― 雷恩 ―
[傍近くに在るだけで、大気を巡り、
彼の言語化されない気配が伝わることがある
>>3表情に、音には出なくとも。
植物同士が交わす信号のように、伝わるものがある。
そのことに覚えていたのは、きっと優越感だ。
自分が理解っていればそれでいい、と。
彼は言葉に重きを置いていないのだろう、とも。
だから、深くを話さなかった。
聞かなかった。
甘え、驕っていた。
もっと早くに、そうしていれば良かった。
彼が己に問うて、手を差し伸べてくれたように。
―――どこかで彼の虞れを、その輪郭を、知っていたのに]