人狼物語 三日月国

258 【身内】冬融けて、春浅し


【人】 葛切 幸春


[恋人。>>24
その単語を噛み締めるように反芻する。]


 ───それは解る。


[好いた相手の前では格好良く在りたい。深く理解出来るだけに、同じ気持ちを自身へと返して貰える幸甚は未だに夢ではないかとさえ。
言い含めるような声すら甘い彼の、その横顔を再度覗き見る。顔貌も心の内も、運転一つとっても穏やかで良い男だ。
だからこそ、注がれる愛情を手放しに喜んでいるだけでは居られない。

言葉を飲み込んだ一寸の間。それさえ慮られているとは流石に知らぬ儘>>23、目線を上げた。]


 ……、あんたからの愛なら誉だな。
 冬莉こそ、俺の愛を頑張って受け止めてくれ。


[軽口に似た応酬は、人気のない限りは車を降りた後も続けただろう。だからエレベーターに乗る時にも、前回の時のような緊張感は無かった訳だが。]
(27) toi3 2024/04/28(Sun) 1:38:51