人狼物語 三日月国

203 三月うさぎの不思議なテーブル


【人】 厨房担当 ゲイザー

[色々と慌ただしい中でも、ローストビーフの準備は進んでいく。

 余分な脂のない綺麗な赤身の牛の、モモ肉のブロック。
 塩を振った状態で冷蔵庫に入れていたそれは、ローストビーフの需要を見越して、少し前から常温に戻している。
 調理を始める頃には、火がちゃんと均等に通る程度の状態に。

 水気を切ったブロックを、薄く油を引いたフライパンで弱火に。表面を思いっきり焼き上げるのではなく、あくまで優しく、やさしく。
 ブロックを転がして底面を変えては、じっくりと加熱して、また転がして、加熱して――全体の色が変わったところで取り出し、コンロの近くで暫くお休み。
 火にかけていない間も、余熱がじんわりとブロックの中に。

 やがてこのモモブロックは、予熱していたオーブンへと移される。また火を入れ、取り出して、金串で火の通り具合を見て――。
 「オーケー」と胸の内呟いてから、暫く粗熱を取るために置いておく。

 ……もう少し早い時間に仕込みをしておけば良かったか、と思いながらも、作業の無い待ち時間は、ローストビーフ用のソースや二種のクッキーの為に。]
(199) 2023/03/05(Sun) 17:25:33