【神】 イングラハムつい本音を口に出してしまった。 その言葉はアンネに届いたかどうか。 もし届いても僕は知らないふりをして 絡められた指先を捕まえるように ぎゅっと握ることにするだろう。 それから歩いて数分。 ある家の前に立ち止まるとアンネの方を向いて。 「ここが僕の家。 今は父が亡くなって、母も入院中だから 僕が一人でここに住んでいるんだ。」 そう、軽く紹介をするだろう。 少し広めの家は一人にはやや寂しいが そもそもこの世界には僕らしかいないね、って 誤魔化すように笑うとアンネを招き入れた。 (G62) 西 2022/02/22(Tue) 1:35:12 |