【人】 「和」の神 ペノルサティはころころと笑ってから居住まいを正し、神衣の裾をまとめてワタシに向き直ると、「それで、何のご用でしょうか、和の神ペテリノル?」といたずらっぽく首をかしげた。 彼女はいつも、見る者の心を溶かす空気をまとっている。 ここは、サティの宮殿。 淡い色を基調とした繊細で美しい建物のまわりを、色とりどりの花が取り巻いている。 「ねえ、サティ。ワタシたちのうちどちらかは、勝とうね」 ワタシは、サティに近づいて目を合わせ、そう言った。 「『帝』神が築き上げたすばらしい世界。 バトンを受け取るのは、とても大変なことだと思うけれど それでもワタシは、次の世界を、絆にあふれるものにしたい。 義は素晴らしいものだけれども、人を縛ってしまわないかな。 狂は世界を創世の混沌にもどしてしまわないかな。 ワタシが勝っていいと思えるのは、 アナタかワタシなんだ。 だから、お互い頑張ろうね、って、言いに来たよ」 鼓舞するでもない、共闘を持ちかけるでもない。 ワタシはただ、これだけは言っておきたかった。 例え次の主神がワタシではなくても、サティならば安心できるのだ。 [*] (20) TSO 2019/10/04(Fri) 18:00:50 |