人狼物語 三日月国

68 【身内】空想模倣機体は駒鳥達の夢を見るか?【R18G】


【神】 殺人鬼 ルヴァ

>>G92 ゲイザー

「……ぐ」

 喉元が締め付けられる。明確な殺意。
 先ほど彼女が宣言した通り、頸動脈をしっかり押さえているようだった。血流が食い止められる感触と、耳鳴りがする。

「…………、……」

 上手だ、と褒めたかったけれど声には出せなかった。
 代わりに涙が零れた。きっと生理的なものだ。

「…………」

 涙がぽろぽろ零れ続けた。苦しくもないのに零れ続けた。
 気分屋は目を細めた。

 気分屋には幸せを他人に与える義務しかない。
 ただ人の苦痛を買い取り、快楽を与え、それでも幸福になれない人間は楽に死なせてやっていた。
 ゲイザーもその一人。
 そのはずだった。
 彼女は逆に気分屋に幸せを与えようとした、たった一人の人間だ。
 気分屋は、嬉しいと感じた。
 気分屋は、彼女を大切だと感じた。
 これは気分屋が持てなかった感情だ。だから、ここには存在しないものとする。


(G93) つよし 2021/04/26(Mon) 20:22:26