【人】 凍剣士 スピカ―>>@13― ありがとう。 貴女も――… せめて貴女だけでも、ご無事で。 [去り行く彼女を見送って、その背が見えなくなっても、しばらくそうしていた。 ――おもむろ、両手を胸の前で合わせて、心から祈る。 『神様、どうか居るのなら、彼女が無事にこの迷宮から出られるよう導いてください。』 何度も、何度も、身じろぎ一つせず胸の奥で唱えあげて、それからゆっくり解いて、踵を返して歩き出した。 どうか、彼女の行く先が救いのあるものであって欲しい。 だからこそ、彼女と同じ道は歩かない。 歩いてはいけない。 彼女とは反対の道を進み、やがて通路の闇に呑まれた。**] (201) 2021/05/04(Tue) 0:03:33 |