人狼物語 三日月国

184 【R-18G】ヴンダーカンマーの狂馨


【人】 警備員 ジュード

[蒐集家は確かに左手には手袋をしていた。
── しかし、右手は”作業”の為に素手のままだった。


その素手のままの手や、暴れる男の粘液が付着したらしい
蒐集家の四肢、胴、そして顔はみるみる内に赤く腫れて、
皮膚にはいくつもの水膨れが浮かびだした。

それはちりちりとした耐え難い痒みを伴うらしく
蒐集家は男を左手で抑えながらも、
時折右手でばりばりと身体を掻く。

だが、体を掻くほどに、その表皮に傷を作る程に
潰れた水疱や引っ掻き傷から毒は血管を巡り、
身体の深く、深くへと侵入する。

やがて内臓まで膨れ上がったらしい蒐集家は
炎症と酸欠に全身を赤黒く腫らして、
ひゅう、ひゅうと、苦しそうに気管を鳴らし始めた。


蒐集家は、何もしなければそう遠くない内に
床へと倒れ伏す事になるだろう。
そしてそうなれば、解放された男は一目散に
女のいる方向とは逆に逃げ去ろうとするのだろう。

その様は、”触れない方が良い”と人に知らしめるには
十分であるだろうか。**]
(8) 2022/11/10(Thu) 1:05:38