人狼物語 三日月国

87 【身内】時数えの田舎村【R18G】


【人】 四角形の記憶 卯波

>>91 編笠

「ふふ、だって俺は田舎が大好きでしたから。
 晶兄も勿論帰ってきてくれてると信じてたよ」

笑みを溢して、自分からもちゃぷちゃぷと近づいていく。

「うん、持ってきた?
 ゲーム機なら持ってきましたけど、多分違いますよね。田舎にあったもんじゃないし。
 フィルム一杯なんてそんな、カメラみたいな───あ」

記された自分の名前を、認めて。
忘れるものか、幼い頃にどこからどこまでも連れ回して、今でこそデジタルカメラにとって変わられているものの、ありとあらゆる四角形の思い出を残してくれた大切な、形。

ふと、頭がちくりと、痛んだ。


現実味のないような。思い出せたはずなのに、まだ何かを忘れているような。そんなちょっとしこりの残る感覚。
あの写真達の奥深く。示したものは、何だ。

「──うん、持ってきてる!
 今ここにはないんですけど……それでも、ちゃんと荷物の中に入れてきました。負けじと、沢山の思い出を詰め込んで」

答えの出ない思考に陥る前に、いったん切り上げて。また笑みを深めて、そう返した。
 
(130) 2021/08/12(Thu) 1:32:45