【人】 二年生 鳳 凛…… [家族を粗末にするような相手は止めて欲しいという柊一の表情は真剣だった。 決して、思いつきや軽い気持ちで言っているのではないことも、柊一なりにずっと、このことを思い悩んできたのだいうことも、語らずとも十分凛には伝わっていた。 凛はよく、自身の家族のことを理想的だと周りに話していた。>>0:13 お金持ちになることのない、破滅的な家。 貧乏神が好んで取り憑く、お手本のような家。 だから、前世が貧乏神の自身にとって、現状はこの上ない幸せなのだと喜んで見せていた。 けれど凛はこの時、柊一の言葉に改めて気付かされた。 永い時間、“人”を見てきた記憶はあっても、自身が“人”として生きた時間はまだ短いこと。 凛には自身の家庭というものも、その相手も未だ、実感出来ていなかったことを。] (30) 2021/07/23(Fri) 8:23:11 |