【人】 ローグ ギュルセル[それからも酒場に着くまでの行動について話しているうちに、仲間が筆記具を取り出し、地図を書き始めた。 冒険者なら当たり前のように行うマッピングも、男たちは普段はほぼ行わない。元々が慣れた場所でもあるし、慣れない階層は冒険者から奪い取った地図を使っていた。 が、今は誰かから奪える状態でなく、自分たちで作るしかない。 ──なんで今更、こんな冒険者みたいなことを。 男が何よりも不快だったのが、そのことだった。 直前に会ったのが過去にパーティを組んだことがある相手だったせいもあるだろう。 強者に立ち向かい名誉を得る暮らしを捨て、弱者から搾取する悦楽に浸る──その生活に染まりきったと思っていた。 が、男の中にまだ罪悪感などという高尚なものがあったことに気付いてしまったのだ。>>1:189 苛立ちに任せてフローズン・バナナ・ダイキリを飲み干すと、その甘さが喉に絡みつくように感じて男は嘆息した。 強姦された後でさえ平静を保っていた女の姿を思い出すと>>1:184、男の心中に苛立ちが募る。 彼女もまた己に苛立っているとは知らずに。>>1:188 ──あの女を壊してしまえば、“今”に浸れるはず。 そんな思いが浮かんで、男は牙を研ぐかのように犬歯を舐めた]** (7) Siro_neri 2021/05/04(Tue) 12:22:34 |