人狼物語 三日月国

167 【R18G】海辺のフチラータ【身内】


【魂】 家族愛 サルヴァトーレ

「……ん」

相手も視界は不明瞭なはず。多少盗み見たってバレはしないだろう。ずぼらさからか余裕からかそう考えて様子を伺う。こちらの意図は伝わったようで、やはり例の追跡者は付かず離れずの位置を保ってくる。

「いい子だ」

呟いて僅か口角が上がる。
警戒はしている。愉快な状況ではない。楽しむことではないし、さて埠頭についたらどうするか、何が目的か、生かすか殺すか、その判断基準は、その後は……考えることはたくさんある。
それでも、単純に。

「素直さは美徳だね……」

こちらの考えを汲み、不要に刺激せず追随する姿勢はある種従順にも見える。その態度が好ましかったらしい。

ただ、埠頭に向かうのは人目を盗んで逢瀬するためではない。いつまでも緩んだ口元ではいられないだろう。
向かうのは浮かれたカップルが目当てにするよりも更に奥の場所。倉庫やらが並んで殺風景な、ロマンチックさの欠片もないあの区域。明るいうちからしけこむには無骨だが、それ以上に刺激的なことをするには最適だ。

やがて潮の香りが空気に混じるのを、先に感じたのは君かもしれない。
(_6) 2022/08/13(Sat) 3:14:00