[どうして気付かなかったのだろうか、と思った。]
あ、それ……
[屋台の中で忙しく働く女の子の、
その髪型に、ヘアクリップを見つけて。
>>170私はおそるおそる、あなたに声を掛け。
ねえ、何度目かのお使いで、
私達きっと、もう友達みたいなものだったよね?
お名前なんていうの? って尋ねたら、
あなたは答えてくれたんじゃないかな。
私の名前は、きっと性別の印象を覆すものではなくて。
もし訊かれて答えても、あなたの誤解はそのままで。
だったら、私は「楓ちゃん……?」と、
あなたの名前を呼べたと思う。]