人狼物語 三日月国


180 【R15RP村】月影のさやけさ、 秘めたる願い

情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:人


【人】 天ヶ瀬 青葉

 ── 3day・休み時間 叶冬ちゃんと ──
 
 
 今日は、休み時間に彼女と視聴覚室で
 ユメリンを応援する約束をしていた。と、言っても
 同じMVを観ながら語り合うだけだけど。

 ペンライトを忍ばせた鞄を手に持ち、
 彼女の席の方へ向かおうとした時。
 彼女の方から声が掛かった。 >>3:510
 
 
(98) 2022/10/22(Sat) 1:36:42

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
  「 ううん、全然だいじょうぶだよ ! 」
 
 
 " 願い "で頭がぐるぐる ───
 そんな時の貴重な時間を、と謝る彼女に僕は首を振る。
 僕自身は、願いを彩葉ちゃんに打ち明けた後だったろう。
 幾ばくか心が軽くなっていたので、笑顔も添えた。
 
 それよりも、彼女が少し苦しそうに見えて
 体調の方が心配になりつつも。
 そのまま続いた彼女の言葉に耳を傾けた。
 
 
(99) 2022/10/22(Sat) 1:36:45

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
  「 ……… 叶冬、ちゃん ? 」
 
 
 休み時間は、それほど長くはない。
 続くのは当然、視聴覚室へと促す言葉だと思っていた。
 けれど、届いた音は。 >>3:511

 僕は 笑みから驚きへ表情を変え、
 彼女の顔を見つめたまま硬直してしまった。
 
 僕が早朝に全体へ送った誤爆メッセージ。
 まさか彼女へも言葉の矢が貫いていた、なんて。
 
 
(100) 2022/10/22(Sat) 1:36:48

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
  「 でも、過去形 ……なんだよね ? 」
 
 
 『 さよならのつもりでした 』
 一字一句、言い間違えでない事を願って 僕は問う。
 思いつめていた生徒が、こんな近くで またひとり。
 
 過去形であったとしても
 夢の向こうにいけるかは >>3:514
 彼女が今、望んでいる" 願い "にかかっている。
 
 
(101) 2022/10/22(Sat) 1:36:50

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 それから、僕がゲストで参加させてもらった
 昨日のお昼の放送。
 その時にかけてもらったユメリンの曲。
 
 曲の感想を彼女が話してくれたけど、>>3:560
 僕は うん、うん、と頷くばかり。
 
 
(102) 2022/10/22(Sat) 1:36:53

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 やがてチャイムが休み時間の終わりを告げた。
 お礼を言って席に戻ろうとする彼女へ >>3:578
 「 ちょっと、待って 」とその場で引き止めて。
 
 教室へ入ってきた先生に駆け寄ると
 「 金海さんが体調悪そうなので、保健室へ
   連れて行ってきます 」
 急遽作った心配顔で告げてから、
 僕は、彼女の手を引き教室を出る。
 
 
(103) 2022/10/22(Sat) 1:36:56

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 連れ出したのは、調理室。
 適当な席に座ってもらったら、
 僕は暖かい紅茶と 昨日作って
 食べ切る事が叶わなかったカヌレを彼女の前へ。
 
 自分の紅茶も用意すれば、向かいの席に腰を下ろす。
 
 
 「 " 悩んだ数だけ強くなる " いい曲だよね。
 
   僕らもさ、
   もうちょっとだけ悩んで
   もうちょっとだけ強くならない ? 」
 
 
 柔らかく笑んで、紅茶をひとくち 口に含む。
 そして、彼女が落ち着いたのを見計らってから
 演技でない方の心配顔を小さく浮かべ
 ゆっくりと口を開こうか。
 
 
(104) 2022/10/22(Sat) 1:36:58

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
  「 さよならのつもりだった叶冬ちゃんは
    それから ………
    幽霊さんとお話する内容、きまった ? 」*
 
 
(105) 2022/10/22(Sat) 1:37:01

【人】 天ヶ瀬 青葉

 ── 回想:天ヶ瀬 青葉 ──
 
 
 ヒーローごっこよりは人形遊び
 格闘ゲームよりは着せ替えゲーム
 カッコいいものよりは可愛いもの
 男の子とよりも女の子と遊んでいる事が多かった。
 
 家では、母がお菓子教室を開いているせいもあってか
 毎日のように付き添って、一緒にお菓子を作ってた。
 
 男子の輪に混ざらないものだから、
 時々からかわれたりする事もあったけど。
 仲のいい女子が庇ってくれたりして
 そこまで気が沈んだりはしなかった。
 
 女子が着てきた可愛い服を羨ましく思ったり
 修学旅行の男子部屋で、居心地の悪さを感じたり
 多少の事はあったけれど、小学校の時は
 それとなく過ごせていたんだ。

 
 
(157) 2022/10/22(Sat) 15:36:16

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
  それから一転して、
  中学に進むと途端に息苦しさを感じるようになった。
  熱湯風呂に手を突っ込むような感覚で
  毎朝、男子の制服に袖を通して、登校する。
  この感覚は、今になっても。 >>2:219
 
  " 誰が好き "とか、男性アイドルの話とか
  話題も変わってきたからか
  クラス内で女子の輪に混ざろうとしても
  段々と、いい顔をされなくなっていった。
 
  僕は、ひとりで休み時間を過ごす事が増えていった。

 
  この頃、料理部の部活だけが救いだった。
  女子の輪に混ざって、お菓子の話をしながら作る。
  男子生徒なら敬遠しがちな状況だけど、
  僕にとっては一番心が落ち着く時間だった。

 
 
(158) 2022/10/22(Sat) 15:36:18

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
  そんな或る日、
  僕は部活で使うエプロンを新調しようと
  ショッピングモールへ足を運んだ。
  フリルのついた可愛いデザインに惹かれたけど
  選んだのはパステルブルーの無難なエプロン。
 
  本当に着たいエプロンを我慢したせいか、
  新調したのにもかかわらず
  少しモヤモヤを感じながら歩いていれば。
  古着屋さんのテナントで
  可愛らしく着飾ったマネキンが目に留まった。
 
  一着500円とか、僕のお小遣いでも買える値段。
  店内で一時間ぐらいは悩んでたと思うけど、
  赤めた顔を隠すように俯きながら
  レジへ持って行ったのは ピンク基調のワンピース。
  この日、僕は初めて女の子の服を買った。

 
 
(159) 2022/10/22(Sat) 15:36:21

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
  家族が寝静まった深夜。
  自分の部屋でだけ僕は" 女の子 "になる。
  鏡の前でスカートを靡かせながら一回転。
  重い枷が外されたかのように、身体がとても軽かった。
 
  ああ、これが僕だ ──── そう思った。
 
 
  今に思えば、此処で止めておけば良かったんだ。
 
  こっそりと女の子の服を増やしていった僕は
  今度は誰かに、この姿を認めてもらいたくなった。
  そこで僕は、SNSで女の子としてアカウントを作り
  着飾った写真をアップロードするようになった。
 
  最初は顔を隠していたけれど、
  レスで望まれたらチラッと写した画像を載せたりして。
  ここでは女の子として扱ってもらえることが
  僕は何よりも嬉しかったんだ。

 
 
(160) 2022/10/22(Sat) 15:36:23

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
  『 このアカウント、お前じゃね ? 』
 
 
 僕の扱いが一変したのは、同級生の一言からだった。
 違うよと首を振っても" BLUE Leaf "だなんて
 名前をもじっただけのアカウント名、
 顔も写ってる画像もそのままだったから。

 トイレに駆け込み、
 すぐにアカウントを消したけれど、
 既に保存された画像と共に
 僕の噂はクラスから学校中へと広まっていった。

 
 
(161) 2022/10/22(Sat) 15:36:25

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 女装、だの キモイ、だの ネカマ、だの
 陰口は僕の耳に届く範囲でも囁かれた。
 そんなんじゃないって言い返せるほど 強くも無かった。
 
 しばらくは、ずっと我慢していたけど
 心の拠り所だった料理部でも疎外され、
 やがて 僕は登校しなくなった。
 
 担任が家庭訪問してきて、両親と話した日の夜は
 リビングから言い合う声が僕の部屋まで響いた。
 " お前が男らしく育てなかったから! "
 壁を挟んでも届く父親の声に
 僕はベッドの上で布団を巻きつけ、必死に耳を塞いだ。
 
 こんなにも両親を悲しませて
 生まれた後から性を選ぶのは悪いコト、なんだな

 
 
(162) 2022/10/22(Sat) 15:36:29

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
  女の子の服はすべて没収され、
  一緒にお菓子を作るどころか
  キッチンで何かを作る事も禁止された僕は >>1:475
  部屋で閉じこもるだけの生活になった。
 
  出席日数はギリギリ足りそうだし
  一応、高校に進学は出来るよう 勉強は欠かさずに。
 
  気晴らしはネットの徘徊ぐらい。
  猫や犬の動画を見つけては ぼーっと眺める。
  自分でも感情の起伏の無さを感じていたとき
  偶然、オススメで表示された動画がユメリンだった。

 
 
(163) 2022/10/22(Sat) 15:36:31

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 夢に向かって、真っすぐ突き進む女の子。
 ユメリンの動画を観れば観るほど、
 僕は彼女に熱中していった。
 
 調べてみてわかった事だけど、
 彼女は" 不幸の女の子 "なんて呼ばれていたりもした。
 事務所の社長がお金を持ち出して逃げたり、
 ライブ当日、停電になったり
 握手会で襲われそうになったり。
 不幸エピソードは、数え上げたらキリがないぐらい。
 
 それでも彼女は" いつか、夢の向こうに! "って
 応援しているファンへ手を広げていた。
 
 僕は彼女に憧れた。その強さに。 >>0:388
 僕も彼女の様な存在になりたい、って
 この想いを忘れないようユメリンのヌイグルミを作った。

 
 
(164) 2022/10/22(Sat) 15:36:34

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 少し、前向きな気持ちになれた僕は
 両親が勧めてきた出弦高校を受ける事にした。

      此処から遠く離れているけど、
      ここ数年受験する生徒がいないから
      新たな環境として良いのでは ?
      ───そう担任に言われたらしい。
 
 欲を言えば制服のない学校が良かったけれど
 僕にそれ以上の選択権は無かった。
 
 ネットを徘徊してる間、色んな情報をみつけた。
 僕みたいに生まれながらの性に疑問を持つ人は
 それこそ星の数ほどいた。
 
 僕はどうするべきか考えたけど、
 両親をこれ以上悲しませたくなかったから
 高校は普通の男子として過ごす決意をした。
 
 卒業して、自立してから
 僕は" 本当の僕 "になろう、と。

 
 
(165) 2022/10/22(Sat) 15:36:36

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 ユメリンのように
 元気と笑顔を与えられる存在になりたい ───
 その気持ちは コミュ強として過ごす原動力になった。

 そして高校へ進学すると、まず部活を探した。
 どうせ男として過ごすなら、
 なにか打ちこめるようなスポーツがいい。
 あちこちの部活を見て回る中、
 僕の足は体育館で歩みを止めた。
 
 その人はキラキラと輝いて見えた。 >>1:249
 ユメリンが女としての憧れなら
 彼は男としての憧れ。僕はバスケ部へ入部した。

 
 
(166) 2022/10/22(Sat) 15:36:39

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 ──── そして現在。
 幽霊が" 願い "を叶えてくれると言う。
 
 男であることの痛みを 今でも強く抱えているけれど。
 願いが叶えば 今の高校生活もまた一変する。
 
 " 男子バスケ部 "は辞めざるを得ないだろうし、
 中学の時のように奇異の目を向けられ
 また、独りぼっちになるかもしれない。
 
        ──── それは、とても怖くて。
 
 
 期限を迎えた三日目。
 始めから願いは決まっているというのに
 僕の心の天秤は 今もまだゆらゆら、と揺れていた。**
 
 
(167) 2022/10/22(Sat) 15:36:42

【人】 天ヶ瀬 青葉

 ── 2day・昼休み:彩葉ちゃんと ──
 

 お昼の放送では、リクエストした曲の音源として
 CDを彼女にササッと手渡した。>>12
 「 良かったら貸すし、貸したりするし、貸すよ? 」
 現代文だけど古文並みの難解語を添えて。
 
 普段、彼女は放送の合間に食べているんだろうか >>13
 初心者の僕の場合、タイミングが狂って
 食べながら話してしまいそうな気がしたから
 放送後に食べる方をお願いした。
 
 お弁当持参の彼女が、おかずを分けてくれるなら
 素直に喜んで頂戴したかな。
 彼女自身か親か、誰が作ったか聞く前に
 味つけが良ければそれを褒めたりして。
 
 
 「 こちらこそ貴重な体験ができたよ。ありがとう。
   またゲスト呼ぶ機会があったら教えてね! 」
 
 
 放送後に、あらためて彼女がお礼を述べてきたら >>14
 僕もお礼を返して。一緒に教室へと。
 
 
(222) 2022/10/22(Sat) 20:47:29

【人】 天ヶ瀬 青葉

 ── 3day・授業中:彩葉ちゃんと ──
 
 
 彼女に願いを打ち明けるべきか ───
 まず彼女自身の願い事についてメッセージで尋ねれば
 返ってきた文を読み、>>=0
 僕は席に座ったまま、大きく息を吐く。
 
 彼女に何か強い願いがあれば、
 言わないでおこうと思ったけれど。
 
 意を決して、僕は僕自身が抱いている願いを
 メッセージで送信した。なんて簡単に言うけど、
 指が震えて3回ほどうまく送信できなかった。
 
 
 沈黙。教師の声すら耳に入ってこない。
 怖くて目もあけられない。
 このまま嫌われて返信がこない可能性だってある。

 より強く目を瞑った瞬間 ───
 手に持ったままのスマホが震え、着信を知らせる。
 

         僕は、おそるおそる目を開いた。
         そこに書かれていたのは >>=1
 
 
(223) 2022/10/22(Sat) 20:47:32

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
  「 あお、ちゃん ……… ?


         あお、
ちゃん ……………
 」
 
 
(224) 2022/10/22(Sat) 20:47:35

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 まず、受け入れて貰えた事の驚き。
 それから、呼び名が近付いたことへの嬉しさ。
 それは、離れて欲しくない相手だからこその。

 そんなの気にしないはずだったのにね。

 
 僕が呼び名を反芻している間、
 彼女から再びメッセージが飛んできて。>>=2>>=3

    
 ( 嫌いにならない、って )


 スマホを抱きしめるように そっと両手で胸に当てた。
 
 
 そのまま、ちらりと後方の座席へ振り向けば
 微笑んで手を振る彼女と目が合った。 >>17
 耳まで赤くした僕は、慌てて前を向き
 そのまま机に突っ伏した。
 
 そして、少しだけ机との空間を作れば
 スマホに打ちこみ、送信する。
 
 
(225) 2022/10/22(Sat) 20:47:37

【人】 天ヶ瀬 青葉

 ── 3day・調理室(授業中):叶冬ちゃんと ──
 
 
 僕の誤爆メッセージを見てなかったら ───
 僕と約束をしていなかったら ───
 " さよなら "、つまり消え去るつもりだった ? >>168
 
 役に立てたのなら良かった、なんて思える訳がない。
 
 病気絡みのコトだったら、
 たぶん" 願い "で治ると思う。
 だったら消え去りたい理由はもっと別の ──── ?
 
 
(297) 2022/10/23(Sun) 2:13:54

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
  「 …… 行こう 」
 
 
 チャイムが鳴ったら終了 ?まさか。
 彼女の手を引き、教室から連れ出そうとすれば
 なんだか日本語で読めない驚き声をあげた。>>171
 
 連れ出した先は、保健室ではなく調理室。
 用意したのはカヌレと紅茶。 >>172
 
        ・
 「 そう、僕らも。 >>173
   僕だって いっぱい悩みがあるよ。
   たとえばね …… ああ、紅茶もお菓子もどうぞ 」
 
 
 授業をサボった以上、
 時間の流れはそこまで気にしなくてもいい。
 僕は話を一旦切り、彼女に紅茶とお菓子を促す。
 カヌレの感想を彼女から聞けば、>>174
 「 ありがとう、嬉しいな 」そう微笑んで。
 
 
(298) 2022/10/23(Sun) 2:13:57

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 遠くで、当然授業中であろう教師の声が聞こえる。>>175
 それ以外は静かなもので、
 時折蛇口から零れる水滴が シンクを打つ音ぐらい。
 
 だからどんな小さな声でも >>176
 彼女が口を開けば それは僕の耳に届いただろう。
 
 
  「 そっか。 心がしんどかったんだね。 」
 
 
 " さよなら "したかった理由は、身体の病ではなく
 心の問題だったみたいで。僕は静かに頷きをいれる。
 過去形なのだから、
 別段励ましたり慰めたりはお門違いだろう。
 
 
(299) 2022/10/23(Sun) 2:14:00

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 そして、過去形のその先 ────
 現在形の願いに耳を傾ければ、
 まだハッキリとは決まっていない様子で。 >>177
 
 
 「 勇気 ? さよならを止めた叶冬ちゃんなら
   出せるよ、もちろん。 」 >>178
 
 
 消え去るのと、生き続けるのと ────
 どっちが勇気が必要か、って そんな事、決まってる。
 
 そして彼女はどうしたかっていうと、
 ユメリンの決めセリフと共に
 元気なポーズをきめた。 >>180
 
 
(300) 2022/10/23(Sun) 2:14:02

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
  そうだ、僕らは! いつか、夢の向こうに!!
 
 
[ 彼女がやったポーズを、今度は僕も。
  同志だから、というより
  勇気を分け合いたいから、かな。
  
羞恥はないよ。うん、まったく。
 ]
 
 
(301) 2022/10/23(Sun) 2:14:05

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
  「 うん、難しい悩みだと 強くなるどころか
    どんどん弱くなっちゃうよね。 」
 
 
 彼女の言葉に僕は首を縦に振り、>>181
 そのまま静寂が戻るまで聞き入ってから >>182
 
 
  「 じゃあさ、手伝ってほしいな。
    えっと …… 簡単なアンケートなんだけど。
 
    もし、もしも… 僕が 女の子になったら ……
    その ……叶冬ちゃんは

       ………
変わらず友達でいてくれる?
 」
 
 
(302) 2022/10/23(Sun) 2:14:08

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 このアンケートで僕は2つの告白をしている。
 
 自分の" 願い "と ─── それともうひとつ。
 

             同志というだけでなく
           " 友達 "だと思っている事。**
 
 
(303) 2022/10/23(Sun) 2:14:12

【人】 天ヶ瀬 青葉

 ── 3day・旧校舎:彩葉ちゃんと ──
 
 
 空は黄昏れ、
に焼かれたグラウンドを歩く。
 彩葉ちゃんと約束した時間には、それでもまだ早い。
 僕は1度校門をくぐり、学校の外へと。
 
 何処へ行くのか、って ?
 うん、まあ ──── ちょっと、お買い物。

 
 
(328) 2022/10/23(Sun) 11:14:48

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 なんとか閉門する前に戻ってきた僕は、
 校舎 ───、と言っても 今はもう誰も使っていない、
 けれど誰かが来るのを待っている。
 
 そんな寂しがり屋が住み着いた、旧校舎へ。
 寂しいから住み着いてるのかは知らないけどね。

 
 
(329) 2022/10/23(Sun) 11:14:50

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 旧校舎の中に踏み込めば
 ギシ、ギシと床が音を立てる。
 
 時間が良かったのか、窓から差し込む
の光が
 微かに進むべき道を照らしだしていれば、
 僕は明かりを灯すこともなく歩んでいった。
 
 スマホが震え、僕は画面を確認した。
 彼女はもう二階だろうか、到着しているらしい。>>=16
 そのまま僕はメッセージを返信する。
 
 
(330) 2022/10/23(Sun) 11:14:53

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 軋む階段をゆっくりと上がり、2階に着けば
 廊下で彼女の姿を見つけられた筈で。
 
 
 「 ひとりでここまで来ちゃうなんて、

                勇気あるね 」
 
 
 僕がにっこりと浮かべた笑みは
 暗くて見えなかったかもしれない。
 けれど、普段教室で話すのと変わらない声のトーンは
 僕もまた、怖がっていない事を指していた。
 
 もし、手に持つ花束が見えたのなら
 「 うん、買ってきた。
   幽霊さんにプレゼントしようと思って。 」
 僕は、そんな言葉を返しただろう。
 
 
(331) 2022/10/23(Sun) 11:14:57

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 「 こんばんは、幽霊さん。
   これ、僕からのプレゼント。
 
          中秋の名月の頃に咲くから
          十五夜草って言うんだって。 」
 
 
 
淡い紫色
を花弁に纏ったその束を
 僕は貴方の足元にそっと置いて。
 
 願いを言うのはどちらが先だっただろうか。
 時間の約束をした時に、
 彼女が言っていた事をもう一度思い出す。 >>295
 だったら、僕が言うのが先なんだろうな ───
 
 
(332) 2022/10/23(Sun) 11:14:59

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 こうやって貴方を直視しても、やっぱり恐怖を感じない。
 優しい声だから ? 会話が出来るから ?
 なぜそう感じるのか、わからないけど ───
 
 
 「 幽霊さんは ……
   どうして、願いを叶えてくれるの ? 」

 
 ダンマリ。

 
 「 未練があるから、今も此処にいるの ? 」
 
 
 ダンマリ。
 
 
 「 お腹は空かないの ? 」
 
 
 うん、って言った!? 話せるんじゃない。
 
 
(333) 2022/10/23(Sun) 11:15:01

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 未練のある幽霊が願いを叶えてくれるらしい ──
 そんな噂が立つという事は、
 既に叶えてもらった人がいるのかもしれない。
 だけど、貴方は此処に居る。
 
 誰かの願いを叶えても、未練は消えない ?
 それとも旧校舎に囚われて動けない ?
 
 僕たちの願いを叶え終わったら ────
 また、誰が来るとも分からない旧校舎で ひとり ?
 
 
                
そんなの、ってさ

 
 
(334) 2022/10/23(Sun) 11:15:03

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
  「 幽霊さん、僕の" 願い " 聞いてください 」
 
 
(335) 2022/10/23(Sun) 11:15:06

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 「 みんなの願いを叶えたら ……
 
      貴方は やすらかに成仏してください 」

 
 
(336) 2022/10/23(Sun) 11:15:08

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 情がうつった ?そうだよ、その通りだよ。
 誰もいない旧校舎で、ひとり。
 来るかも分からない探索者を待って、願いを叶えて。
 そしたら、また。
 
 
 「 幽霊にだってね、
   夢の向こうはあると思うんだ。
 
   幽霊さんが
   今まで幸せだったのか、不幸だったのか
   それも分からないけど ……
 
   僕は、幽霊さんが此処にいたコト
   ずっと憶えているから、だから …… 
 

           次の幸せに向かって欲しいな 」
 
 
 十五夜草。別名、紫苑。
 " 君を忘れない "。そんな意味もあるんだって。
 
 
(337) 2022/10/23(Sun) 11:15:11

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 こんな願い、叶えて貰えるかどうかも分からない。
 もし叶えて貰えなかったら ?
 
 そうだね、月に一度は遊びに来るよ。
 
 
 僕は、彩葉ちゃんの方を向いて、
 「 ごめんね 」ってまずひとこと。
 
 
  「 土壇場でかえちゃった ……

    だから、彩葉ちゃんも好きに願って。
    僕の為でも、自分の為でも。 ね? 」
 
 
 僕は申し訳なさそうに苦笑いして、
 それから 今度はにっこりと笑った。 **
 
 
(338) 2022/10/23(Sun) 11:15:14

【人】 天ヶ瀬 青葉

 ── 3day・放課後:秋緒ちゃんと ──
 
 
 「 そっか。いっぱい悩んだんだね、お疲れ様。
   それじゃあ甘いモノ補給しないとね! 」
 
 
 『 願いは決まった? 』という僕の問いに
 彼女からの返答を聞くと、 >>384
 僕は緩やかに笑んでうんうん、と頷く。
 
 悩んでいた時はあったらしいけれど、
 今はもう、辛くないらしい。
 
 彼女の悩みが何だったのか、勿論気にはなるけれど。
 僕は基本的に解決済な過去には触れない。
 その表情から、普段よりも明るいモノが垣間見えたなら
 彼女の言葉を そのまま鵜呑みにして。
 
 
(442) 2022/10/23(Sun) 19:57:12

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 並んで歩いていた筈なのに、後ろから声が掛かる。>>385
 僕は「 ん、どうしたの ? 」と振り返ると
 立ち止まっている彼女に不思議顔で声を投げて。

 返ってきた言葉を聞きながら>>386>>387>>388
 僕は何度か目をパチクリさせたあと、
 彼女の方へ向き合い 口を開く。
 
 
 「 どういたしまして! 」
 
 
 途中、なんだか遺言みたいだなって
 ハラハラしながら聞いてたんだけど。
 これからもよろしく ───その言葉でホッとして。
 
 深く頭を下げられたら、
 「 あ、ご丁寧にどうも 」なんて僕も深々とお辞儀を。
 僕のは冗談っぽく 笑いながらだけどね。
 
 
(443) 2022/10/23(Sun) 19:57:14

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 「 秋緒ちゃん。今日はね ……
   かぼちゃのプリンとマシュマロを作るよ。
   プリンは一晩寝かせた方がいいから ───

           ・・
           明日にさ、みんなで食べよ ? 」
 
 
 早朝から、バターサンドの感想を聞くメッセージを
 送ってきたり。>>2:=12
 絵音とも何かを話したんだろう。
 もしかしたら、僕の誤爆メッセージにも
 何か思うところがあったのかもしれない。
 
 目の前の彼女が
 今も思い悩んでいる顔をしていたのなら ───
 僕もひとつひとつ聞いていく事になったと思う。
 もう地雷は踏まないなんて約束を破ってでも。
 
 
(444) 2022/10/23(Sun) 19:57:16

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 僕は特段、彼女に寄り添った訳でも無い。
 ただ、日常を出来るだけ楽しく 一緒に過ごしただけだ。
 
 だけど、そんな日常に礼を述べてくれるなら。
 僕はこれからも、日常を彼女に届けよう。
 
 代わりなんていない、大切な後輩だからね。**
 
 
(445) 2022/10/23(Sun) 19:57:18

【人】 天ヶ瀬 青葉

 ── 3day・旧校舎:彩葉ちゃんと ──
 
 
 僕の" 願い "。ずっと前から、強く、強く。
 悲しい事も経験して、抱いていたはずなのに。
 彼女の言う様に、優しいのかは分からない。 >>478
 でももう、僕はこういう性分なのかな。
 これで良かった、とまで思っているんだから。
 
 
  「 うん、だから …… 」
 
 
 たくさん彼女と相談して、" 願い "も打ち明けて。
 なのに土壇場で『 成仏して 』なんて
 身勝手なお願いしちゃってるんだから。
 彼女も自分の為に使って欲しかったんだけど。
 

           それでも彼女は言うんだ、
           僕の願いを叶えたいって。>>479
 
 
(531) 2022/10/23(Sun) 23:36:26

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
  「 僕 …… ぼく、は ………

    いつ、どうやって ……… ?? 」
 
 
 いつ、どうやって、どんな女の子になりたいか >>479
 ──── 全然考えていなかった。
 見つめてくる彼女に 僕は大きく90度、首を傾げて。
 相談しようかという空気になれば小さく頷いた。
 
 だって、女の子になりたいとは思っていたよ?
 でもそれは ────
 こんな超常的なチカラでなるんじゃなくて
 もっとこう、服装とか
 必要であれば 医学的な方法で考えていたから。
 
 
(532) 2022/10/23(Sun) 23:36:29

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 そっか ───
 一回の願い事の中に含めたら、そんな指定も出来るんだ。
 
 
 「 彩葉ちゃん、あったまいいー 」
 
 
 僕のコトだっていうのに
 僕以上に考えてくれている姿をみて、ぽつりと。
 思わず無意識に零しちゃったけど
 これ以上思考の邪魔をしないよう、ありがとうは小声で。

 
 
(533) 2022/10/23(Sun) 23:36:32

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 彼女が挙げてくれる選択肢を、
 僕も真剣に ひとつひとつ考えていく。

 まず、過去を変える選択肢。>>480
 性別を変えるとなると、母のお腹の中から ?
 人生をやり直すという事になるんだろうか。

 でもそれは、今まで男として生きてきた僕を
 消し去るという事で。
 可能だとしても、頷けるものでは無かった。
 この人生だから得られたもの、人。沢山あるから。
 
 
(534) 2022/10/23(Sun) 23:36:35

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 二つ目の、未来に変わる選択肢。
 
 こっちの方が現実的だよね、と僕は頷く。
 何も考えていなかった僕は
 今すぐ女の子になるものだと思っていたけど。
 
 期間を設ける事が出来るのなら、
 医者にかかって診断書を出してもらったり
 出来る事は増えると思う。
 じゃあ、いつ ?って話になるんだけど ────
 
 
 「 僕さ、彩葉ちゃんと
   同じ女の子の制服を着て過ごしたい ……… 」
 
 
 僕は目を逸らして、少し恥ずかし気に。
 だから、卒業式以降はNG。
 3年になったら同じクラスになれるかも分からないから
 出来れば数ヶ月後。冬休みを挟む形で
 1ヶ月ぐらいお休みをもらってもいいかもしれない。
 
 
(535) 2022/10/23(Sun) 23:36:38

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 それから、別の選択肢が挙がったとしても >>481
 僕はすぐさま首を横に振っただろう。
 " 人の気持ちまで変えてはいけない " >>1:579
 憧れている先輩がそう言っていたんだ、って。

 
 
(536) 2022/10/23(Sun) 23:36:40

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 まだまだ考えてくれている彼女。 >>482
 その姿に僕は目を細め、そっと言葉を投げる。
 
 
  「 彩葉ちゃん
    僕ね、……ずっと女の子になりたかった。
 
    でもそれ以上に……
    どんな事でも相談できる
    女の子の親友が欲しかった。

               ………ありがとう 」
 
 
 伝えたあとは、慌てて目を逸らして。

 一緒にお店巡りしたり 服を買いに行ったり
 どちらかの家にお泊りして、お菓子食べながら
 恋の話で盛り上がったり。まだ恋自体知らないけど。
 男が好きか、女が好きかも分からないけど。

 
 いつか出来たらいいな、そう思った。
 " 親友 "って言葉使っただけでも恥ずかしいから
 今はまだ 心の中に留めておくだけ、だけど。
 
 
(537) 2022/10/23(Sun) 23:36:45

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 彼女のおかげで、
 明確な願いが出来た気がする。
 

 「 
今から3ヶ月かけて

   
だんだんと女の子の身体にして欲しい


             ……… これでどう? 」
 
 
 一ヶ月目、二ヶ月目とか
 どんな身体になっているのか怖いけど
 お医者さんにかかれば奇病扱いで、認知されるかな。
 胸の大きさとか、そういうのは幽霊さんに任せて。
 
 本当に願いを僕の為に使っていいのか
 もう一度だけ確認すれば、あとは彼女に託して。*
 
 
(538) 2022/10/23(Sun) 23:36:48

【人】 天ヶ瀬 青葉

── 三学期:2−A教室 ──
 
 
 冬休みも明け、今日から三学期が始まる。
 僕は、というと ───
 もうSHRが始まっているというのに
 教室からすぐの廊下で待機していた。
 
 教室の中から、担任の声が聞こえる。
 
      『 えー、今日は在校生を紹介する。
                 入ってきて。 』
 
 どうして、そんな転校生みたいなノリなの。
 だけど、入れと言われたら入るしかない。
 
 僕は大きく息を吸い込み、深く吐いてから
 ドアの引手に指をあて、横にガラガラと開ける。
 
 
       教室と廊下との温度差で空気が流れ、
       ふわりと
スカート
が揺れた。
 
 
(851) 2022/10/24(Mon) 23:26:49

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
  「 は ……
はは
、   その ………
             天ヶ瀬、青葉……です
 
    あの、…病気とか色々とありまして、…… うん
    今日から女子生徒になりましたので ?
 
    えっと、今までどおり ……
             おねがい、
します
 」
 
 
 授業中、いきなり問題を当てられても
 " わかりません! "って元気に即答できる僕だけど。
 
 
『 ええええええええ!? 』
って
 みんなから驚きの顔と声を向けられながら話すのは
 緊張するなんてモノじゃない。
 
 これからもみんなが僕とどう接してくれるのか ───
 実際のところ、怖いよ。

 
 
(852) 2022/10/24(Mon) 23:26:51

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 席について授業が始まっても
 ちらちら、とみんなが僕に視線を向ける。
 たまに目が合えば 出来る限りの愛想笑いを返して。
 

        そんな中で ────
        僕は今日までの事を振り返っていた。
 
 
(853) 2022/10/24(Mon) 23:26:54

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 一週間もすれば身体に変化が現れだした。
 まだ微々たるものだったからか、最初の診断は様子見。
 
 一ヶ月経った頃には
 大学病院で精密検査を受けていた。
 僕としては" 願い "のおかげだと理解していたけど
 当然、両親はそうじゃなかった。
 
 原因不明の奇病と診断され ────
 父も母も驚き、悲しんだ。
 毎日、僕の身体の心配をするようになった。
 大丈夫だよと笑いながら返しても
 両親の不安は 顔に見てとれた。

 
 
(854) 2022/10/24(Mon) 23:26:56

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 それでも僕は" 願い "の事を両親に話せなかった。
 もう女の子の服なんかに興味が無い ────
 家では、そんな顔をして過ごしていたから。
 
 両親に心配される度、
 僕は心の中で" ごめんね "って呟くばかり。
 
 やっぱりね、奇跡のチカラなんかで願いを叶えると
 どこかで つじつま合わせのしわ寄せが来る。
 きっとこれを" 代償 "と呼ぶんだろう。
 
 
      せめて、大人になったら
      せいいっぱい親孝行しようと心に誓った。

 
 
(855) 2022/10/24(Mon) 23:26:59

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 原因も不明、対処法も不明。
 女性の身体へ変化していく以外は、至って健康。
 そんな状態だから、僕は入院する事も無く
 普段通りの学生生活を続けた。
 
 季節は味方をしてくれて。
 制服の上からセーターを着こめば、
 身体のラインはそれとなく隠すことが出来た。
 
 バスケも厚めのジャージを着て参加していたんだけど。
 ちょうど二ヶ月目 ─────
 男としての筋力が減ったのだろう。
 今まで片手で放っていた3Pシュートが
 ゴールに届かなくなった。

 それを機に、僕は冬休みを挟む形で
 一ヶ月間 学校を休むことにした。
 どうせ ここから先は
 セーターでも誤魔化せそうにないから。

 
 
(856) 2022/10/24(Mon) 23:27:01

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 もうほとんど女性の身体になっていた僕は
 この一ヶ月の間に色んな手続きをとった。

 ちゃんとした性別の変更は
 成人してからでないと出来ないらしいけど
 診断書を元に、学校と内密に連絡をとって
 女子生徒として在学できないか打診したり、とか。
 
 ここら辺の細かな手続きは、
 ほとんど両親が主導でやってくれて。
 僕は申し訳なさで、願いが叶いつつあるのに
 それを喜ぶ暇さえなかった。
 
 ようやく、嬉し涙が零れたのは
 女子用の制服が届き、鏡に映る自分の姿を見た時。
 もう三学期も始まる直前の事だった。

 
 
(857) 2022/10/24(Mon) 23:27:03

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 3ヶ月間を振り返り、はぁと息を吐く。
 これだけ猶予があったのに 慌ただしかった。
 
 だから正直、心の余裕はあまりない。
 いつもの椅子にスカートで座る ────
 そんな真新しい感触にも気付かないまま。
 
 周りから視線を受けるたび、愛想も笑みも減っていく。
 無意識に、ゆっくりと顔を振り向かせ
 細かな内情を知る 親友の顔をちらりと。

 他に内情を伝えたのは、
 秋緒ちゃんと叶冬ちゃんだったかな ?
 2ーCの2人はスラム街だから内緒にしてたかも

 
 
(858) 2022/10/24(Mon) 23:27:05

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 彼女は笑ってた ? 心配そうにしてた ?
 ううん、どっちだっていいんだ。
 
 
         うん、元気と勇気が湧いてきた。

 
 
(859) 2022/10/24(Mon) 23:27:07

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 授業が終わった後の休み時間。
 僕の前には、人だかりがぶわっと押し寄せて。
 
 「 うん、色々大変だった ! 」
 「 これからは女の子扱いでよろしくね ! 」
 
 飛び交う質問に、
 僕は僕らしく笑って答えていく。
 
 
         此処は" 夢の向こう " ─────
         僕が望んだ世界じゃないか

 
 
(860) 2022/10/24(Mon) 23:27:09

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 そして僕は、ついに女子だけになった料理部で
 せっせとお菓子を作っている。
 いつかの フリルのついたエプロンを身に着けて。
 
 バスケ部には
 マネージャーとして在籍出来る事になった。
 時々、こっちにもお菓子を差し入れしよう。
 
 
(861) 2022/10/24(Mon) 23:27:12

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 " 夢の向こう "にだって
 後悔や苦しみは きっと待ち受けているんだろう
 
 だけど ────
 " 本当の自分 "なら きっと乗り越えられる
              乗り越えてみせる
 

 だから僕は、まだまだ僕の目指す先へ ─────
 
 
(862) 2022/10/24(Mon) 23:27:14

【人】 天ヶ瀬 青葉

 
 
 
「 ねえ、アップルパイ焼けたよ! 食べる? 」

 
 
 
      鞄のユメリンが にこりと笑った**

 
(863) 2022/10/24(Mon) 23:27:17