【人】 巡査長 清和>>17 添木 「わかってるさ。少しからかってみただけだ。 ずっとこんな調子だとむず痒くてたまらないだろ、お互いに。 そうだよなあ、キャリアとノンキャリアで最初からこんなに階級差があるなんて、世知辛いもんだよな」 軽い口調でぼやいた。本気で嘆いているわけでもないようだが、 現場で働いている警察官にも、もっと昇進の機会などがあればと思っているのは本当だ。 しかし、向こうがどのようなことをやっているかなんて小耳に挟むくらいしかできない。向こうには向こうで苦労があるのだろう。 「ふふ、"僕"は、か……」 似合わないな、なんておかしそうに笑う。 ずっと聞いていたのは、"俺"だったから、違和感がそうさせる。 ひょっとしたら、昔にもそんな風に自分のことを呼ぶあなたを見たことがあるのかもしれないけど。 (26) 2021/08/11(Wed) 3:34:00 |