人狼物語 三日月国

129 【身内】狂花監獄BarreNwort2【R18G】


【人】 憐憫聖贖 ナフ

>>2 夢幻アルレシャ

君が歩み寄るのを、変わらぬ微笑みで見守っている。
それは約束された心中への足音。

静かに、穏やかに、佇んだまま、ナイフを腹に受ける。
柄までも、埋め込むことは叶うだろう。

「あ゛ッ……」

呻き聲。それは君に力を与えるだろうか。
衝動を。暴力。それは生への欲求への裏返し。


「はっ……ミラージュ……。それだけでいいのかい?」

ナイフ一本。動きに支障はない。深い傷は血を失わせ死に至るであろうが、これだけではまだまだ時間がある。ならば。

「それとも、隠者 ワタシも舞踏会に招待してくれるのかい?」


埋め込まれたナイフを握り、引き抜く。
出血が酷くなるが、構いやしない。……残り時間が丁度良くなるくらいのものだ。

君の幻想が処刑室を塗り替える。

「――アルレシャ。宴は終わった。これは夢幻だ。
なにも、無い。


凍傷を齎すような金属めいた声。君の見せたいものを見続けて来たコレは、初めてその幻想を否定する。
知っている。虚ろとは、コレの最も良く知るもの。


琥珀の雨
炎のドレス
の中、コレは平然と佇み、赤く濡れたナイフを君の腹へと向けた。
(5) 2022/03/05(Sat) 22:36:46