【鳴】 鬼走もう慣れすぎた躰からは、彼の逸物が抜かれることが淋しくて、出ていく瞬間にきゅっと無意識に締め付けてしまう。 そうしたらなおさら喪失感に苛まれてしまって、彼と繋がっている方が自然になってしまった躰に怖くなってしまった] んぅ……っ なに? [後ろから抱きしめられて噛み跡を舐められてしまっては、くすぐったくて体をよじる。 クリスマスにもらったプレゼントで、つけられた傷を隠せと言われ頭が痛くなる。 ぶつぶつ文句を言おうとすれば、懐柔するかのように抱きしめられて、それで何も言えなくなる自分は彼を甘やかしすぎていると思うが。 いい加減服を着ないと、と服をどうしようかと考えていたら、室内の電話が鳴り出した。 電話に近かった夜長が出て応対しているのを傍らで聞いていれば、食事の事についてだったようで。 その間に室内を見渡し、先ほどと微妙に位置が違う布団と、そして新しい就寝用の二人分の浴衣がきちんと畳んでおかれているのに気づいた。 ―――絶対仲居さんに色々ばれてる……っ気づかれているっ!!と顔を覆って呻いたが後の祭りで。 そういえばお腹が空いたな、とセッティングされている食事に目を奪われていたら、こちらに注意しろとでもいわんばかりの夜長に先ほどから放置されてばかりの胸の粒をいじられて、ひうっと高い声を上げてしまった。 こら!と目で叱ろうとすれば、押し付けられた何か。いや、ナニか。 それの正体に気づき、ぎょっとしてから青ざめる。 え、ちょっと待って、と顔が引きつらせてしまったのは、当たり前だっただろう。 電話機を置いた彼から、温かな料理とマッチが廊下に置いてもらうことを聞き出すと、慌てて替えの浴衣に袖を通し料理を中に運び、旅行のだいご味の二人きりの食事を楽しもうか] (=107) 2021/01/11(Mon) 23:39:33 |