人狼物語 三日月国

184 【R-18G】ヴンダーカンマーの狂馨


【人】 住職 チグサ

[境内から去る前に、もう一度声をおかけしました。]

 差し出がましいことを申し上げますが──どうかお忘れなきよう。
 この世界のどこにも、既にあなたのお母さまはおられない。
 あなたがお母さまを見つけられるとすれば、ご自身の胸の内だけです。
 あなたが「天に召されず、無念のままに果てた」と思ったなら、そのように。
 あなたが「多くの苦難があったけれど、それも含めて母の人生だった」と思ったなら、そのように。
 お母さまは肉の体から離れられました。
 その姿かたちは、あなたの中で、如何様にも変わっていくでしょう。

 あなたのお母さまを安らかに眠らせられるのは、私ではありません。
 この島でも、国でも、神や御仏でもありません。
 そのようなお力を持つお方は、ただ一人、あなた自身だけ。
 どうか、そのことをお忘れなきよう。

[お弟子さんでもないお方に口出ししても、うるさいばかりでしょう。
 それでもお説教をせずにはいられないのは、和尚の性でしょうか。
 深々と合掌しながら、心の中でだけ、「いつも応援しております」と唱え、お見送りいたしました。]**
(104) 2022/11/06(Sun) 10:17:18