【人】 凍剣士 スピカ―ダンジョン内部― 限界…といえば、そうですね。 [感覚を確かめるように、手を何度か握っては開いて見せる。 一線を踏み越えてしまってから、むしろ体力は滾っている。 頭も冴え、霧の影響もほとんど無いと言っていい。 ――飢餓にも似た、空腹感以外は。] …依頼の達成、でしたね。 ただ、こちらも予想外の事が起こってまして。 正直、俺自身ここから生きて帰れるかわからないし、貴女を帰せるか保証できない状況です。 ――見せ場は用意しますから、そこまでを依頼の完遂。 としてもいいですか? [息を整え、冷静に告げる。 突き放しているように見えるが、そうではない。 彼女には、視聴者から集めた防御魔法がある。 であれば、彼女を獲物として選んでも防がれてしまうかもしれない…。 そんな、落ち着いた思考が出来るほどには回復していた。 当然のように、獲物として彼女を吟味していた事には気付かずに。 覗きこむ彼女に、横目で視線を返す。 返答は、どうであったろう。*] (177) 2021/05/03(Mon) 21:45:59 |