【人】 翠の星 クロウリー[人間という生き物は愚かなままだ 繰り返される争いから学ぼうという姿勢すら見受けられない上に、 正体など分かりきっていることなのに妄言で勝手にそれを覆い隠す。 私がちっぽけな農村の子供であった頃から変わらない。 そんな利用する為の価値しかない生き物に 二十年以上を掛け作り上げたものを崩されたのは非常に苦々しい。 ただ、長らく喧しい人間社会に紛れ込んでいた身には 少数の支持者と共に生活する静かな日々は悪いものではなかった。 緑に囲まれる世界は、遥か遠い記憶を擽った。 その日の朝も、居室の窓を開き 香と薬物の臭気で濁る空気を洗い流していた。 風が吹き抜ければ葉と葉が擦れる音が静かに鳴り、 砌を迎えた郊外の森はどこまでも青々と彩られている。] (121) 2022/05/18(Wed) 21:31:08 |