人狼物語 三日月国

45 【R18】雲を泳ぐラッコ


【雲】 サティ家次期当主 シャーリエ

[池の底は苔に覆われていて
立とうとしたら頭まで水に沈んだ。
片方しかない靴よりも、裸足の方が石の凹凸を掴めるか、と
水の底に靴を捨てた。

素足で触れる苔はぬるぬる滑って安定させてくれない。
水面をばしゃばしゃさせてなんとか岩影の水から抜け出せば、
「お嬢様」と聞き慣れた呼び名を叫ばれた>>D59]


 リフルっ !

[そっちを向いた私の目に映ったのは、知らない男の顔だった。
すごい速度で嫌悪感が肌を伝わっていく。
顔なんて見ていなかったけど分かってしまった。
私を捕らえたのと同じむっちりした手。
すぐ後ろで感じた、私を包んでしまう体格。
怒りと好色で目をギラつかせて、にたにた笑う髭の顔。
首に当てられたざらついた皮膚が、あの髭だったに違いない。
嫌悪があふれて喉が開かない。叫ぶこともできなくなってしまう。
その場にへたりこんでしまって、
なにがなんだか分からない涙が、濡れている頬に混じっていった。]
(D68) 2020/10/04(Sun) 22:00:54