人狼物語 三日月国


180 【R15RP村】月影のさやけさ、 秘めたる願い

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― to:天ヶ瀬くん ―

[そうやって迎えた三日目。
願い事が見つからないのかと聞かれれば、
私はこう返した。]


 この前も少し話したけど。
 私の考えてることは、幽霊がいなくても
 自分でどうにかしなきゃって、
 元々そう思っていたことだから。

 それにね。何にせよ、
 ずるいお願いの仕方はやめようって思ったの。

 だから私は、もし何か願っても
 少し手を貸してもらうくらいで。
 お願いできなくてもそれはそれで、
 どうにかできるから大丈夫。


[本当言うと、長い間うじうじ悩んでた
過去の自分もいるわけだけど。
そこは多少強がったって許されるでしょ?]

 

 

 じゃあ、これからは
 あおちゃんって呼ぶね。

 だめかな?


 今日はここでお話してる間。

 明日からのことは、また明日話そっか。

 

 

 嫌いにならないよ。
 なる要素あったかな、わからないけど

 うん、ひとまずお願い事預かったから。
 もしもの時は言ってね?

 でも、もしもがなくても、
 あおちゃんが何お願いしてもしなくても

 よかったら昨日教えてくれたお店、
 今度一緒に行ってくれないかな。
 ほら、初めてのお店に入るのって緊張しちゃうし。


[シェアして一緒に食べようって
そこまではまだ書かなかったけど。

女の子になりたい天ヶ瀬くんでも、
女の子になった青葉ちゃんでも、
私はどちらでも、そうできたらいいなって思った。]

 

 
[急いで送ったメッセージは、
やっぱり言葉足らずだったかもしれない。
ちゃんと伝わった自信がなくて、
少しの間、手元から目が離せなかった顔を上げられなかったけど。]



 (猫じゃらしのスタンプ)

 猫ちゃんにちゅ〜るあげてみたいなあ
 うち、ペットいないの。


[途中で送れなかった猫への返信。
なんでもない会話をひとつ、付け足して。]
 

 

── 3rd day 昼過ぎ ──


 大木と話したあと、そして学校を抜け出す前。
 あたしのもとに一通のメッセージ。
 なんて返すか悩むよりも先に、
 未早には『あーそうだよなー』って気持ちが沸いた
 

 『 ごめんね、心配かけてるよね
   生きてるよー。 』


 そんなひとことだけをぽん、と送る。

 

 

 4th dayが来たら、全部伝えよう。
 だから今は

     
    
おつかれ鯖
 って書かれたスタンプ *


 

 

  うん、聞かせてほしい
  時間は、今からじゃダメ?
  今、中庭にいるけど
  あたしが絵音くんのところまで行った方が良いかな

  でも、今はまだ、
  あたしははっきりした答えは出せてない
  それでも、良かったら

  決めてからの方が良いなら、また後で


[ 文面でのやりとりは得意ではない
 だから、敢えて思いは書かない
 授業をサボっていることは暗に伝えるが
 ]
 

── TO:秋氏@──

じゃあ俺が中庭に行く
今外だからちょっと待ってて

なんでもいい。今の秋獅フ気持ちが知りたい
話を聞くくらいは出来ると思う。

[ 文章は極力短く、今伝えるべき部分に留めたつもり。

  話を聞く以外に何もするつもりが無いのではなく、
  全ては会ってみなければ分からない為に。 ]

【人】 天ヶ瀬 青葉

 ── 3day・休み時間 叶冬ちゃんと ──
 
 
 今日は、休み時間に彼女と視聴覚室で
 ユメリンを応援する約束をしていた。と、言っても
 同じMVを観ながら語り合うだけだけど。

 ペンライトを忍ばせた鞄を手に持ち、
 彼女の席の方へ向かおうとした時。
 彼女の方から声が掛かった。 >>3:510
 
 
(98) 2022/10/22(Sat) 1:36:42

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
  「 ううん、全然だいじょうぶだよ ! 」
 
 
 " 願い "で頭がぐるぐる ───
 そんな時の貴重な時間を、と謝る彼女に僕は首を振る。
 僕自身は、願いを彩葉ちゃんに打ち明けた後だったろう。
 幾ばくか心が軽くなっていたので、笑顔も添えた。
 
 それよりも、彼女が少し苦しそうに見えて
 体調の方が心配になりつつも。
 そのまま続いた彼女の言葉に耳を傾けた。
 
 
(99) 2022/10/22(Sat) 1:36:45

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
  「 ……… 叶冬、ちゃん ? 」
 
 
 休み時間は、それほど長くはない。
 続くのは当然、視聴覚室へと促す言葉だと思っていた。
 けれど、届いた音は。 >>3:511

 僕は 笑みから驚きへ表情を変え、
 彼女の顔を見つめたまま硬直してしまった。
 
 僕が早朝に全体へ送った誤爆メッセージ。
 まさか彼女へも言葉の矢が貫いていた、なんて。
 
 
(100) 2022/10/22(Sat) 1:36:48

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
  「 でも、過去形 ……なんだよね ? 」
 
 
 『 さよならのつもりでした 』
 一字一句、言い間違えでない事を願って 僕は問う。
 思いつめていた生徒が、こんな近くで またひとり。
 
 過去形であったとしても
 夢の向こうにいけるかは >>3:514
 彼女が今、望んでいる" 願い "にかかっている。
 
 
(101) 2022/10/22(Sat) 1:36:50

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 それから、僕がゲストで参加させてもらった
 昨日のお昼の放送。
 その時にかけてもらったユメリンの曲。
 
 曲の感想を彼女が話してくれたけど、>>3:560
 僕は うん、うん、と頷くばかり。
 
 
(102) 2022/10/22(Sat) 1:36:53

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 やがてチャイムが休み時間の終わりを告げた。
 お礼を言って席に戻ろうとする彼女へ >>3:578
 「 ちょっと、待って 」とその場で引き止めて。
 
 教室へ入ってきた先生に駆け寄ると
 「 金海さんが体調悪そうなので、保健室へ
   連れて行ってきます 」
 急遽作った心配顔で告げてから、
 僕は、彼女の手を引き教室を出る。
 
 
(103) 2022/10/22(Sat) 1:36:56

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 連れ出したのは、調理室。
 適当な席に座ってもらったら、
 僕は暖かい紅茶と 昨日作って
 食べ切る事が叶わなかったカヌレを彼女の前へ。
 
 自分の紅茶も用意すれば、向かいの席に腰を下ろす。
 
 
 「 " 悩んだ数だけ強くなる " いい曲だよね。
 
   僕らもさ、
   もうちょっとだけ悩んで
   もうちょっとだけ強くならない ? 」
 
 
 柔らかく笑んで、紅茶をひとくち 口に含む。
 そして、彼女が落ち着いたのを見計らってから
 演技でない方の心配顔を小さく浮かべ
 ゆっくりと口を開こうか。
 
 
(104) 2022/10/22(Sat) 1:36:58

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
  「 さよならのつもりだった叶冬ちゃんは
    それから ………
    幽霊さんとお話する内容、きまった ? 」*
 
 
(105) 2022/10/22(Sat) 1:37:01
──グループメッセージ──

 ミッションコンプリートしました。
 >* ))))><

[魚は入れないといけない風潮なのかなと思って
予測変換で出てきた魚の顔文字(?)を添えた。]

─ Last day 夜・千葉 個人宛 ─


  ミッションコンプリートおつかれ!
  今度会ったとき、
  何があったか聞いてもいいか?


[送られたメッセージは文章のみ。

 話すだけならメッセージでもできる。
 また会って話したいという意図が伝わることを祈って]**

【人】 天ヶ瀬 青葉

 ── 回想:天ヶ瀬 青葉 ──
 
 
 ヒーローごっこよりは人形遊び
 格闘ゲームよりは着せ替えゲーム
 カッコいいものよりは可愛いもの
 男の子とよりも女の子と遊んでいる事が多かった。
 
 家では、母がお菓子教室を開いているせいもあってか
 毎日のように付き添って、一緒にお菓子を作ってた。
 
 男子の輪に混ざらないものだから、
 時々からかわれたりする事もあったけど。
 仲のいい女子が庇ってくれたりして
 そこまで気が沈んだりはしなかった。
 
 女子が着てきた可愛い服を羨ましく思ったり
 修学旅行の男子部屋で、居心地の悪さを感じたり
 多少の事はあったけれど、小学校の時は
 それとなく過ごせていたんだ。

 
 
(157) 2022/10/22(Sat) 15:36:16

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
  それから一転して、
  中学に進むと途端に息苦しさを感じるようになった。
  熱湯風呂に手を突っ込むような感覚で
  毎朝、男子の制服に袖を通して、登校する。
  この感覚は、今になっても。 >>2:219
 
  " 誰が好き "とか、男性アイドルの話とか
  話題も変わってきたからか
  クラス内で女子の輪に混ざろうとしても
  段々と、いい顔をされなくなっていった。
 
  僕は、ひとりで休み時間を過ごす事が増えていった。

 
  この頃、料理部の部活だけが救いだった。
  女子の輪に混ざって、お菓子の話をしながら作る。
  男子生徒なら敬遠しがちな状況だけど、
  僕にとっては一番心が落ち着く時間だった。

 
 
(158) 2022/10/22(Sat) 15:36:18

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
  そんな或る日、
  僕は部活で使うエプロンを新調しようと
  ショッピングモールへ足を運んだ。
  フリルのついた可愛いデザインに惹かれたけど
  選んだのはパステルブルーの無難なエプロン。
 
  本当に着たいエプロンを我慢したせいか、
  新調したのにもかかわらず
  少しモヤモヤを感じながら歩いていれば。
  古着屋さんのテナントで
  可愛らしく着飾ったマネキンが目に留まった。
 
  一着500円とか、僕のお小遣いでも買える値段。
  店内で一時間ぐらいは悩んでたと思うけど、
  赤めた顔を隠すように俯きながら
  レジへ持って行ったのは ピンク基調のワンピース。
  この日、僕は初めて女の子の服を買った。

 
 
(159) 2022/10/22(Sat) 15:36:21

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
  家族が寝静まった深夜。
  自分の部屋でだけ僕は" 女の子 "になる。
  鏡の前でスカートを靡かせながら一回転。
  重い枷が外されたかのように、身体がとても軽かった。
 
  ああ、これが僕だ ──── そう思った。
 
 
  今に思えば、此処で止めておけば良かったんだ。
 
  こっそりと女の子の服を増やしていった僕は
  今度は誰かに、この姿を認めてもらいたくなった。
  そこで僕は、SNSで女の子としてアカウントを作り
  着飾った写真をアップロードするようになった。
 
  最初は顔を隠していたけれど、
  レスで望まれたらチラッと写した画像を載せたりして。
  ここでは女の子として扱ってもらえることが
  僕は何よりも嬉しかったんだ。

 
 
(160) 2022/10/22(Sat) 15:36:23

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
  『 このアカウント、お前じゃね ? 』
 
 
 僕の扱いが一変したのは、同級生の一言からだった。
 違うよと首を振っても" BLUE Leaf "だなんて
 名前をもじっただけのアカウント名、
 顔も写ってる画像もそのままだったから。

 トイレに駆け込み、
 すぐにアカウントを消したけれど、
 既に保存された画像と共に
 僕の噂はクラスから学校中へと広まっていった。

 
 
(161) 2022/10/22(Sat) 15:36:25

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 女装、だの キモイ、だの ネカマ、だの
 陰口は僕の耳に届く範囲でも囁かれた。
 そんなんじゃないって言い返せるほど 強くも無かった。
 
 しばらくは、ずっと我慢していたけど
 心の拠り所だった料理部でも疎外され、
 やがて 僕は登校しなくなった。
 
 担任が家庭訪問してきて、両親と話した日の夜は
 リビングから言い合う声が僕の部屋まで響いた。
 " お前が男らしく育てなかったから! "
 壁を挟んでも届く父親の声に
 僕はベッドの上で布団を巻きつけ、必死に耳を塞いだ。
 
 こんなにも両親を悲しませて
 生まれた後から性を選ぶのは悪いコト、なんだな

 
 
(162) 2022/10/22(Sat) 15:36:29

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
  女の子の服はすべて没収され、
  一緒にお菓子を作るどころか
  キッチンで何かを作る事も禁止された僕は >>1:475
  部屋で閉じこもるだけの生活になった。
 
  出席日数はギリギリ足りそうだし
  一応、高校に進学は出来るよう 勉強は欠かさずに。
 
  気晴らしはネットの徘徊ぐらい。
  猫や犬の動画を見つけては ぼーっと眺める。
  自分でも感情の起伏の無さを感じていたとき
  偶然、オススメで表示された動画がユメリンだった。

 
 
(163) 2022/10/22(Sat) 15:36:31

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 夢に向かって、真っすぐ突き進む女の子。
 ユメリンの動画を観れば観るほど、
 僕は彼女に熱中していった。
 
 調べてみてわかった事だけど、
 彼女は" 不幸の女の子 "なんて呼ばれていたりもした。
 事務所の社長がお金を持ち出して逃げたり、
 ライブ当日、停電になったり
 握手会で襲われそうになったり。
 不幸エピソードは、数え上げたらキリがないぐらい。
 
 それでも彼女は" いつか、夢の向こうに! "って
 応援しているファンへ手を広げていた。
 
 僕は彼女に憧れた。その強さに。 >>0:388
 僕も彼女の様な存在になりたい、って
 この想いを忘れないようユメリンのヌイグルミを作った。

 
 
(164) 2022/10/22(Sat) 15:36:34

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 少し、前向きな気持ちになれた僕は
 両親が勧めてきた出弦高校を受ける事にした。

      此処から遠く離れているけど、
      ここ数年受験する生徒がいないから
      新たな環境として良いのでは ?
      ───そう担任に言われたらしい。
 
 欲を言えば制服のない学校が良かったけれど
 僕にそれ以上の選択権は無かった。
 
 ネットを徘徊してる間、色んな情報をみつけた。
 僕みたいに生まれながらの性に疑問を持つ人は
 それこそ星の数ほどいた。
 
 僕はどうするべきか考えたけど、
 両親をこれ以上悲しませたくなかったから
 高校は普通の男子として過ごす決意をした。
 
 卒業して、自立してから
 僕は" 本当の僕 "になろう、と。

 
 
(165) 2022/10/22(Sat) 15:36:36

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 ユメリンのように
 元気と笑顔を与えられる存在になりたい ───
 その気持ちは コミュ強として過ごす原動力になった。

 そして高校へ進学すると、まず部活を探した。
 どうせ男として過ごすなら、
 なにか打ちこめるようなスポーツがいい。
 あちこちの部活を見て回る中、
 僕の足は体育館で歩みを止めた。
 
 その人はキラキラと輝いて見えた。 >>1:249
 ユメリンが女としての憧れなら
 彼は男としての憧れ。僕はバスケ部へ入部した。

 
 
(166) 2022/10/22(Sat) 15:36:39

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 ──── そして現在。
 幽霊が" 願い "を叶えてくれると言う。
 
 男であることの痛みを 今でも強く抱えているけれど。
 願いが叶えば 今の高校生活もまた一変する。
 
 " 男子バスケ部 "は辞めざるを得ないだろうし、
 中学の時のように奇異の目を向けられ
 また、独りぼっちになるかもしれない。
 
        ──── それは、とても怖くて。
 
 
 期限を迎えた三日目。
 始めから願いは決まっているというのに
 僕の心の天秤は 今もまだゆらゆら、と揺れていた。**
 
 
(167) 2022/10/22(Sat) 15:36:42