>>268
おや、おや、あら、あら……。
そう言えば、ボクのお話をするって言ってたわね。
……ヒック。

あれはいつだったかしら、ボクはすっかり迷ってしまったの。
裏山をずーっと、ぐるぐる歩いててねぇ。木の間から家の明かりが時々見えていたのに、ちっとも近付いてこないのよ。
そうしたら、大きな男の人が森の中から現れてねぇ。ひとっ言も喋らなかったけど、こっちだと頷いて、そのまま送ってくれて。
それでボクは、無事に帰ることができてねぇ。
次の日になって、人にその話をしたら、そりゃあ山ん神さんじゃないか、って騒ぎになってねぇ。
昔はそんなことがね、沢山あったのよ。