人狼物語 三日月国

203 三月うさぎの不思議なテーブル


【墓】 客 タカノ

[ 好きなことをして過ごしていた人生の中、
 欠けていたものの存在に、気づいた。

 これをして、あれをして、あれを買って。
 望まれるままに、していたと思う。

 それなりに相手のことだって、好きだった筈なのに。

 言えないこと、――例えばあの日の気持ちだとか
 見せたくないもの、――例えば火傷の痕残る体とか

 そういうものを求められる度、辟易していた。
 欲しがられる言葉を言うのは簡単だけど
 
 いつだってそこに熱はないし、指先は冷えてた。

 結局俺はほんとうの意味での特別も、
 好きも、恋も知らなかった。 ]
(+99) 2023/03/10(Fri) 0:03:30