人狼物語 三日月国


87 【身内】時数えの田舎村【R18G】

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誰もいない家で一人眠ることになった、そして、再び川辺には訪れなかった。

村で見かけられなくなった。どこに泊まったかも誰もわからない。

 あまり手の入っていない、雑木林の中を分け入って少し。
 誰も来なくなってしまった、秘密基地。
 月日に埋もれる事も無く、今も形を保ったままの石畳を踏んで。

 違和感に気づいた、もしかしたら自分だけ。



「―――なれなかった」



 聖なる乙女のような君になりきる事が出来なかった。
 自分は誰も導くことが出来ない子供のまま。
 なりきれなかった自分は何か大切なことを忘れている気がする。
 どうしてここにいるんだろう、何を忘れているんだろう。
 夕凪がここにいたい理由は――――。

 遊びたいか ら ?


『強く思い出さなきゃ。
 ”この田舎”に縋る以外にすることがあるはずって、伝えるんだ』



「あそびましょう、狼さん。
 なんだか向こうに狸さんもいるみたい。
 面白いな、ずっといたい気分になってくる」


あなたの言葉を聞きましょう。
あなたの楽しいことをしましょう?
あなたと一緒に過ごしましょう。
それが、夕凪にとって幸せなことになるはずだから。

みんなの秘密基地は、やっぱり賑やかじゃないと寂しいから。

  百千鳥

夕凪はいくら探して見つからなかった。
だけどあなたが誰かに声をかけている内にひょっこり顔を出す。
自然の香りを纏わせながら、夕凪は楽しそうに笑いかけただろう。

「モモチくん海に行きたいんだって?
 夕凪が運転しようか、昨日ぐっすり寝たから今日は元気なんだ。
 やりたいことがあったら、何でも用意してあげる!」

卯波の撮った写真は、現像もしていないのに、家に散らばっていた。

愛用のデジタルカメラと、『晶』と書かれたインスタントカメラを置いて、何処かへ行ってしまった。

寂れた神社の縁側に座って、
ふらふらと足を揺らしている。

「二番目。おまけ。
 ついてくるもの。
 枠の外だけの子。
 
 あははァ……何も変わってないんだ」

心からの対抗心を向けて、
心からの嫉妬を向けて、
そうして受け取った感情は、

『あなたも大切だけど、
 他にも大切な人がいる』

という残酷な言葉だった。

連れてきてもらった子の肯定が心に染み渡る。
田舎の外に対する想いが消えて、田舎の中の気持ちだけになる。

周りの景色の綺麗さが、ひたすら毒となって、
自分の身体を蝕む──そんな、思いだ。

 百千鳥

「いいよー、任せておいて。
 歩きでも行けると思うけど、持ち物は車が楽だからさ。
 眠くなっちゃった人も運びやすくなるからね。

 やりたいこと? 夕凪はスイカ割りもしたいし、泳ぐのもしたいな〜。
 あとはー」

 あたりを見渡して、頬に指を当てながら子供のように何かを考える。

「みんなを巻き込めたら何でも!」

例えばビーチフラッグ。
例えば本格的砂のお城建築など。
他の貝殻集めや女の子らしい提案は夕凪からは出てこないようだった。

「……カメラ、何処か行っちゃった」

唯一の取り柄であった、
思い出を四角に切り取ることすらできない。

劣等感に押しつぶされそうだ。

「……」

微笑む。
いつか自分がカメラに映るために練習した笑顔は、
自分の心を覆い隠す殻となって顔に張り付く。

それでも、抑えきれない涙を、
指先で拭って──ふと、手を見つめる。

また頭がちくりと痛む。
言いようのない違和感だけが、そこにある。

自分の華奢な指先と、青年らしいしっかりとした指が、交互にチラつくのを見た。

メモを貼った。

メモを貼った。

境内からでて、自分の家へとまっすぐ進む。手入れのされてない雑木林を、まっすぐ。

結局カメラを持っていないと落ち着かない。

昨日向かった川辺に夕凪は一人で座っていた。
描き途中だったページに描きたされていくのは皆の姿。

「写真じゃ、ないし」

どこか気に入らなかったのかそのページを破ると一人一人の姿を書き始める。

編笠、青嵐、涼風、髪置……卯波、茜、百千鳥。

「みんな見た目変わったね、またしっかり顔を見たくなっちゃった。正確にかけないと悔しいし、……みんな忙しいかなあ。
 ゆっくり羽を伸ばすだけじゃなくて、ずっとここにいればいいのにな」

夏の空に独り言を飛ばして夕凪は、あなた達を探しに行った。
誰かと会いたかった、スイカをくださいなと八百屋のおばさんとお話をして、誰かと会いたかった、スコップやバケツを色んなところから借りて、誰かと会いたかった、少し大きめの車を借りて、忙しないはずなのに疲れを見せずに楽しそうにしていた。

海に行く準備をしながら村を歩き回っている。


「晶兄、来てたんだ」

見てもないのに、そんなことを言う。

「……デジタルカメラもいいけど。
 今はこっちじゃないとダメかな」

首に下げるためのホルダーを外して、
インスタントカメラの方に引っ掛けて、結ぶ。
そうして、思い出により近づいた卯波は。

ほんの僅かに、背と髪が伸びた。
子供が、成長でもするように。
相変わらず中性的な雰囲気はそのままに。

「──ふふ」

頭の痛みが、少しだけ楽になった。

メモを貼った。

メモを貼った。

【人】 青嵐

「ふあ。ねっむ。あっつ」

朝、寝苦しくて目が覚めた。
外では変わらずセミがジワジワと鳴いている。
寝起きてしょぼつく目をこすりながらベッドから降りる。
部屋ではカラカラと扇風機が回っていて申し訳程度の送風が少しばかりの涼をくれる。
ここはこっちに住んでた時の家。
俺の部屋はあの時となんも変わってなくて
傷のついた学習机もサイドフックに引っかかるくたびれたランドセルも、”ずっとあんときのまま。”

……………………

ずっ と …………………?


なんで。

「………ここ、俺の家、だよな。」

……。
微かに感じる違和感に首を傾げる。
何かが、おかしい。…気がする。
(22) 2021/08/13(Fri) 3:46:52

【人】 青嵐

「…まぁいっか。」

考えることをやめ、
大きく伸びをしてバキバキになった背中を伸ばした。

「今日は何すっか。アキラ誘って遊びにいくか、どうすっかな。
まぁ外出りゃ誰かしらに会えるか。」
(23) 2021/08/13(Fri) 3:47:04
青嵐は、とりあえず駄菓子屋に向かった。アイス食べたい。
(a14) 2021/08/13(Fri) 3:48:05

涼風 二日目 川

「成長した俺の写真……か。ふふ、期待に応えられるかな。
 何か遊びに行くでもなければ暫くは暇だから、大丈夫です」

言葉の一つ一つが、
ちくちくと胸の内を刺していく。

気遣うような笑みに返した、満面の笑みの下はもう既に陰りが満ちていること、何も明かせない自分の内側を偽って接していること。
全部仕方のないことだと、わかってるけど。

約束を、ひとまずは快諾して。

「いつかはもっといい写真を撮れるようになって、みんなが近くにいなくても俺の写真が届くようにします。

 例え未来がバラバラだとしても……みんなの人生に関われたら、いいな」

写真を見てもらって褒められるのは嬉しい。
だから、写真を見せることは、楽しい。
今は、それだけしか考えないようにした。

その後に何が起こるか、露ほども知らずに。

 青嵐

「……青嵐くん! 駄菓子屋で何のよう?
 夕凪が驕ってあげようか」

海に向かう前、村のあちこちを歩き回っていた夕凪は駄菓子屋で見つけた背中に声をかけた。
にこりと、楽しそうに顔を出して冷凍庫を見る。

しかし現れ方は、まるで幽霊のように。
さっきまで姿が見えなかったの突然出てきたかのようだった。


「驕るついでに、訪ねたいこともあるんだけどいいかな」

メモを貼った。

メモを貼った。

【人】 青嵐

>>+9 夕凪

「う、わぁっ!?」

駄菓子屋のクーラーボックスでアイスを吟味していたら突如顔を出した美人に驚いた。
嬉しいハプニングではあるが美人を視界に入れるのには心の準備が必要なのだ。その準備が出来てなかったせいで情けない声をあげてしまった。

「び、びっくりした。夕凪ねーちゃんか。ん、あっちーからアイス食べたくて。いいよ、俺これでもバイトしてるし。なんなら奢るよ。これ男子の見栄な。」

言いながらクーラーボックスを漁って引っ掴んだのはコーラ味のアイス。美味いんだよな〜これ。
夕凪ねーちゃんなにする?好きなの選びな。

「聞きたいこと?俺に?わかる事なら答えるけど。」

美人の頼みなら断れまい。
(29) 2021/08/13(Fri) 5:48:32
 青嵐

「驚かせちゃった? 今海に行く準備しててね。
 村中歩き回ってんの。
 青嵐くんバイトしてるんだ、えらいね〜。
 夕凪たちは大学生になってからだったよ」

それじゃあお言葉に甘えて。チョコミントを。
昔はイチゴ味があれば飛びつく子供だった夕凪。
チョコミントを好きな夜凪は少し珍しかったのを覚えていてもおかしくはない、たまにゆずってやりながら二人でそれぞれの味を分け合っていた。
きっと今も弟のことを思い出しているのだろう。

「難しいことじゃないよ、
 青嵐の、好きなこのタイプを知りたい、なって」

年上のお姉さんから繰り出されるあまりに突拍子も無い質問。
照れた様子も不思議と無く純粋に気になっているように思える。


「〜♪」

都会の一昔前のヒットソングを口遊んで、
インスタントカメラをあちこちに向けている。

川でたくさん遊んだのに、
身体は疲れ知らずで、するする歩ける。
……この辺りこんなナマコ多かったっけ。

「流石にコレ撮っても仕方がないですよねえ」

まだまだ被写体探しは続く。

今尚唄っている彼を、許しはしない。

【人】 青嵐

>>+10 夕凪

「お、姉ちゃん海いくの?いいな。
あー、まぁ、ちょっと趣味に金かけたくて。
でも俺も卒業ぐらいで今んとこはやめるよ。大学から遠いし。
そんで、聞きたいことって?」

物事を始めるタイミングは人それぞれなのだ。
チョコミントを手に取って、思い出すのは彼女の片割れ。
隣にいない片割れのことは気づいていたけど、
多分散々聞かれてきたんだろうから敢えて聞かずにいた。
一緒に会計済ませてアイスを手渡す。

好っっ……!?!!?


唐突に繰り出された話題に噴き出しかける。
アイス食べる前で良かった。
いや、これ、え?女子が男子に好きなタイプ聞いてくるって
つ、つまり… そ そういうこと!?
そういうこと!??!

期待するぞ!??!男ってバカだから。

「す、好きって、あーえーと。
彼女にしたいとか、そ、そういうこと?」
(39) 2021/08/13(Fri) 16:22:16
 青嵐

「一緒に行こうよ、いっぱい遊ぼ? 時間が無くても強制連行。
 趣味のためにお金稼いでたなんて、結構しっかりしてたんだ」

後ほど車もでるし、徒歩でもいけることを伝えて。
スイカ割りやいろんな事をしようと提案をした。
多分無理にでもつれて行かれる気はするだろう。

やんちゃなまま変わらず大きくなっていたと思っていたのに。
お金も大学のこもしっかり考えている話を聞いて、心の中で子供扱いしていたことを謝罪をした。

それにしても
青嵐は可愛いなあ。

ここにきてからみんなが愛おしくなってばかりだ。

「そうだよ、彼女にしたいタイプ。
 あんまりこういうのは……・夕凪には聞かせたくないことかな?」

【人】 青嵐

>>+12 夕凪

「お、いいの?行く行く。また着替え持ってかなきゃな。
え、そうかぁ?別に貯金とかしてるわけじゃねーし、普通じゃねぇ?」

一気に食べると頭キーンなるから気をつけながら食べる。
シャリシャリとした氷の食感と冷たさが心地よい。
スイカ割りもいいな。こないだ切ってくれてたスイカ食べそびれたんだよな〜。
海といえば他にもビーチフラッグにビーチバレーそれと
女性陣の水着

持ってきてる人が居るのかは不明だが
男子としては女性陣の水着姿を拝める事を祈るしかない。

「あー、いや、そういうわけじゃ…。
えー……、う〜ん……え、笑顔が可愛い子とか…?」

うわやっべ、
絶妙にガチっぽくてキモいか!?

昨日もそれっぽい話はしたが今日もするとは。
しかも女性相手に。
(47) 2021/08/13(Fri) 19:32:04
秘密基地にいるともだちと、内緒話をした。
元気がなさそうだからどうしたの、って。
寂しかったのは、夕凪たちだけじゃなかった事を知った。
なんだか、ここのみんながもっともっと好きになった気がする。

頭打ったのかと心配されてしまった。

「……頭を? わかんないや。
 痛いところはないから気にしないで」

一瞬、視界が揺らいだような気がした。すぐに戻った。


「無茶はしないでね。
 みんな
や夕凪
にとってこの夏が楽しいものにしようね」

夕凪は、この田舎の夏を楽しんでいる。
何もおかしくない、おかしくない、そうだ、なにもおかしいところなんてない。

「傍で撮ってよ、車の準備をしたら呼ぶからね。一緒に行こう?」

みんなもたくさん誘って、と、海で遊ぶ約束をした。
海に行くまでのちょっと、二人だけの時間だった。

 青嵐

「笑顔が可愛い子? やっぱり笑っていてほしいものかあ。
 そっか、青嵐はそうだったんだ」

一つ、また知りたいことが知れた。

聞こえない声を気にしないようにして。


あの子が知りたがってたんだ。

誰かのために、なんでだっけ。


「でもちゃんと好きな子にはアピールしないと青嵐ほどの格好いい子でも逃げられちゃうからね、気をつけなよ?」

複雑そうな表情をしていたのは答えが不快だったからではない。
文句がない答えで、青嵐らしいと思ってしまったからだ。
なんだか嬉しそうな、それでいて寂しそうなそんな表情を浮かべた後。
コロリと明るい笑顔に戻れば買って貰ったアイスを大事そうに抱える、一歩下がりあなた背を向け振り返った。

「それじゃあ、引き留めてごめんね。また後で!
 アイス美味しく食べるからねっ」

 海に着いて紙を広げて描くのは宵闇と清和と御山洗の姿。
 目の前にいないのに正確にはっきりと描いているのは。
 あなた達を夢の中で見たから。きっとそうだ。

「〜♫ やっぱり海はいいな。
 ずっとこれなかったから、筆がとても乗る」

鉛筆でとんとんと、紙面たたいて。
あっという間に描けたあなた達を破って、風で飛ばされるのも気にせず適当な場所に置いてけぼりにする。荷物の下に置いたから迷子にはならないと思う。

「―――、宵兄さんはそう、ね、画になるって感じ。
 編笠 くんは今度は服のまま飛び込むのはやめておきなよ?」

「そう?
 じゃあ今はそんなにテンションがあがってないって意味?
 こんなに美人がそばにいるのになー」

わざとらしく笑いながら、サンダルで砂を蹴って。
はねるようにそばに近寄れば、編笠の腕をつかんだ。

「ほら、ナマコでも魚でも、わかめでもつかみにいこう?
 陸に見える黒いわかめさんは腰が痛いみたいだから」

「調子、……? そんなことより。
 夜凪の穴埋め、できるならやってほしくって。
 触ったり捕まえるのも夕凪たちも得意じゃないよ、大丈夫なだけ!」

どことなく挑戦的に、愉快そうに目を細めてその手を引いた。
そうは言いつつ。
実際は押し付けたりもせずに水辺を歩いて見つけたものを掴んでみせて、驚かれたらリリースをしながら手を振ってさようならするだけであった。


「わあ、宵兄さんは相変わらずロマンチック。
 夕凪も誰かに呼ばれてきっと来たんだと思ってるよ。
 本当? もう聞かせてくれるの!
 いつも兄さん人気者だから今しかチャンスはないかも、聞かせてほしいなあ」

御山洗に手を振っていた。ナマコいりますか?

 御山洗

「ナマコですよー、御山兄さん」

川の時よりも幾分かご機嫌そうな夕凪は、彼らにバイバイと告げながら海の生物たちを逃していく。

「そーですね、ここの海はきれいで本当に楽しいな。
 都会の方はは生き物なんて全然いないし、夕凪が描く空も灰色ばかり。
 ここは、空も海も青くてみんなの表情がわかりやすくて……ずっとここにいたいなって思うぐらいです」

宵闇の曲 に耳を傾けた。

砂浜を歩いている。首にかけているのはインスタントカメラだ。

涼風

「あ!薫兄!どうしたんですか、
 なんか変なとこでも……ああ」

胸元に下げているものへの視線が、
何を疑問に思ったかを教えてくれた。

「これ、晶兄とお揃いのやつで、
 田舎の思い出も詰まってるし、折角だから持ってこようと思って。

 ああ勿論デジタルカメラの方も、写真も持ってきてるから大丈夫ですよ。こっちは防水じゃないので、波のあるとこには持ってけませんしね」

緩く掲げれば、
『晶』と文字が記されているのが見える。
利便性よりも田舎の思い出が勝っているのは、何か心変わりがあったのか。

【人】 青嵐

>>+14 夕凪

「正直あんま考えたことないからアレだけど…。
まぁ好きとかじゃなくてもさ、笑ってくれてたらうれしーもんじゃん?」

マジで言えば好きになった子がタイプ。これに尽きる。
もしかしたら全然笑わない子も好きになるかも知れない。
アキラとかずっと友達だけど表情筋死んでるしなぁ…。
まぁアイツはアイツで表情はあるっちゃあるか。

「え、俺格好良い?
お、おう……そっか…。サンキュー…?
美人からのアドバイスは身に染みるわ」

くるりと背を向けて歩く彼女に向けて
「またな」と手を振った。
その背をぼんやりと見送ってから自分も海に行く支度の為に一度家に戻ることにした。

「俺って格好良いのか………」
(83) 2021/08/14(Sat) 2:24:18

【人】 青嵐

家に戻って適当なリュックに着替えを詰める。
暑い日はやっぱ水被んなきゃやってられねーなー
スイカ割りはもう始まってるんだろうか。
ビーチバレー用のボールとか持ってたっけな。
誰かが持ってくるか?等と考えながら身支度を整えた所でふと顔をあげる。

「………?」

呼ばれたような気がした。

周囲を見回して、一人であることを確認する。
気のせいかとリュックを背負って家を出ようとして、

「……っ、いて…」

ズキリと、頭が痛んだ。
何かが欠けてる様な、そんな気分。

「…アイス食いすぎた?」

言い知れぬ違和感は首を降って忘れる。
今日を謳歌するために、彼は海へと足を運ぶのだ。
(85) 2021/08/14(Sat) 2:37:54
 御山洗

「お兄さんは、今どこで暮らしているんでしたっけ?
 夜凪は大学を卒業してから、家を出るか悩んでいるところで」

自分で言った言葉に違和感を感じて首を傾げました。
不思議と家を出ていこうとする理由が明るい気持ちだと思えなかったから。
だけどなぜ実家から離れようとするのか思い出せなくなってしまっていて、その違和感にも気づくことができませんでした。

「……ここで暮らせたら本当に自由、なのかな?」

同じように集落に視線を向けた、美しい山はだに陽が照らされて村の色彩を引き立たせてくれる。
樫の香りと潮風とが混ざってそんな景色が陽炎のように揺らいで見えた。

  宵闇

「…あ……・」

一本一本の糸から走った音が海の香りを夏を導いて奏でられていく。
不思議と涙がこぼれ落ちそうになって思わず拍手を遅らせてしまいました。

「ありがとう、ございます。
 素敵な曲でした、宵お兄さんのような……なんていえばいいのでしょうか。
 綺麗で、少し寂しくて、切ないのに、また聞きたいと思えるような曲でした。
 優しい歌だったわ……?」


小さな声が紡がれて、暫くの間言葉を発せずにいたが、やっと思い出したように笑みを浮かべる。

「―――いい歌だった、お兄さん。
 中毒性があるっていうのかな、どんな風に曲を作っているんだろう。
 やっぱり誰かを思い浮かべたり、何かを考えているんですよね?」