人狼物語 三日月国

87 【身内】時数えの田舎村【R18G】


【見】 天狼の子 夜長

>>81>>t16【海の洞窟】鬼走

 向けられた光に目を細める。彼にこんな責められるような物言いをされたことははじめてで、疑問符が頭を埋めつくすのがしばらく続いた。

「 臣ですよ、雅也さん、……?」

 やっぱり、なんでだか音が出なかった。言えているはずなのに。

「喉や耳がおかしくなったとは思う」

 こくり、頷く。事実を改めて認識しただけの、淡々としたもの。

「……それと俺は、散々、と頭につけられるほど特別多く、
 雅也さんから瑠夏さんと久さんの話を聞いた覚えはないです」

 夜長のその認識はそれほど間違っていないし、鬼走の和臣に対してしたことの認識も間違っていない。本当に、どちらも間違っていない。

「一緒に働いているのは知っているが……翔さんの話よりも、
 そんなに多かったですか? 村の話はいつも雪子さんから
 始まるから、俺はそう思ったことはなかったな」

 あんまりに御伽噺のようなことだから、すぐには浮かばなかったのかもしれないが。"彼のこの姿が幻かもしれない"ということを考えれば、ただの和臣の偽者である以外の可能性も、あなたは思い付くのではないだろうか。

 雪子のことをさん付けで呼んだり、母さんと呼んだりする人物の心当たりは、きっと一つだけ。そんな立場の人物が、他にいるわけもない。
(@12) 2021/08/14(Sat) 2:07:47