人狼物語 三日月国

167 【R18G】海辺のフチラータ【身内】


【人】 翠眼 ヴェルデ

>>40 マキアート
そういう場所があるらしいとは知っている。
けれど行ったことはないから、素直に『ない』と肯定を返そうとして。
謝罪がついてきたから、少年は翠の目を瞬いた。

「べつに、お兄さんが謝ることないでしょ」
「お兄さんとおれとじゃ、見るからに全然違うんだしさ。
だから、なにか違ったってそれは、当然のことだよ」

その差を僻むのは見当違いだし、そんな熱量もない。
スニーカーはややくたびれているけれど、少なくとも今は、汚くはない。
少年は、それでよかった。
つやつやの毛並みの猫のぬいぐるみ。きれいな色の鳥のぬいぐるみ。ころんと丸くデフォルメされたねずみのぬいぐるみ。
ここに並ぶようなきれいなものでなくても。

「お兄さんはイヌが一番好きで、飼ってるイヌを大事にしてて、そういうのはすごく、いいことだろ、たぶん」
「おれは何がかわいいとかあんまりわかんないけど、それだって、全部ヒトシイって言い方してもらったら、そう悪くないように聞こえる」
「好みって言ったら、こういうふわふわのやつじゃなくて、ヘビとか好きな人もいるんだろうな」

ぴ、と指差すのは、にょろりと細長いぬいぐるみ。
他のぬいぐるみたちに負けず劣らずのつぶらな瞳に、赤い舌をちろりと出している。
デフォルメの強いかわいらしいつくりだ。
あなたの言う通り、なにかひとつを好きでいることも、そうでないことも、ただそれだけなら自由なのだ。
(62) 2022/08/14(Sun) 0:05:34