人狼物語 三日月国


180 【R15RP村】月影のさやけさ、 秘めたる願い

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【人】 帰宅部 津崎絵音



[ すぐに返信を書き、起き上がりベンチから歩き出す。

  どうやら授業に出ていないようだが、
  今日が与えられた猶予の最後の日であることと
  オレが夜から昼まで返事もしなかったのを思えば無理もない。

  再びの狡さを見せ、秋獅フ生を求めた。
  だが、生きる以上は何も縛ることは出来ない。>>83

  願いも、これからのことも。
  これからどうなろうと選ぶのは彼女だ。
 ]
(92) 2022/10/21(Fri) 23:27:45

【人】 帰宅部 津崎絵音



[ オレは秋獅ニ千葉が言葉を交わしたなどとは知らない。
  ましてや向かう先に、二人で居たなどとは。>>81
 
  けれどもし、中庭への道すがらすれ違うことでもあれば
  笑って右手を振っただろう。

  千葉は手に問題がありピアノが弾けなかったとしか知らないが、
  こうして帰ってきて明るく表情を向けることで
  全て上手くいったと分かる筈だ。

  言葉を交わすのは今ではない。
  帰るまででも、明日でも、これから沢山時間がある。 ]
(93) 2022/10/21(Fri) 23:27:58

【人】 帰宅部 津崎絵音


── 中庭 ──



……えー、っと
         ……ただいま?

[ 秋獅フ姿を見つけ駆け寄り、
  それからふと少し目を逸らして苦笑いする。

  今は普段と随分違う格好なのを思い出したりとか>>3:78
  未だ、彼女が殺されまいとした「絵音くん」が
  過去の少年のことだけなのだと思っていたりとか。


  メッセージではあまり感じなかったけれど、
  死に損ないとして戻って来るのは何だか
  恥ずかしいような気まずいような心地だ。 ]
(94) 2022/10/21(Fri) 23:28:12

【人】 帰宅部 津崎絵音


 
もうさ、色んなことがありすぎてどこから話せばって感じなんだけど

[ 彼女が今もベンチに座っているのなら隣に、
  立っていれば座ろうと促してから同じく。

  秋風に流されていく雲を、高く澄む空を見上げる。>>3:464
  何も普段と代わり映えのしない風景。
  存在しているから見れるもの。 ]

とりあえず一番に言おうと思っていたことは
……ありがとう

秋獅ェ連絡してくれなかったら、
オレは最初の願いを頑なに捨てなかったかもしれない

[ オレに働きかけたのは秋獅セけではない、それは事実。
  ただ全ての切っ掛けは彼女であり、
  あのメッセージが無ければ天ヶ瀬の言葉にも心動かず
  千葉に連絡することも無かっただろう。 ]
(95) 2022/10/21(Fri) 23:28:28

【人】 帰宅部 津崎絵音


ピアノ、辞めたのは知ってるだろ?母さんのピアノ教室のことも

どっちもオレが交通事故に遭ったのが原因、でも問題はそこじゃなくて
右手が、普通に生活は少しもたつくだけで出来るけど
ピアノなんてとても弾けない状態になってたこと

神様に願ったのは、それを治してもらった

[ 右手を意味もなく握っては閉じる。
  未だ本人も慣れてはいない。 ]

……オレにはピアノしかなくて、ずっと辛かったんだ
何の意味もない存在になって、皆に哀れまれている気がしてた

だから早く消えて、全ての関わった人間に忘れられたかった

[ これが願いの理由。少し声のトーンが下がる。

  視線を隣の秋獅ノ向ける。彼女はどんな表情をしていたか。]
(96) 2022/10/21(Fri) 23:28:52

【人】 帰宅部 津崎絵音


ごめんなあの時まともに話そうともしなくて
どうしても、知られるのが怖かったんだ
誰といてもある意味では、独りだったのかもな

だから、願いを変えても最初は
世界の代わりに自分が辛いことを忘れようとした

[ 恐らく、秋獅ニの思い出も穴だらけにはなると思っていた。
  何より戻って来る自分は秋獅ェ思う自分ではないと感じていた。

  それでも独りでは抱えられなくて、選ぼうとしていた。
  千葉に助けられ訪れなかった未来の形。 ]

でも今思うとそうしなくてよかったと思う

秋獅ニ話すことを諦めたオレにまた呼び掛けてくれて
……生きてもいいって、言ってくれて

本当、ありがとうな

[ 再度の礼を告げ、口を閉じる。
  自分が語り手となるのはとりあえず、ここまで。

  この話を聞いた上での言葉も受止めるが、
  秋試ゥ身がどうしていきたいのかを
  聞かせてもらいに来たから此処にいる。* ]
(97) 2022/10/21(Fri) 23:29:40

【人】 帰宅部 津崎絵音



え、ああ……

[ 最初に二人が交わしたのは挨拶と苦笑。>>187

  道中確認したメッセージは、
  シンプルかつ悪いものでは無かったから
  酷く心配させられるような姿で迎えられるとは思ってなかったが
  思いも寄らない一言としおらしく変わる表情に少し戸惑った。

  もしかすれば自分の認識は間違っていたのだろうか?

  過ぎるものはあれど、今はお互い知らないものが多く
  少し気遣うように様子を見ても、
  秋獅ェそのまま涙を流し始めることは無かったので
  考えるよりまず自分から話を始めることにした。 ]
(240) 2022/10/22(Sat) 23:11:14

【人】 帰宅部 津崎絵音



[ 千葉が内に溜め込んだ全てを吐き出させてくれ、
  更にそれを受け止めてくれたことで
  変わった己について自ら打ち明けようとしても
  精神に乱れは無く、落ち着いている。

  最も耐え難くその為に消滅を願った程のことを
  求めてきた妹分に、抱く負の感情は元より無く
  比較し情けないと謂わされた劣等感も今は存在しない。

  戸惑いというよりは、予想外なものを聞いた風だが
  先程とは立場が変わったように秋獅ェあげる声。>>188

  当然のことだと言うように、ただ笑いかけた。
  彼女も何も言わなかったから話はそのまま続く、
  より深いところへと話題は移っていく。 ]
(241) 2022/10/22(Sat) 23:11:26

【人】 帰宅部 津崎絵音



[ ピアノ教室については真相を打ち明けども、
  家庭環境のことはこの時もまた語らなかった。>>189

  母に関してはもしかしたらあまり良くは思ってないのでは、と
  夏実への思いや教室の辞め方から考えているが
  それでも、長い間秋獅教えてきた先生で「絵音くん」の母
  あの人の現状は少なくとも今話すことではない。

  己に似ていて、未だ悩みの中にいる少女に
  此処にいない人間について余計な心の負担は与えたくなかった。

  話を聞く反応は落ち着いていて、
  あの時の自分のような余計なことも言わない秋氏B
  ただ、その表情は複雑に数多の感情の色を湛える。>>190

  かつてならそこから自己を傷つける要素だけを拾っただろう。
  今はただ、こちらとは違う思慮深さと
  彼女が抱えた苦しみの表出を感じるのみ。

  原因となるものを大きく違えてはいたが、
  姉との比較に苦しんだ彼女にとって
  他者の視線を気にする言葉に思うことがあったのではないか。

  それだけではないのかも、とは
  迎えられた時の一言が思わせたこと。 
(242) 2022/10/22(Sat) 23:11:38

【人】 帰宅部 津崎絵音



[ そんな想像より多くのことを
  元ただの話し相手、現友人との関わりにより
  秋獅ノ理解されてるとは知らず、推察の余地も無い。

  ただ、最初に礼を告げた時とは違う
  静かに告げた言葉の全てを受け入れるような反応に。>>191

  オレと呼べるのか分からないオレへと変わり果ててしまわなくて、
  本当に良かったなと感じていた。

  そうなれたのはやはり、秋獅フお陰だった。>>192
  彼女自身もそれを自覚してくれたのなら、嬉しい。]


……うん

秋獅フお陰で踏み出せて、
背中を押してくれる奴や助けてくれる奴もいて、
でも、最後にはオレが決めたんだ

[ 顔を合わせた最初に抱いた可能性が、確信に変わる。>>193
  だけどもう、戸惑うことも自己否定もしなかった。

  秋獅ェそうしてくれたように、向けられた言葉を受け入れて。
  自分なりに「苦しくても未来に生きる」覚悟を告げた。 ]
(243) 2022/10/22(Sat) 23:11:52

【人】 帰宅部 津崎絵音


[ そして、語り手と聞き手は入れ替わる。

  何かを躊躇うような、
  未だ整理出来てないことを口にしようとしているような
  そんな始まりから、秋獅フ話は始まった。>>194

  隣に座りながら彼女のほうを向いている表情が、
  最初少し驚きを見せ、瞬きを早めた。

  あの時の身勝手な祈りは全てを跳ね除けられたわけではなく
  少なくとも、思考は与えていたらしい。
  勝手に悪く考え、関わることを諦めていたなんて
  やはり少し情けなさを今も覚える。

  だけど驚きはすぐに失せ、憂いは表には出さなかった。 ]
(244) 2022/10/22(Sat) 23:12:04

【人】 帰宅部 津崎絵音


[ 自分のことばかりではなく、>>194
  沢山の惜しいものを抱え、>>195

  ──「絵音くん」の為だけではなく
  生きていたいと自ら口にした、白瀬秋獅ヘ>>196

  それが己にとって望ましい決断だからではなく、
  純粋に人間として、尊ぶべき存在に思えて。 ]

……秋

[ 思わず彼女を呼んだ声に顔に、喜色が滲む。
  しかし今はあくまで語り手に努め、
  続いた内容には真面目な表情に戻り頷いた。>>197

  そう、彼女は未だ迷っているし
  自分がかつて向けた祈りは
  遺言のようなものの為に、漠然としている。

  沢山やることが見えているか、そうではないか
  違いはあれどお互い生きると決めた未来の前に
  幾つも苦難は待っていた。 ]
(245) 2022/10/22(Sat) 23:12:15

【人】 帰宅部 津崎絵音


……ん?

    なに、言ってみて

[ 何を返せばいいのか自分でも悩んでいた時
  そこで名前が出るとは思わなかった。>>198

  不思議そうにしつつも、
  落ち着かせるように優しく返して言葉を待つ。
  過去の自分と生きる道を選んだからだろうか?
  今は秋資且閧ノは、自然とそうなるようだ。
  ]
(246) 2022/10/22(Sat) 23:12:25

【人】 帰宅部 津崎絵音



へ、……

[ それは多分兄らしい振る舞いだったのだが
  思わぬ言葉が更に出てきて、間抜けな声を漏らした。>>199

  ああ、うん。そうだね分かってるとも。>>200
  昔ならともかく、今のオレを好く女子とかいねーわ。

  それでもこっちからすれば驚きなんだけどな。 ]
(247) 2022/10/22(Sat) 23:12:35

【人】 帰宅部 津崎絵音

[ 自分を追いかけてくる忙しくも可愛らしい足音と
  こちらを見て輝きを強める涼やかな色の瞳が好きだった。

  例え本当の兄妹ではなくとも、
  例え彼女にはより相応しい姉がいても、
  可愛がることを止めないくらいには、
  共に過ごす時間が好きだったし、
  兄貴分であることに特別感を覚えていた。 ]
(248) 2022/10/22(Sat) 23:12:46

【人】 帰宅部 津崎絵音


[ そうか、オレ
  ずっとそんな子を

  避けていたなんて、なんて酷いことをしていたんだろう。 ]
(249) 2022/10/22(Sat) 23:13:02

【人】 帰宅部 津崎絵音

[ もしも、お前がそれでいいなら。>>203 ]
(250) 2022/10/22(Sat) 23:13:11

【人】 帰宅部 津崎絵音


こちらこそ、秋

[ また昔を失った呼び方に>>204少しの寂しさも抱かなかった。
  迷いのない返事は、オレの笑みは
  不安そうな顔を変えられたかな?>>205

  二人の関係は元通りにはならないだろう。
  だけど、それでいい。
  変わってしまった二人の中にはかつての
  「絵音くん」と「秋獅ソゃん」が生きていて、
  離れていた時の自分と混ざり合って、関わっていくんだ。 ]
(251) 2022/10/22(Sat) 23:13:23

【人】 帰宅部 津崎絵音

それで、お前の話を聞いて思ったことなんだけど……

あの時は随分勝手なことを言っちゃったけどさ、
あれはすぐにでも幸せになれってことじゃなくて

心が楽になる場所で、秋獅苦しめない人間と関わって
いつか幸せを掴んでほしいなってこと

[ それでも身勝手ではあったけれど、
  もし重荷に感じていたらと思いまずは意図を伝えた。 ]
(252) 2022/10/22(Sat) 23:13:58

【人】 帰宅部 津崎絵音



オレの場合は簡単に思いつく大きい問題があったけど、
多分さ、特別な願いじゃなくてもいいんだよ

ほんの少し、役立つことや
ちょっと自分が生きやすくなるようなこととかさ

例えば、思ったことを躊躇わずに伝えられるようになるとか、
もっと集中して勉強出来るようになるとか

好きなものを沢山食べたいみたいなのだって、
それで気持ちが前向きになるなら良いと思う

[ 本当は全てが解決する願いを挙げたほうが、
  助けにはなるのかもしれない。

  だけど、千葉とぶつかり合い分かりあった後だと
  願いそのものへの強い依存はオレの中で消えていて。
  あれこれとささやかな可能性を言葉にするに至る。 ]

大切なのは、願った先でオレ達がどう生きていくかだから

[ 彼女の役に立つかは怪しい。
  でも、せめて気負いは無くしてあげられたらと。

  最後の言葉だけは正しかったんじゃないかな。 ]
(253) 2022/10/22(Sat) 23:14:13

【人】 帰宅部 津崎絵音



今のオレは馬鹿だし、教師にも目をつけられてるし
これから友達と一緒に卒業する為に人一倍頑張らないといけないけど

そんな奴でも良いならいつでも連絡していいんだぞ、後輩

[ 手を差し出した意味は伝わるだろうか。
  今度はあの時と違う立場で、秋獅ゥら重ねてくれたのなら

  女子の華奢な手を痛めない程度に強く握って
  これからをオレ達の形で共に生きたい意思を示すつもり。* ]
(254) 2022/10/22(Sat) 23:14:30

【人】 帰宅部 津崎絵音

── Last day夜/
津崎邸防音室
 ──



[ 家の中でもより重厚かつ特殊な作りの扉を開き、
  既に部屋着に着替えた姿で足を踏み入れた。

  鎮座するグランドピアノと目前の椅子は、
  記憶のまま久しい再会を静かに受け入れる。

  今の背丈に合うように調整してから腰を下ろし、
  鍵盤蓋を開き、少しの間思いに耽った。

  退院後ここで何があったか、
  幾度大人達に虚しい励ましと共に無理を強いられたか。

  ……やはり未だ抵抗と怯えが存在するのは否めない。
  心的外傷はこれから、千葉や秋獅竭シの誰かに頼るのではなく
  自分の意思を持って治していくべきことだろう。 ]
(304) 2022/10/23(Sun) 2:22:31

【人】 帰宅部 津崎絵音



[ 長居する気はなかった。
  ただ、これからの為に一度だけでも向き合っておきたいだけ。

  震える右手が、その人差し指が白鍵の一つへゆっくりと伸びて
  ────たった一音を鳴らす。 ]
(305) 2022/10/23(Sun) 2:22:51

【人】 帰宅部 津崎絵音


え……

[ そして、目を見開いた。

  静けさに包まれる部屋の中、響くのは


  鳴らした者の緊張など意に介さぬような軽やかな響き。 ]
(306) 2022/10/23(Sun) 2:23:02

【人】 帰宅部 津崎絵音




[ ギターのチューニングとは話が違う。

  インターネットでやり方は調べられるものの、
  内部に影響するピアノ調律は気軽にしていいものではない。
  その他に調弦、調整、人間の身体のように繊細でケアが沢山必要。

  プロこそ素人のように軽率な真似をせず、
  自身の拘りに相応しい音が出るよう調律師に頼む。
  少なくとも、オレはそのように教えられた。

  二年だ。二年も触れていない。
  母親だってそんな精神状態ではなかった筈。
  歪むどころか、音が出なくてもおかしくなかった。 ]
(307) 2022/10/23(Sun) 2:23:17

【人】 帰宅部 津崎絵音



[ いや、そもそも何故この部屋はこんなに綺麗に掃除されている?
  父の作曲用の部屋はまた別にあるのだから、
  ずっと誰も使っていなかった筈だろう。

  ピアノが陽に当たらない為の厚手のカーテン、
  気温を楽器に適切に保ち尚且直接当たらない位置のエアコン、
  数多の楽譜が収められた本棚、
  母が教える時よく座っていた隅に置かれた椅子、
  天井の照明にフローリングに、
  廊下から中を伺える大きな室内窓だってそうじゃないか。

  あちらこちらへ視線をやり、気づきを得ていく。 ]
(308) 2022/10/23(Sun) 2:23:31

【人】 帰宅部 津崎絵音



ああ……

[ 疑問は幾多に押し寄せて、
  戸惑いは理解の術を見つけられずに疲弊した頭に渦巻く。

  でも、手を離すことが出来なくなっていた。
  
  指一本が五指へ、両手へと変わっていく。
  拙く外れたリズムが、徐々に整っていく。

  奏でているのはほんの簡単な、
  小学校中学年くらいが発表会で演奏するような曲。
  だけどだからこそ、楽譜無しで今のオレでも奏でられる。 ]
(309) 2022/10/23(Sun) 2:23:44

【人】 帰宅部 津崎絵音



[ 懐かしさが身体に馴染む程に、
  まるでピアノと繋がっているようにクリアになる思考。

  もし変わらずメンテナンスが行われ続けていたのなら
  恐らくあの頃から最低でも二回は調律されている。

  そしてオレが一切気づかなかったことを思うと
  平日、学校にいる時間に行われていたと考えるのが正しい。

  それが出来たのは────
  扉を開き、信じられないものを見た顔で佇む母ではない。 ]

……、 

[ 父親だ。
  父親が妻の慰めになるように調律師を呼び続けていた。

  恐らくそれは空振りに終わっていたのだけれど、
  心を病み気力を失った彼女に
  この部屋を掃除するという行動の必要性だけは
  与えられていたのかもしれない。

  音が失せた部屋の中、危なげな足取りでこちらへ近寄り
  背中から抱きついてきた痩身の感触を受け入れながら
  何も語らずそんな風に思考していた。 ]
(310) 2022/10/23(Sun) 2:23:57

【人】 帰宅部 津崎絵音



さあ、なんでだろう
神様が奇跡を起こしてくれたのかも

[ どうして、どうしてと繰り返す母の涙が背を濡らす。

  損傷した神経と腱の回復なんて一体どう説明したらいいのか。
  真実でありながら暈してるようなことしか言えず、
  天井を仰ぐ息子に彼女はもっと音を聴かせてと求める。 ]

いや、前みたいには弾けないから
今だって、小さな頃の……

[ それでもいいと大きくなった声で割り込まれ、
  それ以上何も言えなくなり、望みを叶えるしか無かった。

  面食らってしまった。
  あの完璧主義者の母がこんなことを言うなんて。

  本当に弱っていて、この出来事に強く心が動いたのだろう。

  やはり大人達にとってオレはピアノが弾けないと
  何の価値も無いのでは、と過ぎる思考。
  いつか改善し正しい家族の形を得られるのか
  ……今は何とも言えない。母のように強く示せる感情が無い。
  ]
(311) 2022/10/23(Sun) 2:24:09

【人】 帰宅部 津崎絵音




ねえ、母さん
オレやっぱりピアニストになりたいんだ

[ 椅子を持ってきて側で聴き入っている母親に
  手を止めないまま、呼びかける。

  ああ、止まっていた涙がまた出てきたようだ。
  病院で目覚めてからこの泣き声を何度聞いたか分からない。
  でも、感動で泣いてる姿はもしかしたら初めてかもしれない。 ]

多分最初はコンクールだって全然結果を残せない
学校もまともに卒業出来るようにしないといけない

それでも、昔の母さんみたいにさ……舞台に立ちたいよ

[ そう思わせた誰かについて、今は語ることはない。

  もしも全てが上手く行けば、
  二人が顔を合わせる未来もあるのかもしれないが。 ]
(312) 2022/10/23(Sun) 2:24:26