【人】 落星 クロウリー[教会の教えでは神の血と肉とされた日々の糧も、 生きていることを忘れてしまいそうな悪魔の箱庭で与えられては ただただ得体の知れなさを感じるばかり。 その感覚すら大した時間は掛からず忘れていき、 夢中で貪るだけとなった子供の頭に祈りの言葉はもう無かった。 今までの日々を否定する言葉を、唯一の庇護者に教え込まれ いかに人間が操りやすく騙されやすい生き物なのかを知り、 世界の法の外にある術を身に着けていけば、当然だろう。 透明な水が黒く穢されるように 無学な農奴の子供は、容易に悪魔の与える思想に染まっていった。 変わっていく見目を主の寵愛の証であるとし 己の白い肌に恍惚と触れ、感謝して見せたこともある。 名を授かる光栄に悦び忠誠を誓った時には、 跪く動きも手を取り口づける様も かつての少年の面影無く、仕える者のそれとして優雅に。] (93) 2022/05/24(Tue) 2:33:08 |