人狼物語 三日月国


87 【身内】時数えの田舎村【R18G】

情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


【人】 さよなら 御山洗

>>72 >>73 >>74 宵闇

「……ひどいやつだな、お前は……」

喉の奥からほとんどつっかえて出てこないような涙声が、ようやく震えながら音を成す。
なぜかだなんて。克明に思い出さずに済んだなら、この想いを風化できたからだ。
どうしてかだなんて。そんな気持ちを抱いたところで叶うわけが無いのを理解してるからだ。

目の前の彼が思うよりもずっと不届でみっともない願いを抱えて、
唄うような声もはしゃいでる声もとぼけたような声も、
長い前髪から覗く目もろくに体を作れるものを食べてないような細さも、
全部どうしようもなくこの手に掻き抱いてしまいたくて、そんなのは、お前には向けるべきじゃない。
"友達"だと言うのなら、こんな不自然な気持ちは最初から持つべきじゃなかったからだ。
抑えられないくらい好きな自分が、夢に見るくらいに好きな自分が、
自分では制御できない怪物になったようで、自分から思い出を守れないのが、恐ろしかったからだ。

宵闇の思いと御山洗の想いは全く違っていて、それはどちらも両立することは出来ない。

「俺は……」

首を横に振る。同じ思いを、抱けなかった。
ここにいたら、綺麗なまま額に入れてとっておきたかった大事なことを壊してしまう。
此処には居られない。いてはいけない。思い出に触れないまま、しまっておきたいと願う。
帰ってよかったと思う気持ちより、帰ってこなければよかったと後悔する愚か者は、
永劫の花園にはいられない――帰りたくないなどと、思えない。
このままでいることにも、ここままでいられないことにも、何もかも耐えられなかった。

(76) 2021/08/16(Mon) 20:14:32

【人】 さよなら 御山洗

>>72 >>73 >>74 宵闇

遠ざかる足音を聞いている。
そのうちに、力が抜けてずるずると落ちていくように壁に背を凭れて崩れ落ちた。
声を抑える。息を止める。言うことを聞いてくれない瞼を指で押さえて。
出ていく宵闇に、すすり泣く声が聴こえていないようにと、蹲って祈った。
蝉の声が遠く遠くに聴こえる。
(77) 2021/08/16(Mon) 20:14:40
 編笠

「うん、探してた。どう? 浴衣似合っているかな。
 みんなに褒めてもらったから聞かなくても返事はわかってるけれど」

話しかけてくれたのは、暗い顔をした魚を見つけてくれたのはあなただったのに。
今の印象はなんだか黙ってばっかりの人だ。
本当にその口が開くのはいつなのか。
いつまでも待てる気分なのは確かだけれど。

「編笠くん、ここに来て、ここで話してくれたこと。
 ――何処まで本気にしていい?

 夕凪は、夜凪が居ないとすぐに落ち込む寂しがり屋さんで。
 夜凪は、夕凪のことになるとすぐに考え過ぎるお節介屋。

 まだ、夕凪たちのことが好きで。さ。
 代わりになってくれるっていってくれるかな。
 ううん、代わりとかじゃなくって。
 居て欲しいなって頼んだら、隣に来てくれる?」

「…誰も置いてきゃしないって。な。」

不安がるアカネにぽんぽんと頭に軽く手を置く。
こういうの、ガラじゃないって?
うっせー、ほっとけ(笑)

「…卯波には昨日言ったけどさ、今生の別れじゃないんだし
望めば会えるよ、俺は。まぁ受験やら大学で忙しくなるし、
アキラに至ってはどうなるかわからんけど…。」

でも、と続ける。

「俺は何処にも行かないし、俺たちはずっと友達だ。
8年くらいしか村には居なかったけど、
今の俺を作ってるのはその8年間だし
その中でお前たちと会えて良かったって思ってるよ。
…ありがとな。」

最後の花火が咲いて散る。
きっと俺はこの花火を忘れないのだろう。
例え、これが泡沫の夢だとしても。

あ、たまやーっていうの忘れた。

「ふふふ、みんながついてきてくれたら、
 置いてくこともないですかね〜?」

なんて、意地悪なことも言ってみたり。

「みんなが忙しかったら俺が会いに行きます。
 幸い、漸く進路が決まったところで、
 全然時間がありますからね。

 俺もみんなと会えてよかった。
 この田舎で生まれて本当に、よかった」

自分らしくあれるのは、
この田舎の人たちの前だから。
性別とか、そういうしがらみから離れられる。

最後に咲いた花火も、四角形のなかに切り取った。

盆の暮れに、盆踊りをする。

御山洗は、恐れていた。怯えていた。今は、後悔ばかりが焼き付いている。
(a33) 2021/08/16(Mon) 20:56:40

田舎を楽しむための行事が、田舎を終わらせることに繋がることに気付いている。

それでも、この田舎のことを愛していた。それだけだ。


  編笠

「そっか、……わかった。
 じゃあ、――いまは夕凪と編笠の夢で、一夏の思い出

 難しいことを考えないで」

あなたの思い出と、夢と、夕凪が重なる。
ゆっくりとその頬に手を触れて、優しく撫でた。

「答えられなかったのは、どうしてかなって考えていた。
 はじまりすら与えられなかったのはなんでかなって考えた。
 それは、――なにも物語が紡がれていないから。
 君も夕凪も、黙ったまんまだ――……ねえ、一つだけお願い」