素でシンプルなものでしかない。 目を合わせて、言葉もなくじいと視線が交わされて── 肩を竦める。 不十分だ。 だが、十分だった。 「客は来るよ。こないだも、警官さんが来たぜ。 まったく、人気店は困るね」 客が来るのは当然のことだ。 珈琲については自分も口にして、眉だけをあげて、 …少しだけ笑ってから、腕を組んで。 「……うちは流通だ。 何もなくつつがなく、ただ流しているのが一番儲かる。リスクもなくな。 しばらくはやりづらいだろうな。 俺の好みじゃない」 10年カポとして"真面目に"やってきた男の手腕は、 驚くほどに保守的で慎重なものだ。リスクを最も嫌う。 今の状況は、彼の指揮する"港"にとってはあまり好ましいものではないのだろう。 #Mazzetto (-38) 2023/09/12(Tue) 8:26:54 |
【人】 花浅葱 エルヴィーノ>>37 黒眼鏡 「やぁ、ご無沙汰だね」 これはどこかの時間。 あなたと会う時はいつも、”買い物”をする必要がある場合が殆どだ。 「いつも頼んでるものが欲しいんだけど、用意はあるかい」 質のいい睡眠薬。 国では禁止されている薬物。 それからずっと探している質のいい職人の情報。 その中から”いつも頼んでるもの”というのであれば、それは質のいい睡眠薬のことだろう。 #Mazzetto (40) 2023/09/12(Tue) 9:38:09 |
【人】 花浅葱 エルヴィーノ>>44 黒眼鏡 「ありがとう、珈琲いただくよ」 お世辞にもカフェには見えぬ店内で、いつものように気怠げに椅子に腰掛けていただくそれは無糖のブラックだ。 今日はこういう気分だったのか、それとも客の好みを熟知しているのかはわからない。 ただ、カフェインは幾分かは眠気をマシにしてくれるのでありがたいと思っているから遠慮なくそれを口にした。 ここで何かを盛らないと信用出来る程度には顔見知りであるし常連だった。 「いつも助かる。 ドラッグストアのものは効き目が弱くていけないね」 聞かれはしないものの、差し出されるだろう紙袋を見るとそう言葉を漏らして。 勝手知ったる様子で薬の代金を取り出す。 こういう所で足のつくカードなど使えないのは百も承知。ちゃんと現金を持ってきていた。 #Mazzetto (48) 2023/09/12(Tue) 12:16:30 |
【人】 黒眼鏡>>48 エルヴィーノ 「珈琲をきちんと飲んでくれるやつは、皆上客だ」 自動車修理業のほうと喫茶店、店の内装はそれを半々につなぎ合わせたようで妙なものだ。 なんともハードルが低いことを口にしながら、代金を受け取る。 ついでに、と包みに入ったものをいくつか、一緒に渡す。 「ついでにこれとこれ。 あー、正真正銘ただの菓子だ。 そっちは飴で、そっちが焼き菓子だったかな」 ここで買い物をすると、たまにこうして何かを押し付けられることがある。 別に断っても、「そう?」と引き下がるだけだ。 「ちゃんと寝るのは大事だからな。 体には気を付けろよ」 ついでに、お節介もひとつ。 #Mazzetto (49) 2023/09/12(Tue) 12:45:15 |
【人】 花浅葱 エルヴィーノ>>49 黒眼鏡 「それじゃキミの顧客は上客ばかりだね」 飲まない人間もそれなりにはいるだろうけれども。 差し出された紙袋の中身を確認すると、確かに何か他のものが入っている。 「おや、今日はおまけ付きかい。 飴も焼菓子もありがたくいただいておくよ」 渡されれば特に嫌がる様子は見せないし、素直に受け取っておく。 シエスタの時のいいおやつになりそうだ。 「はは、キミにそういうお節介をいただくとはね。 まぁ、大事なときはこれでちゃんと寝てるさ。あまり常用すると薬が効かなくなるだろう?」 #Mazzetto (57) 2023/09/12(Tue) 16:19:43 |
【人】 花浅葱 エルヴィーノ>>59 黒眼鏡 「そう。まぁ、キミが繁盛してるお陰で僕もいい物に恵まれているんだから助かるけどね」 最近のノッテの幹部にしては話が通じる方で助かるが、やはり変わった男だと思う。 どうせ客の素性など隠していても調べていることだろう。客とはいえ、警察の自分に向かって倒れられたら困るなどとは、おかしな話だ。 まぁ、どうせ世辞のひとつではあるのだろうけれど。 「僕の方こそ、キミが居なくなるとそれなりに不都合がでてくる。 ワルい事をして検挙されないように気をつけてくれるとありがたいんだけどね」 マフィアは嫌いだ。 それでも、関係を絶てない事情もあるから多くは語らない。 互いに弁えられるからこそ、ありがたく利用させてもらってるわけだが……さて。 「忠告に従って車にも精々気をつけるとしよう。 あぁ……そうそう。情報の方もいつでも待ってるよ。腕のいい義肢装具士を探してるんだ」 その言葉を残すと、じゃあねと軽く手を上げて海風の香る道路へ向かう。 止められなければそのまま、乗ってきた車で引き返していくだろう。 #Mazzetto (65) 2023/09/12(Tue) 19:11:36 |
【人】 黒眼鏡>>65 エルヴィーノ 「そうだろうそうだろ、 持ちつ持たれつというやつ」 なんとも楽しそうに笑う。 若者と話すと楽しい、などと前にこぼしたことがあるが、 本気だったのだろうか。 「万が一俺がいなくなっても、 引き継げるようにはするがね。 そこは…アフターサービスだ」 物騒なことを口に出しつつ、 無害をアピールするように両手を挙げて。 店の扉をからん、と空ける。 「そうしてくれ。 情報もうちの商いだが、これはいつ入るかわからない。 気長に待っていてくれ」 よほど暇なのか、店の外まで出てあなたの車を見送る。 手を振るでもなく声をかけるでもなく、 あなたの姿が見えなくなるまで見送っていた。 #Mazzetto (71) 2023/09/12(Tue) 21:44:21 |
【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → 黒眼鏡曖昧な回答に対するのは、ああ、なんて対象も不明な相槌ばかり。 一度外した視線は自由に動きはじめて、外とは隔意の有る空間を眺める。 漠然と眺めるというよりかは、遠い昔の面影を探すようにゆらゆらと表面を動いた。 「客入りがあるのだったら市民の一員らしく歓迎するところだけれど。 ……自動車工の素振りにしばらくは絞ったらいい。 どうせそんなに長くは保たないさ。緊縮の似合う島じゃない」 軽々に言って、カップを持ち上げる。大して手間の掛かっていない味わいを口に含む。 黒い手袋を外せば肉の削げた指が垣間見えて、ビニエの表面に食い込んだ。 もったりとしたバニラクリームを引き立てるように、オーソドックスなアーモンドの生地が挟み込む。 見た目の甘ったるさに比べて存外軽い焼き菓子をゆっくり味わう。 この島に、街にありふれた光景だ。 「"港"を封鎖できるほどの力があるわけでもない。 ……そんなこと出来たらとっくにお前たちのことなんて追い出せているよ」 #Mazzetto (-106) 2023/09/13(Wed) 6:52:17 |
【秘】 黒眼鏡 → Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ菓子。電化製品。装飾品。酒。 高価なものから安価なものまで。共通点はない。 あえていうなら、必要とされていない、そのくらいだ。 当時から、飾り気や色気には興味のない男だった。 けれどそれは、先を焦り、目を向ける余裕がないだけだった。今は。 「税金は払えてるさ。…ンまあ、そうだな、長く続くとは思えない。せいぜい、身をかがめてドアをくぐるさ」 額をぶつけないようにな、と身をかがめる仕草。 ばり、と口の周りが汚れるのも気にせずに生地を噛んで、 少し溢れたバニラクリームが唇にしがみつく。 それをぺろりと舌先でなめとりながら、 ほんの3口程で食べ歩きの林檎のようにビニエを平らげてしまった。 味わう、という言葉とは程遠い。 「いつも警察の皆さんには、お世話になってます。ははは、そう、イレネオくん。 "表"の仕事してるときにまで、港に張り込みに来てたらしいよ。 国税局に転職したほうがいいんじゃないか、あの真面目さは」 言葉の内容ほどにはあざける様子はなく、むしろ好ましそうな語り口。 頑張っている若者。この男が明確に好意を示す、数少ないものだ。 「……で?」 そこでぱた、と笑顔を止めて。 「忠告は分かったけど。旦那はどうすんだい」 #Mazzetto (-117) 2023/09/13(Wed) 9:17:10 |
【人】 コピーキャット ペネロペ「アレさーん、やってますかあ〜」 朝を過ぎ、昼の前か過ぎた頃。或いはその他の都合の良い時間。 看板が出ている事を確認すれば、迷わず店内へ入っていく。 そこにドライブ中のボードが掛かっているかはさておいて。 先客が居る可能性も考えて、一応のうわべを被りつつ。 連れ はともかくとして。この猫被りには、店主が居なくとも戻ってくるまで居座るだけの胆力はある。 #Mazzetto (113) 2023/09/13(Wed) 19:16:40 |
【人】 コピーキャット ペネロペ>>119 >>120 カフェ 「はいよ」 ずい、とビスコッティをダヴィードの方へ押しやった。 珈琲が準備される器具の音を空調の合間に聞きながら、 クラッカーをもう一枚抓み、ぱり。 「最近ねえ。 こっちはまあいつも通りだわ。良くも悪くも それが一番っちゃあ一番だけどな」 「あー、アマラントの飯は美味い」 雑な近況報告。或いは営業。 そわそわと落ち着かない様子の連れに対して、 こちらはたいそう我が物顔で居る。 「そう言うアレさんの方は? なんか良い事の一つでもあったか?ダヴィードも」 #Mazzetto (121) 2023/09/13(Wed) 21:29:53 |
【人】 黒眼鏡>>120 >>121 「おう、喰え喰え」 黒眼鏡の生態として、 若いのが飯を食っていると嬉しそうにする。 もしかしたらおじさん全体の生態かもしれないが。 片付けに関しては「気にするな」と手をふって、 ダヴィードに座るよう促した。 「いつも通りが一番だ、商売も人生もなんもかも」 含蓄があるんだかないんだか、わからないことをいいながら。 「アマラントか、最近行ってないな。 行ってみるか」 自分の分の珈琲も準備し終わって、カウンターに肘をつく。 「俺も……特にはねえな。 なんだか騒がしくなりそうだが、 デキる男の俺は仕事に常に余裕を持っている。 つまりは問題なしってコト」 ず、と珈琲を傾けて。 「まぁそんな忙しさに向けて、お前らの様子を見たかっただけだ」 #Mazzetto (122) 2023/09/13(Wed) 21:38:54 |
【人】 門を潜り ダヴィード>>121 >>122 気を使わせてばかりではだめだ。促されるままに大人しく座る。 ビスコッティをかじり、時折提供された珈琲に浸しながら貴方達の話を聞く。 「ええと、こちらもいつも通りです。 最近は皆大人しくなってきてるので、誰も怪我してません」 「アマラントってバーですよね。 ご飯だけでも行っていいものですか?」 煩いことを言いはしないだろうかが、店に迷惑がかかるのはよくないため。 「噂があるみたいですね。 ……おふたりとも、何かあれば絶対呼んでくださいね。 何をしてても飛んできますから」 #Mazzetto (123) 2023/09/13(Wed) 22:03:04 |
【人】 コピーキャット ペネロペ>>122 >>123 カフェ 「いいんじゃねえの、飯だけでも。 マスターも嫌な顔はしないだろ」 憶測というよりは、断定形で。 店員として彼の店のマスターの食事への拘りを知っているから、 食に関してはそうそう客は選ばないだろうと。 この自称カフェの主がそうであるように。 「あー、例の噂か。 下が知ってる事は当然上も知ってらあな。 ま、この通りだよ。今はな」 いつも通り、と答えたダヴィードを顎で指し。 珈琲に砂糖一つ沈め、かき混ぜて一口。 あなたのバリスタの腕は以前より上がっただろうか。 「犬の躾も問題なしってわけだ。 何も無けりゃそれが一番だが、 何かあればお前にもしっかり働いてもらうだろうよ」 文字通りすっ飛んできそうな言葉には冗談ひとつ。 とはいえきちんと頼りにしてもいるらしかった。 #Mazzetto (127) 2023/09/13(Wed) 22:35:00 |
【人】 黒眼鏡>>123 >>127 カフェ 「そーかそーか。 なんもねえなら、それでいい」 …もう用件は終わったのだろうか? うんうんと頷くと、ふたりの話に耳を傾ける。 「ああ、なんかあったら呼ぶよ。 クソ重たいガソリン缶が届いた時とかな」 ダヴィードにはそう、軽口で――けれど頼もしげに頷いて。 「お前は変なことに首を突っ込みそうだからな。 そもそもマジで通るのかわからんが、 どちらにせよ何か動きはあるだろう。 しばらくは大人しくしておけ」 珈琲についても、いつも通り。 良くも悪くも特に何か変わったことがないのは、いいことなのかどうなのか。 「そうだお前ら。 レストア終わった車が一台あるんだが? どっちか要るか? 足が多くて困ることはないだろ」 ……なくはなさそうだが。 #Mazzetto (138) 2023/09/14(Thu) 2:13:46 |
【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → 黒眼鏡眦は細く、無機質なガラスやプラスチックの表面を見つめた。 集合体の意図するところを理解したなら、それで視線は逸れてしまう。 聞いたふうな口を利き、悟ったような目をして、見知った街路を歩く足がある。 訪れたことも多くはない部屋を一個一個理解したように頭の中に入れてしまって、 もう分かったとばかりに帰った視線はアーモンドのまぶされた生地の行き先を見ている。 スカイブルーの目は澄んだ空のような色ほどには冴え渡ってさえもなく、 曇天めいて淀んだ色が閉じ込められているだけであるのを、分かっている者は少ない。 春霞の向こう側にぼやけた焦点は今は貴方の所作だけを追っていた。 「ああ、あの子か。まだ若いだろう、あまり焚き付けないでやってくれ。 彼の熱心さが彼の足元をおろそかにさせるようにはしてやりたくないんでね」 ふ、と表情が緩む。庭の花でも見るような穏やかな皺が目元に寄った。 己の手の届く範囲にあるかれらに対するときの男は、一層ありふれた老成を現す。 老いさらばえていくもののように緩めた表情が、どれほど実を伴っているものか。 「どうも」 笑う表情は変わらない。 『いい警官』になってから、余裕のあるかのような表情が鈍ることは少なくなった。 他愛なく進む会話が時計の針を押すごとに、いつしか皿もカップも底がまあるく顔を出している。 「為るように為るものだよ」 #Mazzetto (-224) 2023/09/14(Thu) 2:58:42 |
【人】 コピーキャット ペネロペ>>138 カフェ 「シロートに運ばせたら腰やるやつだろ、それ」 けらけらと、軽口に野暮な口を挟みつつ。 珈琲をもう一口。いつも通りの味はおそらくは良い事だ。 「ま、当面仕事は気の早い輩に蹴り入れるくらいだろうな。 現状維持は得意技だ。犬も飼い主に似てくれりゃいいが」 また一口。そう温度が変わらない内に飲み干せば、 お代幾らだっけ、と言いかけて。 「…車ぁ?随分気の早い誕生日プレゼントだな。 俺はともかくコイツが貰っても私有地でしか乗れないだろ 運転手雇うんでもなきゃ暫く贅沢な鑑賞品になっちまうぞ」 コイツ、と指すのはダヴィードだ。 俺はともかく、と言う辺り自分は寄越されれば使うのだろうが。 #Mazzetto (139) 2023/09/14(Thu) 3:31:54 |
【秘】 黒眼鏡 → Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ言葉も四肢も、その間に立ち塞がるものを埋めようとはしなかった。 ただ視線だけが互いの色を、その粒子のひとつぶひとつぶを見極めるように交差する。 直接その双眸を見やること、それすらも最近はできてはいなかっただろうから。 「いじめたように言ってくれるなよ、こっちはオフの日に話しかけられたから応じただけだって。 旦那の教育方針を疑うわけじゃないが、あれはそのうち痛い目見るぞ。 普段ならともかく、今はいささか状況が悪い。 怪我せず転べないのなら、子供の手は握るべきじゃないか」 年を取ったなあ、などと柄にもない言葉が意識をかすめる。 そしてそれはきっと自分もそうなのだと思い、 苦笑しながら黒眼鏡を指で押さえた。 「それも、そうか」 だから、帰ってくる言葉も素直にすとんと、腹の奥に落ちてくる。 そういうものだ。 「じゃあしょうがねえな。 何かやることは?」 明日の話はできない。 だから、とりあえずは今の話をしようと思った。 #Mazzetto (-235) 2023/09/14(Thu) 5:39:28 |
【人】 門を潜り ダヴィード>>138 >>139 カフェ 「ガソリンでも何でも。 やれと言われればやりますよ?」 軽口に少し緊張をほぐし、力こぶを作ってみせる。 筋骨隆々とはいかないにせよ鍛えてはいるのだろう。 「大人しくお家に篭ってます。 言いつけを破っていいことなんか今までひとつもなかった」 犬はしっかり飼い主たちの言うことを聞く。 そういう風に育ってきたし、それが幸せになる術だと知っているから。 「車……は、いただいても乗れないですね。 ああでも、いつか3人でお出かけとか……いいなあ」 何やら別に思いを馳せている。 時が来れば免許を取る気が少し出たのかもしれない。 #Mazzetto (140) 2023/09/14(Thu) 7:11:03 |
【人】 黒眼鏡>>139 >>140 カフェ 「このトシで運ぶのキツくなってきてな〜〜。 おーしおし、偉いぞダヴィード。体を鍛えて悪いことはない」 ダヴィードの腕を見て、ぱんぱんと嬉しそうに手を叩く。 「ああ、ふたりともそうしてくれ。 ……いうまでもないと思うが、情報共有もしっかりな」 やっとカポらしいことを言ってから、 壁のボードにかけられたキーを指先でひっかける。 「いざという時エンジンくらいはかけられるようになっとけよ? 俺は14の時にもう運転してたぞ」 おっさんのヤンチャ自慢が始まりつつ、キーを投げ渡す。 「じゃあペネロペ、お前持ってけ。 で、どこでもいいから停めとけ」 どうやら、逃走手段みたいな話のようだ…。 #Mazzetto (144) 2023/09/14(Thu) 10:43:57 |
【人】 コピーキャット ペネロペ>>140 >>144 カフェ 「はいよ」 投げて寄越された鍵をしっかりキャッチ。 使える足が多いに越した事は無いのは事実、有り難く頂こう。 「アレさんと親父の若い頃を基準にしてたら 命が幾つあっても足りねえって。 ……ま、そのうちな、そのうち」 ヤンチャ自慢にはそら出たと言わんばかり、 いつかのお出かけにはそう返して。 「俺ほど情報共有きっちりしてる奴も居ねえって。 んじゃそろそろお暇するわ。ダヴィード、他に用無いか? 必要なモンあるなら頼むのは今のうちだぞ」 「ああそうそう、珈琲のお代は?幾らだっけ」 一応は客として来た手前、ちゃんと勘定はしておこうと。 車のキーをポケットに仕舞い、代わりに財布を取り出した。 上司らしく連れの分まで払ってやろうかと思いつつ。 #Mazzetto (145) 2023/09/14(Thu) 13:43:38 |
【人】 黒眼鏡>>145 ペネロペ 「行けるうちに行っとけよ。 俺なんか腰が重くなっちまってもう」 ここ以外ではほとんど見かけることがない男は、 のんびりとカウンターに肘をつく。 君たちを見送る構えのようだ。 短いやりとりで、"仕事"上必要なことが含まれていたようには思えない。 となればやはり、顔を見たかったというのが本音なのだろう。 そのくせ、来たら来たでこの調子なのだから、 なんとも放任主義がサンダルを履いて歩いているような男である。 「ああ、知ってるよ。必要なことは言うだろう」 お前ならな、と付け加えながら…お代と言われて、手のひらを突き出す。 「いくらだっけな? 忘れたな。 次もちゃんと顔だしたら、その時払ってもらおうか」 …おごり癖が出た。 #Mazzetto (146) 2023/09/14(Thu) 14:24:30 |
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新