【人】 白い大蜘蛛 カガリビ―現世/授与所― そうか。 いや、なに、楽しんでくれるならそれでいい。 せっかくの祭り事を、こうして授与所で眺めてるだけなんて気の毒だ。 そういうのは、僕みたいな年上に任せておけばいい。 [元々、ただのお節介な親切心。 彼女が良いというのなら、それ以上踏み込むことはしなかった。 社務所に向かう彼女の背を見送って、また巡回ルートへと戻っていく。 まだ、そこかしこに道に迷った子供やら、日乃輪様への道を見失った魂やらはいるのだから。 提灯を振りながら、彼らを回収して歩く。] 参りゃんせ 参りゃんせ――… [鼻唄交じりの声を響かせながら、木々の影へと消えていった。*] (12) 2022/03/15(Tue) 19:51:27 |