【人】 夜の一族 チャンドラ>>@43 >>@44 シトゥラ いつものベールを畳んで片すと、ダブリエエプロンに袖を通した。 いつでもやる気と意気込んでいると、あなたの手が止まった。 わたしも手を止める。 「……? どこ、って……」 問われた意味が一瞬理解出来なくて、首を傾げた。 けれど直ぐに思い至る。 扉が開く、とあなたは言っていたわね。 「ここを出ていくかどうかというお話ね? そうね……本当は、帰らないといけないのでしょうけど」 わたしは一族の長のひとりむすめ。 帰らないと心配をしている人もいる。確信がある。 「……もう少し、ここに居るつもりよ。 だって、まだここで、学ぶことはたくさんありそうだもの」 次いつ帰れるかなんて分からない。 危機感がないと言われてもおかしくはない。 そんなことは、分かっているけど。 でもここでしか学べないことがたくさんあるというのも、事実のはず。 (76) 2021/10/26(Tue) 23:27:25 |