人狼物語 三日月国

129 【身内】狂花監獄BarreNwort2【R18G】


【人】 衝撃波 ポルクス

「……ッ、ある、れしゃ、」

ギターを背にした出来損ないの機械がひとつ。
心臓を抑えたままに。フラつく足取りのままに。
荒くなる呼吸に身体を震わせ現れる。

――最後くらい華やかにやろうと思ってさ

穏やかな笑みを浮かべていたあの時の音はどんなだったか。

自室で中継を見ていた。だから知っている。
あの部屋には炎も、赤い空も、崩れた瓦礫も、焦げた跡も。

何もなかった全てが夢幻だ


狼の首を討ち獲ろうと舞い踊る
処刑人達
と。
夢を攫うのを代償に赤に沈んだ
鎖の蛇
と。
恐怖に掬われ打ち上げられた
歪な魚
と。
凶器狂気と血溜まりがあるだけだ。


端から周りなど見ていない。目もくれない。
魚に歩み寄る英雄も、銃を構える悪魔も認識しない。
その機械は真っ直ぐに愛しの魚まで駆け抜ける。
死に抗い跳ね続ける身体の傍まで。

この機械は此処に辿り着く前から己へと強化を施している。

身を軽くする振動により駆ける動きは素早く。
筋力を底上げする振動により抑え込む力は強く。

脳に無理やり信号を送り続ける。
己を襲う激しい頭痛など知らん顔だ。
アルレシャの痛みに比べたらこんなもの。
(48) 2022/03/07(Mon) 22:04:29