人狼物語 三日月国

45 【R18】雲を泳ぐラッコ


【人】 Cucciolo アジダル



 [ なんでもいいが医者には手前でかかれよ、
  そう告げたボスが部屋を出る背中を見た時の顔面は
  幽霊を主張する子供のように不快を示していた。 ]


   ひ、拾った命だからってあんにゃろ……!


 [ 呟いた途端、空間の一部にノイズが走る。
   
……思い出した瞬間、記憶の一部が混ざりこむ。
   抱えた借金を片付けられず逃げ回った父親     
    →を、吊るされて揺れる様を笑った暴漢     
    →を、撃ち殺した背を踏んで一家を見降ろす集団 
    →に、啖呵を切って縋りつく少年……自分    
    →の、首根っこを掴んだ女……ボス       
    →が、踏み割った英雄のフィギュア。      

       稼ぎ手を無くした家の、家族を守るためには
       それしかないように思えていた。

   

  だから万が一にでも彼女の背中に向けないよう、
  射線をずらしなが青年は彼を睨みつける。 ]

  
(65) 2020/10/02(Fri) 6:48:59