「能力の使用先や対象はまァ、ひとまず横に置いて聞いてみるけどさ」

「票、入れる先は決まってるかァ？」

『あちら』に看守が二人いるから、アンタにも声はもう掛かってるかもしれないけどなァ。

「ひょっとしたらアンタの能力の使用先や対象を殺すことに繋がらないかもしれないけどよ」

「票、どうするつもりか決めてるかァ？」

看守が二人いるらしい『あちら側』に、もう声掛けられてるかもしれないけどなァ。どうせなら混ぜた方が楽しいだろ？

『やあ、エルナト。あれから色んな囚人と話せた？』

　あなたの端末に届いたメッセージの送信者は、先日あなたがallwhoチョコで自引きした看守の本体だ。本体ってなに？？？

『色んなところから情報が来て役職ほぼ全部見えたんだけど、
』

/*

「投票先ですか。シトゥラ様かアルレシャ様か……いずれにせよ看守様に入れるつもりではあります」
「勝ち負けとは無関係な話になりますが。なにせ今のところ、村狼の割り振りが全く分かっていませんので」

あ！本体様からのメッセージだ！！

『いえ、今のところはそれ程お話しできていません。私なりに気を使ってはいるのですが』

シェルタンにご飯を分け与え（ようとしてピチねばのねばを召喚してしまっ）たり、自ら処刑を希望したスピカに何か悩みでもあったのかと思ったり（すぐ勘違いと判明したので口には出さなかった）……


『もう情報を集められたのですか。さすがバーナード様、広い情報網をお持ちですね』
『もちろん、勝つつもりはあります。せっかくのゲームなのですから、勝ちを目指さないと勿体無いですし。』

「今なァ、ざっくり言うと看守(狼&狂人)vs看守(決闘者&うさぴょん)」

勿論囚人連中も噛んでんだが、なんでまた看守同士でぶつかってんだろうなァ。

「……都合上、今日はテンガンを処刑しようと動いてはいる。
　明日は僕か狂人のナフになるんじゃねェか？」

『なるほどねえ。まあ急に色々変わるのはあまりないだろうし、ゆっくりでもできているならよかった』

　ピチねばとか……スピカとか……ろくでもないかもしれないけど確かな進歩だと思うし、そういう変化が訪れたのならよかったなあと思っている。これに関しては完全に本心だ。

『まあね、色んな人が色んなこと教えてくれたから』
『狼に勝ちたいのなら教えるね。狼は、囁き狂人はだよ』
『つまるところ、アルレシャとテンガンを吊れば終わるからナフはどちらでもいいんだけど……ナフを殺すにしても殺さないにしても、お楽しみは最後にとっておきたくない？』

『というわけで本題ね。今回、への投票に協力してくれたら嬉しいんだけど、どう？
　』

「か、看守様と看守様の戦い！？そのようなことが水面下で行われているのですね……！」

密やかに議論をかわす看守達の姿、さぞかし素晴らしいものだろう。
……まあ個人の欲望はさておき。

「なるほど……？　シトゥラ様の頼みであれば、今日はテンガンに投票しましょう。シトゥラ様は村人陣営のようですし。
」

『進歩……しているのでしょうか？
まあこれからも少しずつ努力していきたいと思います』

『なるほど、アルレシャ様とテンガンが……。本物の騙し合いゲームでなくて良かったです』
『私個人としては、ナフ様吊りはぜひとも見たいところですが。今すぐでなくても機会はありそうですね』
『実は別の方からもテンガンへの投票を打診されました。村のためになるなら、その案に乗ります。バーナード様から感謝していただけるならそれが最高の見返りになりますから』

「言っとくが、アンタが思ってるよりずっと醜い争いだぞ」

アンタ目線だと白鳥のバタ足みたいなもん……って秘湯になるかねェ？

「そう言ってもらえると助かる。ちと心もとなかったもんでな」


看守の内訳は凶狼・囁き狂人・月兎・決闘者だ。……恐らく。シトゥラは顔まで見れないため聞こえる会話と会議中の発言で判断している。故に狼が一芝居打っていなければ、になる。
そう。シトゥラは狼の会話を聞いて村人側についた月兎だ。純粋な村人陣営の看守はエルナトだけなんだよなァ……。なんでだろうな？

『変わろうと思った、動いてみている。これだけで今までの君から二歩も進んでいることになるんだよ。うん、応援してるね』

『頭のいい二人が人狼になったなあって感じだよね』
『ナフ吊りは本人も喜びそうだし、できるならさせてあげたいね』
『良かった、協力してくれてありがとう！感謝はたくさんするけど、他に何か俺にできることがあったら言ってね。恩返しできたらな、って思っているから』