【人】 住職 チグサ[路傍には若い女性の御遺体が。顔は原型が分からぬほどに腫れあがり、明らかに性暴力の痕があります。 その腕に抱かれた赤子は、母が既に死んでいることに気づかず、乳房に吸い付いておられます。乳が出ないことにいら立っているのか、強く噛みすぎて乳首からは血が滲んでいました。 欲に狂った人々の中に、時折私と同じように呪布を巻いた方がおられます。 彼らは何をお考えなのでしょうか。私にも街並みにも目をくれず、自らの目的に応じて去っていきました。 また、放火もあったのでしょう>>1:62。 島の北側の空は赤く、夜空をも焦がさんと伸びあがっていました。 火の光は迷い風に吹かれては千切れ、扇を広げたかのよう。飛び火も時間の問題でしょうか。 近づいてみれば、きっと火が雨となって降り注いでいることでしょう。 もくもくと立ち上る煙が、雲に加わっていきます。煙たさにむせび泣きながら、火の粉の残る灰が降る中を歩き回りました。] (92) 2022/11/09(Wed) 6:48:53 |