【人】 凍剣士 スピカ[ふと漂う気配、油断の出来る相手ではない事だけはわかる。 話しかけるより先に、刀を抜き放つ。 「寄るな」と言わんばかりに。 見つけたのは、美しい人型の魔物。 男女の区別がつきづらいが、おそらく男性。 何より、最も警戒すべきは異質になったダンジョンに漂う空気を煮詰めたような、異様な気配。 満身創痍の自分が抵抗して、どうにかできるような相手ではないだろう。 それでも、意識の一かけらでもある限り、抵抗を止めることは無い。] ――平時であれば、問答無用で切り伏せたいところだが、今はそれどころじゃない。 [目の前の魔物より、ダンジョンに飲まれてしまったかもしれない友人たちの方が気にかかる。 このダンジョンに潜る際や、直前まで同行していたレヴァティやイル、新しい依頼を受けていたテンガン。 彼らの方が安否の方がよほど重要だ。 だからこそ、ヒュドラを倒した洞窟から逃げ出すことをせずに、ダンジョンに戻ったのだから。] (149) 2021/05/03(Mon) 11:17:03 |