【置】 白い大蜘蛛 カガリビー??? かつての日/咲夜ー ーーたしか、その日もひな祭りだったと思う。 多くの人々の中で、親と離れ、ひとりぼっちになってしまったのだろう。 小さな女の子が一人、泣いていた。 『どうしたの?』 女の子の背後から、声を掛ける。 口を動かすたび、ぎちぎちと耳障りな音が響いて、カチカチと牙と牙がぶつかる音がする。 ーー女の子は隠り世に迷い込んで、行き交う人ならざる者達の中で、立ち竦んでいた。 女の子は、ここが現世ではないと気付いていないのか、気付いてはいても幼さ故に理解できないのか。 『大丈夫、これは夢だ。 だから、忘れてしまうといい。』 八本の足を互い違いに動かして、ゆっくりと近づく。 そうして、脚を一本、女の子へと差し出した。 (L1) 2022/03/17(Thu) 14:32:48 公開: 2022/03/17(Thu) 14:35:00 |