人狼物語 三日月国

45 【R18】雲を泳ぐラッコ


【人】 Marguerite シャーリエ

[サティと呼ばれる小さな我が国ではレモンが採れる。
寒くなる時期に実を付けるレモンは、
野菜の少なくなる季節に爽やかさを運んでくれるものだ。
みずみずしいレモンを砂糖や蜂蜜に漬けておけば、
一年中涼しい気分になれる。

今デカンタに浮かんでいるのも、
去年採れたレモンのひと切れ。

すっぱいよ、っておしゃべりと一緒に口に含めば
果汁に薄められた蜂蜜が手を汚す。
きっとすっぱさに刺されてしかめ面になるけれど、
綺麗になれるんですって、とおしゃべりの種になってくれる。
疲れたときに聞くんですよって、
教えてくれたのは、お姉さまだったっけ?

楽しいお茶にしましょう、と
彼女を木陰から連れ出そうとして、ふと立ち止まる。
足下の芝生が風で波打っていた]
(14) 2020/09/27(Sun) 5:13:38