【秘】 貴方の隣に 宵闇 → ただいま 御山洗>>-50 「お、やっと素直になったな」 そう、それでいいんだよ、なんて上から目線。 細身の男は背丈も体格も違うその腕の中にすっぽりと収まって くすくすと機嫌がよさそうに笑う声が耳をくすぐる。 男は、嬉しかったのだ。本当に、嬉しかった。 あの時苦痛を堪えるようだった姿は 怯えるように男を無理やり遠ざける姿は もう見なくてもいいのだと思うと肩の力も抜ける。 そうだ、彼に笑ってほしかったんだ。 この心が少しだけ満たされるような気分になる。 「ああ、待ってるよアキラ」 目を閉じて、広い胸に額を押し付ける。 「そしたらさ、また俺に好きだって言ってくれよ 何度でも聞いてやるし、言ってやるし」 ゆっくりと話しもしたい。この先に想いを馳せる。 ──だから夢が終わるまで、もう少しこのままで。 (-57) 2021/08/21(Sat) 17:03:54 |