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【人】 天ヶ瀬 青葉「 ううん、全然だいじょうぶだよ ! 」 " 願い "で頭がぐるぐる ─── そんな時の貴重な時間を、と謝る彼女に僕は首を振る。 僕自身は、願いを彩葉ちゃんに打ち明けた後だったろう。 幾ばくか心が軽くなっていたので、笑顔も添えた。 それよりも、彼女が少し苦しそうに見えて 体調の方が心配になりつつも。 そのまま続いた彼女の言葉に耳を傾けた。 (99) 2022/10/22(Sat) 1:36:45 |
【人】 天ヶ瀬 青葉連れ出したのは、調理室。 適当な席に座ってもらったら、 僕は暖かい紅茶と 昨日作って 食べ切る事が叶わなかったカヌレを彼女の前へ。 自分の紅茶も用意すれば、向かいの席に腰を下ろす。 「 " 悩んだ数だけ強くなる " いい曲だよね。 僕らもさ、 もうちょっとだけ悩んで もうちょっとだけ強くならない ? 」 柔らかく笑んで、紅茶をひとくち 口に含む。 そして、彼女が落ち着いたのを見計らってから 演技でない方の心配顔を小さく浮かべ ゆっくりと口を開こうか。 (104) 2022/10/22(Sat) 1:36:58 |
【人】 天ヶ瀬 青葉 ── 回想:天ヶ瀬 青葉 ── ヒーローごっこよりは人形遊び 格闘ゲームよりは着せ替えゲーム カッコいいものよりは可愛いもの 男の子とよりも女の子と遊んでいる事が多かった。 家では、母がお菓子教室を開いているせいもあってか 毎日のように付き添って、一緒にお菓子を作ってた。 男子の輪に混ざらないものだから、 時々からかわれたりする事もあったけど。 仲のいい女子が庇ってくれたりして そこまで気が沈んだりはしなかった。 女子が着てきた可愛い服を羨ましく思ったり 修学旅行の男子部屋で、居心地の悪さを感じたり 多少の事はあったけれど、小学校の時は それとなく過ごせていたんだ。 (157) 2022/10/22(Sat) 15:36:16 |
【人】 天ヶ瀬 青葉 それから一転して、 中学に進むと途端に息苦しさを感じるようになった。 熱湯風呂に手を突っ込むような感覚で 毎朝、男子の制服に袖を通して、登校する。 この感覚は、今になっても。 >>2:219 " 誰が好き "とか、男性アイドルの話とか 話題も変わってきたからか クラス内で女子の輪に混ざろうとしても 段々と、いい顔をされなくなっていった。 僕は、ひとりで休み時間を過ごす事が増えていった。 この頃、料理部の部活だけが救いだった。 女子の輪に混ざって、お菓子の話をしながら作る。 男子生徒なら敬遠しがちな状況だけど、 僕にとっては一番心が落ち着く時間だった。 (158) 2022/10/22(Sat) 15:36:18 |
【人】 天ヶ瀬 青葉 そんな或る日、 僕は部活で使うエプロンを新調しようと ショッピングモールへ足を運んだ。 フリルのついた可愛いデザインに惹かれたけど 選んだのはパステルブルーの無難なエプロン。 本当に着たいエプロンを我慢したせいか、 新調したのにもかかわらず 少しモヤモヤを感じながら歩いていれば。 古着屋さんのテナントで 可愛らしく着飾ったマネキンが目に留まった。 一着500円とか、僕のお小遣いでも買える値段。 店内で一時間ぐらいは悩んでたと思うけど、 赤めた顔を隠すように俯きながら レジへ持って行ったのは ピンク基調のワンピース。 この日、僕は初めて女の子の服を買った。 (159) 2022/10/22(Sat) 15:36:21 |
【人】 天ヶ瀬 青葉 家族が寝静まった深夜。 自分の部屋でだけ僕は" 女の子 "になる。 鏡の前でスカートを靡かせながら一回転。 重い枷が外されたかのように、身体がとても軽かった。 ああ、これが僕だ ──── そう思った。 今に思えば、此処で止めておけば良かったんだ。 こっそりと女の子の服を増やしていった僕は 今度は誰かに、この姿を認めてもらいたくなった。 そこで僕は、SNSで女の子としてアカウントを作り 着飾った写真をアップロードするようになった。 最初は顔を隠していたけれど、 レスで望まれたらチラッと写した画像を載せたりして。 ここでは女の子として扱ってもらえることが 僕は何よりも嬉しかったんだ。 (160) 2022/10/22(Sat) 15:36:23 |
【人】 天ヶ瀬 青葉 『 このアカウント、お前じゃね ? 』 僕の扱いが一変したのは、同級生の一言からだった。 違うよと首を振っても" BLUE Leaf "だなんて 名前をもじっただけのアカウント名、 顔も写ってる画像もそのままだったから。 トイレに駆け込み、 すぐにアカウントを消したけれど、 既に保存された画像と共に 僕の噂はクラスから学校中へと広まっていった。 (161) 2022/10/22(Sat) 15:36:25 |
【人】 天ヶ瀬 青葉 女装、だの キモイ、だの ネカマ、だの 陰口は僕の耳に届く範囲でも囁かれた。 そんなんじゃないって言い返せるほど 強くも無かった。 しばらくは、ずっと我慢していたけど 心の拠り所だった料理部でも疎外され、 やがて 僕は登校しなくなった。 担任が家庭訪問してきて、両親と話した日の夜は リビングから言い合う声が僕の部屋まで響いた。 " お前が男らしく育てなかったから! " 壁を挟んでも届く父親の声に 僕はベッドの上で布団を巻きつけ、必死に耳を塞いだ。 こんなにも両親を悲しませて 生まれた後から性を選ぶのは悪いコト、なんだな (162) 2022/10/22(Sat) 15:36:29 |
【人】 天ヶ瀬 青葉 夢に向かって、真っすぐ突き進む女の子。 ユメリンの動画を観れば観るほど、 僕は彼女に熱中していった。 調べてみてわかった事だけど、 彼女は" 不幸の女の子 "なんて呼ばれていたりもした。 事務所の社長がお金を持ち出して逃げたり、 ライブ当日、停電になったり 握手会で襲われそうになったり。 不幸エピソードは、数え上げたらキリがないぐらい。 それでも彼女は" いつか、夢の向こうに! "って 応援しているファンへ手を広げていた。 僕は彼女に憧れた。その強さに。 >>0:388 僕も彼女の様な存在になりたい、って この想いを忘れないようユメリンのヌイグルミを作った。 (164) 2022/10/22(Sat) 15:36:34 |
【人】 天ヶ瀬 青葉 少し、前向きな気持ちになれた僕は 両親が勧めてきた出弦高校を受ける事にした。 此処から遠く離れているけど、 ここ数年受験する生徒がいないから 新たな環境として良いのでは ? ───そう担任に言われたらしい。 欲を言えば制服のない学校が良かったけれど 僕にそれ以上の選択権は無かった。 ネットを徘徊してる間、色んな情報をみつけた。 僕みたいに生まれながらの性に疑問を持つ人は それこそ星の数ほどいた。 僕はどうするべきか考えたけど、 両親をこれ以上悲しませたくなかったから 高校は普通の男子として過ごす決意をした。 卒業して、自立してから 僕は" 本当の僕 "になろう、と。 (165) 2022/10/22(Sat) 15:36:36 |
【人】 天ヶ瀬 青葉──── そして現在。 幽霊が" 願い "を叶えてくれると言う。 男であることの痛みを 今でも強く抱えているけれど。 願いが叶えば 今の高校生活もまた一変する。 " 男子バスケ部 "は辞めざるを得ないだろうし、 中学の時のように奇異の目を向けられ また、独りぼっちになるかもしれない。 ──── それは、とても怖くて。 期限を迎えた三日目。 始めから願いは決まっているというのに 僕の心の天秤は 今もまだゆらゆら、と揺れていた。** (167) 2022/10/22(Sat) 15:36:42 |
【人】 天ヶ瀬 青葉 ── 2day・昼休み:彩葉ちゃんと ── お昼の放送では、リクエストした曲の音源として CDを彼女にササッと手渡した。>>12 「 良かったら貸すし、貸したりするし、貸すよ? 」 現代文だけど古文並みの難解語を添えて。 普段、彼女は放送の合間に食べているんだろうか >>13 初心者の僕の場合、タイミングが狂って 食べながら話してしまいそうな気がしたから 放送後に食べる方をお願いした。 お弁当持参の彼女が、おかずを分けてくれるなら 素直に喜んで頂戴したかな。 彼女自身か親か、誰が作ったか聞く前に 味つけが良ければそれを褒めたりして。 「 こちらこそ貴重な体験ができたよ。ありがとう。 またゲスト呼ぶ機会があったら教えてね! 」 放送後に、あらためて彼女がお礼を述べてきたら >>14 僕もお礼を返して。一緒に教室へと。 (222) 2022/10/22(Sat) 20:47:29 |
【人】 天ヶ瀬 青葉 ── 3day・授業中:彩葉ちゃんと ── 彼女に願いを打ち明けるべきか ─── まず彼女自身の願い事についてメッセージで尋ねれば 返ってきた文を読み、>>=0 僕は席に座ったまま、大きく息を吐く。 彼女に何か強い願いがあれば、 言わないでおこうと思ったけれど。 意を決して、僕は僕自身が抱いている願いを メッセージで送信した。なんて簡単に言うけど、 指が震えて3回ほどうまく送信できなかった。 沈黙。教師の声すら耳に入ってこない。 怖くて目もあけられない。 このまま嫌われて返信がこない可能性だってある。 より強く目を瞑った瞬間 ─── 手に持ったままのスマホが震え、着信を知らせる。 僕は、おそるおそる目を開いた。 そこに書かれていたのは >>=1 (223) 2022/10/22(Sat) 20:47:32 |
【人】 天ヶ瀬 青葉まず、受け入れて貰えた事の驚き。 それから、呼び名が近付いたことへの嬉しさ。 それは、離れて欲しくない相手だからこその。 そんなの気にしないはずだったのにね。 僕が呼び名を反芻している間、 彼女から再びメッセージが飛んできて。>>=2>>=3 ( 嫌いにならない、って ) スマホを抱きしめるように そっと両手で胸に当てた。 そのまま、ちらりと後方の座席へ振り向けば 微笑んで手を振る彼女と目が合った。 >>17 耳まで赤くした僕は、慌てて前を向き そのまま机に突っ伏した。 そして、少しだけ机との空間を作れば スマホに打ちこみ、送信する。 (225) 2022/10/22(Sat) 20:47:37 |
【人】 天ヶ瀬 青葉「 …… 行こう 」 チャイムが鳴ったら終了 ?まさか。 彼女の手を引き、教室から連れ出そうとすれば なんだか日本語で読めない驚き声をあげた。>>171 連れ出した先は、保健室ではなく調理室。 用意したのはカヌレと紅茶。 >>172 ・ 「 そう、僕らも。 >>173 僕だって いっぱい悩みがあるよ。 たとえばね …… ああ、紅茶もお菓子もどうぞ 」 授業をサボった以上、 時間の流れはそこまで気にしなくてもいい。 僕は話を一旦切り、彼女に紅茶とお菓子を促す。 カヌレの感想を彼女から聞けば、>>174 「 ありがとう、嬉しいな 」そう微笑んで。 (298) 2022/10/23(Sun) 2:13:57 |
【人】 天ヶ瀬 青葉そうだ、僕らは! いつか、夢の向こうに!! [ 彼女がやったポーズを、今度は僕も。 同志だから、というより 勇気を分け合いたいから、かな。 羞恥はないよ。うん、まったく。 ] (301) 2022/10/23(Sun) 2:14:05 |
【人】 天ヶ瀬 青葉このアンケートで僕は2つの告白をしている。 自分の" 願い "と ─── それともうひとつ。 同志というだけでなく " 友達 "だと思っている事。** (303) 2022/10/23(Sun) 2:14:12 |
【人】 天ヶ瀬 青葉 ── 3day・旧校舎:彩葉ちゃんと ── 空は黄昏れ、 茜 に焼かれたグラウンドを歩く。彩葉ちゃんと約束した時間には、それでもまだ早い。 僕は1度校門をくぐり、学校の外へと。 何処へ行くのか、って ? うん、まあ ──── ちょっと、お買い物。 (328) 2022/10/23(Sun) 11:14:48 |
【人】 天ヶ瀬 青葉なんとか閉門する前に戻ってきた僕は、 校舎 ───、と言っても 今はもう誰も使っていない、 けれど誰かが来るのを待っている。 そんな寂しがり屋が住み着いた、旧校舎へ。 寂しいから住み着いてるのかは知らないけどね。 (329) 2022/10/23(Sun) 11:14:50 |
【人】 天ヶ瀬 青葉軋む階段をゆっくりと上がり、2階に着けば 廊下で彼女の姿を見つけられた筈で。 「 ひとりでここまで来ちゃうなんて、 勇気あるね 」 僕がにっこりと浮かべた笑みは 暗くて見えなかったかもしれない。 けれど、普段教室で話すのと変わらない声のトーンは 僕もまた、怖がっていない事を指していた。 もし、手に持つ花束が見えたのなら 「 うん、買ってきた。 幽霊さんにプレゼントしようと思って。 」 僕は、そんな言葉を返しただろう。 (331) 2022/10/23(Sun) 11:14:57 |
【人】 天ヶ瀬 青葉こうやって貴方を直視しても、やっぱり恐怖を感じない。 優しい声だから ? 会話が出来るから ? なぜそう感じるのか、わからないけど ─── 「 幽霊さんは …… どうして、願いを叶えてくれるの ? 」 ダンマリ。 「 未練があるから、今も此処にいるの ? 」 ダンマリ。 「 お腹は空かないの ? 」 うん、って言った!? 話せるんじゃない。 (333) 2022/10/23(Sun) 11:15:01 |
【人】 天ヶ瀬 青葉未練のある幽霊が願いを叶えてくれるらしい ── そんな噂が立つという事は、 既に叶えてもらった人がいるのかもしれない。 だけど、貴方は此処に居る。 誰かの願いを叶えても、未練は消えない ? それとも旧校舎に囚われて動けない ? 僕たちの願いを叶え終わったら ──── また、誰が来るとも分からない旧校舎で ひとり ? そんなの、ってさ (334) 2022/10/23(Sun) 11:15:03 |
【人】 天ヶ瀬 青葉情がうつった ?そうだよ、その通りだよ。 誰もいない旧校舎で、ひとり。 来るかも分からない探索者を待って、願いを叶えて。 そしたら、また。 「 幽霊にだってね、 夢の向こうはあると思うんだ。 幽霊さんが 今まで幸せだったのか、不幸だったのか それも分からないけど …… 僕は、幽霊さんが此処にいたコト ずっと憶えているから、だから …… 次の幸せに向かって欲しいな 」 十五夜草。別名、紫苑。 " 君を忘れない "。そんな意味もあるんだって。 (337) 2022/10/23(Sun) 11:15:11 |
【人】 天ヶ瀬 青葉こんな願い、叶えて貰えるかどうかも分からない。 もし叶えて貰えなかったら ? そうだね、月に一度は遊びに来るよ。 僕は、彩葉ちゃんの方を向いて、 「 ごめんね 」ってまずひとこと。 「 土壇場でかえちゃった …… だから、彩葉ちゃんも好きに願って。 僕の為でも、自分の為でも。 ね? 」 僕は申し訳なさそうに苦笑いして、 それから 今度はにっこりと笑った。 ** (338) 2022/10/23(Sun) 11:15:14 |
【人】 天ヶ瀬 青葉並んで歩いていた筈なのに、後ろから声が掛かる。>>385 僕は「 ん、どうしたの ? 」と振り返ると 立ち止まっている彼女に不思議顔で声を投げて。 返ってきた言葉を聞きながら>>386>>387>>388 僕は何度か目をパチクリさせたあと、 彼女の方へ向き合い 口を開く。 「 どういたしまして! 」 途中、なんだか遺言みたいだなって ハラハラしながら聞いてたんだけど。 これからもよろしく ───その言葉でホッとして。 深く頭を下げられたら、 「 あ、ご丁寧にどうも 」なんて僕も深々とお辞儀を。 僕のは冗談っぽく 笑いながらだけどね。 (443) 2022/10/23(Sun) 19:57:14 |
【人】 天ヶ瀬 青葉僕は特段、彼女に寄り添った訳でも無い。 ただ、日常を出来るだけ楽しく 一緒に過ごしただけだ。 だけど、そんな日常に礼を述べてくれるなら。 僕はこれからも、日常を彼女に届けよう。 代わりなんていない、大切な後輩だからね。** (445) 2022/10/23(Sun) 19:57:18 |
【人】 天ヶ瀬 青葉 ── 3day・旧校舎:彩葉ちゃんと ── 僕の" 願い "。ずっと前から、強く、強く。 悲しい事も経験して、抱いていたはずなのに。 彼女の言う様に、優しいのかは分からない。 >>478 でももう、僕はこういう性分なのかな。 これで良かった、とまで思っているんだから。 「 うん、だから …… 」 たくさん彼女と相談して、" 願い "も打ち明けて。 なのに土壇場で『 成仏して 』なんて 身勝手なお願いしちゃってるんだから。 彼女も自分の為に使って欲しかったんだけど。 それでも彼女は言うんだ、 僕の願いを叶えたいって。>>479 (531) 2022/10/23(Sun) 23:36:26 |
【人】 天ヶ瀬 青葉そっか ─── 一回の願い事の中に含めたら、そんな指定も出来るんだ。 「 彩葉ちゃん、あったまいいー 」 僕のコトだっていうのに 僕以上に考えてくれている姿をみて、ぽつりと。 思わず無意識に零しちゃったけど これ以上思考の邪魔をしないよう、ありがとうは小声で。 (533) 2022/10/23(Sun) 23:36:32 |
【人】 天ヶ瀬 青葉二つ目の、未来に変わる選択肢。 こっちの方が現実的だよね、と僕は頷く。 何も考えていなかった僕は 今すぐ女の子になるものだと思っていたけど。 期間を設ける事が出来るのなら、 医者にかかって診断書を出してもらったり 出来る事は増えると思う。 じゃあ、いつ ?って話になるんだけど ──── 「 僕さ、彩葉ちゃんと 同じ女の子の制服を着て過ごしたい ……… 」 僕は目を逸らして、少し恥ずかし気に。 だから、卒業式以降はNG。 3年になったら同じクラスになれるかも分からないから 出来れば数ヶ月後。冬休みを挟む形で 1ヶ月ぐらいお休みをもらってもいいかもしれない。 (535) 2022/10/23(Sun) 23:36:38 |
【人】 天ヶ瀬 青葉まだまだ考えてくれている彼女。 >>482 その姿に僕は目を細め、そっと言葉を投げる。 「 彩葉ちゃん 僕ね、……ずっと女の子になりたかった。 でもそれ以上に…… どんな事でも相談できる 女の子の親友が欲しかった。 ………ありがとう 」 伝えたあとは、慌てて目を逸らして。 一緒にお店巡りしたり 服を買いに行ったり どちらかの家にお泊りして、お菓子食べながら 恋の話で盛り上がったり。まだ恋自体知らないけど。 男が好きか、女が好きかも分からないけど。 いつか出来たらいいな、そう思った。 " 親友 "って言葉使っただけでも恥ずかしいから 今はまだ 心の中に留めておくだけ、だけど。 (537) 2022/10/23(Sun) 23:36:45 |
【人】 天ヶ瀬 青葉彼女のおかげで、 明確な願いが出来た気がする。 「 今から3ヶ月かけて だんだんと女の子の身体にして欲しい ……… これでどう? 」 一ヶ月目、二ヶ月目とか どんな身体になっているのか怖いけど お医者さんにかかれば奇病扱いで、認知されるかな。 胸の大きさとか、そういうのは幽霊さんに任せて。 本当に願いを僕の為に使っていいのか もう一度だけ確認すれば、あとは彼女に託して。* (538) 2022/10/23(Sun) 23:36:48 |
【人】 天ヶ瀬 青葉 ── 三学期:2−A教室 ── 冬休みも明け、今日から三学期が始まる。 僕は、というと ─── もうSHRが始まっているというのに 教室からすぐの廊下で待機していた。 教室の中から、担任の声が聞こえる。 『 えー、今日は在校生を紹介する。 入ってきて。 』 どうして、そんな転校生みたいなノリなの。 だけど、入れと言われたら入るしかない。 僕は大きく息を吸い込み、深く吐いてから ドアの引手に指をあて、横にガラガラと開ける。 教室と廊下との温度差で空気が流れ、 ふわりと スカート が揺れた。 (851) 2022/10/24(Mon) 23:26:49 |
【人】 天ヶ瀬 青葉「 は …… はは 、 その ………天ヶ瀬、青葉……です あの、…病気とか色々とありまして、…… うん 今日から女子生徒になりましたので ? えっと、今までどおり …… おねがい、 します 」授業中、いきなり問題を当てられても " わかりません! "って元気に即答できる僕だけど。 『 ええええええええ!? 』 ってみんなから驚きの顔と声を向けられながら話すのは 緊張するなんてモノじゃない。 これからもみんなが僕とどう接してくれるのか ─── 実際のところ、怖いよ。 (852) 2022/10/24(Mon) 23:26:51 |
【人】 天ヶ瀬 青葉席について授業が始まっても ちらちら、とみんなが僕に視線を向ける。 たまに目が合えば 出来る限りの愛想笑いを返して。 そんな中で ──── 僕は今日までの事を振り返っていた。 (853) 2022/10/24(Mon) 23:26:54 |
【人】 天ヶ瀬 青葉 一週間もすれば身体に変化が現れだした。 まだ微々たるものだったからか、最初の診断は様子見。 一ヶ月経った頃には 大学病院で精密検査を受けていた。 僕としては" 願い "のおかげだと理解していたけど 当然、両親はそうじゃなかった。 原因不明の奇病と診断され ──── 父も母も驚き、悲しんだ。 毎日、僕の身体の心配をするようになった。 大丈夫だよと笑いながら返しても 両親の不安は 顔に見てとれた。 (854) 2022/10/24(Mon) 23:26:56 |
【人】 天ヶ瀬 青葉 それでも僕は" 願い "の事を両親に話せなかった。 もう女の子の服なんかに興味が無い ──── 家では、そんな顔をして過ごしていたから。 両親に心配される度、 僕は心の中で" ごめんね "って呟くばかり。 やっぱりね、奇跡のチカラなんかで願いを叶えると どこかで つじつま合わせのしわ寄せが来る。 きっとこれを" 代償 "と呼ぶんだろう。 せめて、大人になったら せいいっぱい親孝行しようと心に誓った。 (855) 2022/10/24(Mon) 23:26:59 |
【人】 天ヶ瀬 青葉 原因も不明、対処法も不明。 女性の身体へ変化していく以外は、至って健康。 そんな状態だから、僕は入院する事も無く 普段通りの学生生活を続けた。 季節は味方をしてくれて。 制服の上からセーターを着こめば、 身体のラインはそれとなく隠すことが出来た。 バスケも厚めのジャージを着て参加していたんだけど。 ちょうど二ヶ月目 ───── 男としての筋力が減ったのだろう。 今まで片手で放っていた3Pシュートが ゴールに届かなくなった。 それを機に、僕は冬休みを挟む形で 一ヶ月間 学校を休むことにした。 どうせ ここから先は セーターでも誤魔化せそうにないから。 (856) 2022/10/24(Mon) 23:27:01 |
【人】 天ヶ瀬 青葉 もうほとんど女性の身体になっていた僕は この一ヶ月の間に色んな手続きをとった。 ちゃんとした性別の変更は 成人してからでないと出来ないらしいけど 診断書を元に、学校と内密に連絡をとって 女子生徒として在学できないか打診したり、とか。 ここら辺の細かな手続きは、 ほとんど両親が主導でやってくれて。 僕は申し訳なさで、願いが叶いつつあるのに それを喜ぶ暇さえなかった。 ようやく、嬉し涙が零れたのは 女子用の制服が届き、鏡に映る自分の姿を見た時。 もう三学期も始まる直前の事だった。 (857) 2022/10/24(Mon) 23:27:03 |
【人】 天ヶ瀬 青葉3ヶ月間を振り返り、はぁと息を吐く。 これだけ猶予があったのに 慌ただしかった。 だから正直、心の余裕はあまりない。 いつもの椅子にスカートで座る ──── そんな真新しい感触にも気付かないまま。 周りから視線を受けるたび、愛想も笑みも減っていく。 無意識に、ゆっくりと顔を振り向かせ 細かな内情を知る 親友の顔をちらりと。 他に内情を伝えたのは、 秋緒ちゃんと叶冬ちゃんだったかな ? 2ーCの2人はスラム街だから内緒にしてたかも (858) 2022/10/24(Mon) 23:27:05 |
【人】 天ヶ瀬 青葉授業が終わった後の休み時間。 僕の前には、人だかりがぶわっと押し寄せて。 「 うん、色々大変だった ! 」 「 これからは女の子扱いでよろしくね ! 」 飛び交う質問に、 僕は僕らしく笑って答えていく。 此処は" 夢の向こう " ───── 僕が望んだ世界じゃないか (860) 2022/10/24(Mon) 23:27:09 |
【人】 天ヶ瀬 青葉そして僕は、ついに女子だけになった料理部で せっせとお菓子を作っている。 いつかの フリルのついたエプロンを身に着けて。 バスケ部には マネージャーとして在籍出来る事になった。 時々、こっちにもお菓子を差し入れしよう。 (861) 2022/10/24(Mon) 23:27:12 |
【人】 天ヶ瀬 青葉" 夢の向こう "にだって 後悔や苦しみは きっと待ち受けているんだろう だけど ──── " 本当の自分 "なら きっと乗り越えられる 乗り越えてみせる だから僕は、まだまだ僕の目指す先へ ───── (862) 2022/10/24(Mon) 23:27:14 |