人狼物語 三日月国

203 三月うさぎの不思議なテーブル


【人】 客 葉月

[褐色の肌とエキゾチックな顔立ちが素敵な女の子。>>15

彼女とは光栄にも話したことがある。
出自について、彼女が他のお客さん、あるいは同僚の店員と話しているところを小耳に挟んだのだ。
インド系イギリス人。その言葉を聞いて、光の速さでスマホを開いた。

『イギリス料理 美味しい』

出てきた検索ワードをタップして、たくさんある美味しいイギリス料理の情報を集めた。
スコーン、ミートパイ、サンデーロースト──すぐ集まったことに驚かなかったと言えば嘘になる。自分もまた、不文律を間に受けている側の人間だったので>>15

そんな影の努力はおくびにも出さず、ある日おすすめメニューがスコッチエッグだったタイミングを見計らって俺は彼女に声をかけた。

「イギリス料理って美味しいよね。俺昔からすごく好きでさ。
なんかまずいって言われてるけど、俺全然分かんないんだよね。だって美味いじゃん?」

真っ赤な大嘘だったけれど、話すきっかけにはなっただろうか。
……もっとも、この店で出されるイギリス料理はどれでも美味しかったから、嘘から出る真になるまでそう遠くはなかっただろう]
(40) 2023/03/01(Wed) 17:27:31