【人】 「狂」の神 アネーシャ◆ペノル 返信 まず最初に伝えておきたいことがあるのだけれど、 わたくしはペノルくんに興味がないわ。 嘘、興味しかないわ。 ねぇ、ペノルくんはどちらがお好みかしら? * ペノルくんは真面目ね、だからつまらないわ。 ペノルくんは真面目ね、だからおもしろいわ。 ペノルくんは正直ね、だからつまらないわ。 ペノルくんは正直ね、だからおもしろいわ。 ペノルくんは優しいの、だからつまらないわ。 ペノルくんは優しいの、だからおもしろいわ。 くるくる狂々変わるアネーシャの好悪をすべて受け入れ認めてくれるペノルのことが、アネーシャは好きだし嫌いだった。変わり続ける己を変わらず受け入れるその精神が、在りようが、好きだし嫌いだった。 ペノルはいつだって何かに悩んでいて、そうしてそれを解決しようと奔走していた。 奔走。アネーシャとは縁遠い言葉だ。いつだって大変そうに走り回る彼を、庭園の隅っこで欠伸を噛み殺しながら観察するのが、最早ここ数百年の定番行事となっていた。 定番行事。 定番。アネーシャの大嫌いな言葉だ。 けれどペノルを見ているのは何故だか飽きなくてーーだいたい同じような理由で走り回っているというのに、だーー存外楽しかったしつまらなかった。 すぐに飽きてしまったし時折要らぬちょっかいをかけたりもしていた。神生には刺激も必要だとアネーシャが嘯きながら笑うと、ペノルはおおよそ同じ反応を返した。その予想通りが心地よかったし、やはりつまらなかった。 (11) kikimi 2019/10/05(Sat) 1:45:08 |