聞かなかったことに出来ると思うか?
[小さくてもぜんぶ聞こえた。彼女の気持ち。
>>*246薄々感じていたけれど、彼女は「所有されたい」欲求があるのではないか。
それは独占欲の強い男には垂涎ものの餌なのだけれど。
二人で浸かる足湯は気持ち良かったけれど、その足に今度こそ痕をつけたい衝動が高まるばかりだった。]
この時間なら、もう布団は敷いてあるな。
――帰るぞ。
[行きに比べて下駄の鳴る音が強く響くのは速足の所為。
転ばない様に気を付けながら、元来た道を戻った。
今日行ったその向こうは明日への宿題にして。]