人狼物語 三日月国


87 【身内】時数えの田舎村【R18G】

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視点:


【神】 影法師 宵闇

【4日目 『不発弾』処理】>>4:G39 >>4:G37

何かに呼ばれるように、誘われるように足を運んだ先。
記憶違いでも、夢でもなかったらしい。神社の大樹の近く、清和と百千鳥がなにかを掘り起こすのを見て、男は確信した。

「よう」

浴衣姿だった。祭りに行く予定だったのだろうか。
その服装には似合わないギターを手に持っている。

「もう少し遅れてくるべきだったかなー……」

掘り起こすのは骨が要りそうだったから。見た目通り細身の男は力仕事は得意じゃない。それにあの時一体何を入れたのか、男はおぼろげにしか覚えていなかった……おそらく。一体どんな爆弾が埋まっているのか、恐ろしさ半分、好奇心半分だった。
(G1) DT81 2021/08/17(Tue) 15:51:54

【神】 影法師 宵闇

>>4:G67 鬼走【3日目 夜時空】

「いいんですよ。実際本当に人を愛せたかというと怪しい」

探していた。この何かが足りない気持ちを、満たしてくれる何かを、誰かを。
夢でも見ている「そう見えますか」と笑い交じりに聞き返す。
けれどふいに伏せた目は憂いを湛えていた。

「俺、は。そうだ、ずっとさ……
 ここでの生活……いやこの田舎の風景。
 ──アイツらのことを考えて、曲を書いてたんだ。
 けど、それだけじゃあ"売れなかった"」

都会に出てきた頃は夢を両手いっぱいに抱えていた気がする。
離れてしまっても、どこかで聴いてくれると願って。
そうだ、音楽が、好きだったんだ。
あの日々が、そうさせてくれたんだ。

「メジャーデビューした時の曲なんかさ。
 ただ大衆にウケそうなきれいごとを並べて
 いや、売れることしか考えてなかった……それだけの曲さ」

こんなこと、自分の曲が好きで聴いてくれる人間が聞いたら
石を投げられそうだ。

「最初は嬉しかった。途中からなんだかそれが苦痛に思えてきた」
「俺ってもしかして向いてないのかも」

紫煙と一緒に、軽い調子で弱音を吐いた。
(G2) DT81 2021/08/17(Tue) 17:43:10

【神】 影法師 宵闇

>>G3 百千鳥【4日目 『不発弾』処理】

「はい、やりますやります不発弾処理します」

ギターを置き、これまた服装に似合わない
スコップを面倒そうに手に取った。
渋々作業を始める。だいぶやり辛いが仕方ない。

「あー……こういうのは俺よりもっと体のでかいやつとかに
 やってもらいたいね。その方が効率的だろ──アキラとか」

その名を口にした後、手を止めて小さくああ、そうだと呟き。

「アキラは多分来ないな。
 ……来れないと思う。だから俺達だけでやろうか」

業務連絡のようにさらりと言い放った。
(G4) DT81 2021/08/17(Tue) 20:42:02

【独】 宵闇

──夢の終わりを告げる声が聞こえた。

ここに残ってと呼ぶ声も、誘う声も、
もう聞こえなくなってしまった。

「やっぱり、夢だったんだな」

自分でも驚くくらい覇気のない声が出た。
夜は明ける、夢はいつか終わる。

泡沫のように夜に溶けて消えていって
疲れることなんてなにも考えなくてもよくて
思い出だけを抱いて漂っていたかった
夢を、ずっと見ていたかった。

でも古民家<ピアノ教室>が本当はもう存在しないように
あの頃には、戻れないんだ。とっくに知っていた。

いい、夢だった。子供の頃に戻ったみたいで。

田舎への想いは消えたわけじゃない
男はずっと過去に囚われていたけれど
それは現実から目を背けたいだけだった。

──いい、夢だった。

だけど、それだけで終わらせるには胸中に悲しみが滲んだ。
夢だったけれど、胸に抱いた想いは本物だった。
(-22) DT81 2021/08/18(Wed) 6:05:19

【独】 宵闇

──考えている。
──ずっと、考えていた。

祭囃子の音を遠くに聞きながら
人ごみの中をさ迷うように。なにかを探すように。

「どうして、俺だったんだろうな」

誰に届くこともない問いかけが夜の空気に溶ける。

彼になにか特別なことをしてやれていただろうか。
幼少の時のことをぼんやりと思い返す。
いつも自分勝手に振り回していた記憶ばかりだ。

好きになるなら、ルカのほうだっただろとさえ思う。
(-23) DT81 2021/08/18(Wed) 6:09:03

【独】 宵闇

男は清和を、羨んでいた。
自分には、なんとなく言われてやっていた音楽くらいしかないのに
アイツはあちこち飛び回って、色んなやつに影響与えて
なんでもできて、風みたいだったし、光のようなやつだった。
あいつが光ならば、自分は、影。──いや闇かもしれない。
光にどこまでもついていく影ほど、近くはなかった。

男は清和のようになりたかったのだろうか。
だから意地なんて張って"プロになる"なんて宣言して。
たくさんの人間に影響を与えるような人間になりたかった。

でも、沢山の人間に向かう器用さはない。昔も今も。
挫折さえしそうな今だ。

だからいつも、子供の頃は近くにいてくれた御山洗を引っ張っていた。それでも嫌な顔ひとつしない、御山洗がいることで安心していた。差し出した手を、取ってくれる彼を。

ただの、自己満足だった。
(-24) DT81 2021/08/18(Wed) 6:11:13

【独】 宵闇

ふ、と顔を上げる。

「……なんだ。さわがしいな。
 やっぱりなかなかやるね、小さいほうのアキラくんは」

──編笠の放送を聞いた男は、ひとり呟く。
がむしゃらに駆け回っていた青春時代を思い出して
少し胸の奥に火が灯るような気さえした。

俺もできるだけ手伝うよ、少年。と呟く

元の生活に戻ったら。この夢でのこと
なんならラジオで彼と彼女の盛大なるラブソングでも
青春ソングでも流してもらおうかと、笑う。
曲が書けないだなんて、言ってられないな。
少しはこの村で、年上らしいことをしてやりたい。

「俺も、後悔しないようにしないとな」
(-25) DT81 2021/08/18(Wed) 6:17:16

【秘】 宵闇 → さよなら 御山洗

これはひとり祭りをさ迷った後
三人で埋めた秘密を暴きに行った後
そして、だんだんと夢が綻んでいくどこかの時

男は、一方的に吐き捨てた再会の言葉通り、御山洗を探していた。あの時は夢がこんなにすぐ終わるとは、思っていなかったから。

──彼はまだ、家にいるのだろうか?

そうでなければ、どこにでも探しに行く。
夢が終わる前に、夢が終わるとしても
さよならをするとしても

男がこのままいい夢だったと終わらせるには
寝覚めが悪かったからだ。

話を、したかった。
(-27) DT81 2021/08/19(Thu) 18:54:58

【秘】 宵闇 → さよなら 御山洗

>>-28

男は探し人の姿を認めると、色とりどりの光を背に歩む。
しばらく思い出に照らされるその横顔を立ち止まって見ていた。
話しかける機を伺っているのかもしれない。

一際大きな花が夜空に咲き、男の黒も鮮やかに照らされた。

そして、訪れる少しの静寂。

「よう、アキラ」

いつもの調子で、名を呼ぶ声が響く。
昼間のようにはしゃいだ風ではなく落ち着いた声だ。
(-29) DT81 2021/08/19(Thu) 21:53:46

【秘】 宵闇 → さよなら 御山洗

>>-31

首を傾げた。そんなに驚くことだろうかと言わんばかりに。

「……さあ。どっちだろうな? お前はどっちがいい?」

おどけたように話しながら、からころと下駄を鳴らし
目の前までやってきて、少し困ったように笑う。

「言わなかったっけ"またな"って。話がしたいって
 ……だから来たんだけど。ダメだったかい」

また逃げられてしまうだろうか、それは悲しいな。
目の前までやってきて、手を差し出す。
それが取られようが取られまいが言葉は続く。

「なあ、少し外歩かないか」

閉じこもってばかりでは気が滅入るだろう、と。
もう夢は終わる。この思い出のままの村の姿は
もうなくなってしまう。だから、最後に見ておきたかった。
(-32) DT81 2021/08/20(Fri) 0:41:32

【秘】 宵闇 → さよなら 御山洗

>>-33

「"ばーか。なに泣きべそかいてんだ。
 お前がいつまでたっても来ないからだよ"」


なんてな、子供の頃のような戯言を吐いた。
細いけれどしっかりとした手が、大きな手を引く。
一歩踏み出す、夜に溶けそうな後ろ髪をふわりと翻す。
今や見上げるほど大きな彼を一瞥した。

田舎の夜道を照らすのは、時々上がる花火と
月明かりがほとんどだ。
男は、こうして夜に出歩くのが好きだった。昔も、今も。

「どうして、か。聞きたいのは俺のほうなんだがな。
 お前が抱え込んでたもの……全部この耳で聞きたかった。
 俺は言葉を音楽にして届ける仕事をしてる。
 だから大事さは知ってるつもりだ」

長い前髪が風に乗って、横顔の目元を隠す。
焦がれるほどに誰かを好きな気持ちを抱いたことがない男には
きっと、全部は理解できないのかもしれないけれど。
だからこそ、図々しく聞こうなんて思えるのだろうか。

「……じゃあ先に俺もなんか言うか?
 祭り一人で行けって言われて割とショック受けた」

夢が綻び始めた夜の道
あてもなく歩く先にはなにがあるだろう。
(-34) DT81 2021/08/20(Fri) 11:02:01

【神】 宵闇

>>G11 清和 百千鳥【4日目 『不発弾』処理】

曇った表情の清和に少しばつが悪そうにした。

「……アイツは約束破ったことなかっただろ。
 だから来れないのは、俺のせいだ」

子供の頃も男が振り回したりしたせいで
彼がなにかを守れなかったことが、あったかもしれない。

淡々と話しながら、幾分か真面目に掘り進めて
ついに中身が開けられるときにぼんやり思ったのは
自分がなにを埋めていたのかよりも、御山洗のことだった。

「まずい、10年前の俺なら……エロ本入れてるかも。
 モモチは見ない方がいいかもしれない」

冗談ひとつ、スコップを置き、不発弾の中身を覗く。
カセットテープや、写真、何かを書き残したらしいノート。
男子高校生が埋めるものなんてこんなものという平凡なもの。
当時は面白がってなんでもかんでもいれたのかもしれない。

(G12) DT81 2021/08/20(Fri) 11:21:29

【置】 あの頃の 宵闇

──宵闇 翔『不発弾
<タイムカプセル>
』の主な中身

『一枚の写真』
10年前の三人が自分を中心に写っている。
卯波少年からもらった(宵闇談)ベストショット
背景は宵闇の家の前、今の田舎そのままだ。

『カセットテープ』
当時宵闇が文化祭のバンドでボーカルをやった
──という設定で歌っている流行りのロックな歌。
今聴けなくてよかったかもしれない。

『ノート一冊』
なにやら色々な言葉やらくがきが書きなぐってある。
村の人たちの名前、料理のレシピのようなもの。
いわゆる、混沌と化したポエムノートかもしれない。

『楽譜』
10年前、初めて自分で作詞作曲したもののようだ。

『薄っぺらい紙切れ』
"10年後の清和へ、お前はたぶん今彼女いないに5000円賭ける"

と書いてある。バカ。
(L5) DT81 2021/08/20(Fri) 11:24:14
公開: 2021/08/20(Fri) 11:25:00

【独】 宵闇

「アホ」

自分の不発弾に対する、感想。
(-35) DT81 2021/08/20(Fri) 11:33:13

【秘】 宵闇 → ただいま 御山洗

>>-36

「そうか」

どうしてか遠ざけきれなかった男は、眉を下げて笑う。
見上げた先の涙を見れば、どうしても、あの時の表情が浮かぶ。
苦痛を堪えるように目を伏せる姿──同情だろうか。

過ぎ去ってしまった日のことはもうどうにもできないけれど。

「ごめんな」

お前はひどいやつだ、と言われたのを思い出して自嘲する。
彼の気持ちを知りたかった、手を取って振り回すのではなく
隣で歩いてみたかったのだ。もう、あの頃の自分のままではない。

「お前がそんな想いずっと抱えてたなんて知らなかった」

昔。10年もだろうか。忘れられてもおかしくない長い月。
男はそんなに想われるような価値のある人間だっただろうか。

「俺、いつもお前を振り回してばっかだな。大人になってもさ」

こうして手を引いて歩いていても、伝わらないことだらけだ。
男の手は体温が低くて、すこしひやりとしている。
(-37) DT81 2021/08/20(Fri) 16:23:15

【秘】 宵闇 → ただいま 御山洗

>>-38

沈黙。いつしか頬を撫でる風は潮風になっていた。
──すこし遠くに、しずかな海が見える。

「なあ、」

ふいに見納める視線から逃げるように手が離れて行った。
男は少し先を歩くと、数歩先で振り返る。まっすぐ視線をやる。

「昔からって10年以上も俺のこと好きだったってことだよな。
 やっぱりさ、この夢の終わりに語るには時間が足りないだろ」

「それに、まだ話は終わってない」

「俺は最初からこれを言うつもりでお前に会いに来た」

──そして、楽し気に目を細めた。

「俺さ、驚いた、知らなかった、とは言ったけど
 お前の告白に対する返事をまだ"ちゃんと"してないんだよな。
 ずっと考えてた……これは、本音だから真面目に聞いてくれよ」

「きっともう、ここ
<同じ景色>
には二度と帰ってこれないから」

この場所に未練を残すのは勘弁だ。
せめて、おかしな夢だったと笑い飛ばしたい。

(-39) DT81 2021/08/20(Fri) 19:52:35

【秘】 宵闇 → ただいま 御山洗

「俺は、アキラのことは好きだ──友人としてな。
 お前が手を取ってくれると安心するんだ。
 好きだと言われて、嬉しかったよ」

これはいつもの軽口ではない、嘘偽りのない言葉だ。

「俺とお前の好きが違うことは百も承知で言うが
 だからって……このまま手放したくもない。
 傲慢だと思うかい、俺はいつも満たされない気分で一杯だ」

想いが両立しないときはどうしたらいいなんて、ひとつだ。

「なら俺が、考えを変えよう。変えたい、そう思った」

いつまでも同じ考えに囚われる必要を捨てる。
それに、やっぱりお前が悪いとは少しも思わないからだ。

そう思わせてしまうほど、きっと心に灯がともってしまった。
これで最後なんて、やっぱり寝覚めが悪いんだ。
どう思われようが構わない、きっと、後悔はしないだろう。

思い出は思い出のままだ。壊れはしない。
あの時楽しかった日々のままだ。
誰がどんな気持ちを抱いても、そうだ。

一歩、また一歩と近づく。目の前までやってくる。

御山洗の胸倉をつかんでぐいと引き寄せる、二つの影が重なる。

(-40) DT81 2021/08/20(Fri) 19:59:25

【秘】 貴方の隣に 宵闇 → ただいま 御山洗

「俺はアキラの傍にいたい」
(-41) DT81 2021/08/20(Fri) 20:02:05
宵闇は、御山洗に口づけをした。
(a11) DT81 2021/08/20(Fri) 20:02:26

【秘】 貴方の隣に 宵闇 → ただいま 御山洗


「……どうだ、参ったか?」

顔を離すと、不敵に笑む顔が間近にある。
思い出でも今でもなく"これから"を見つめていきたくなった。

ただ、それだけ。もう、夢は終わるのだから。
(-42) DT81 2021/08/20(Fri) 20:02:54

【秘】 貴方の隣に 宵闇 → ただいま 御山洗

>>-43 >>-44 >>a12 >>-45

涙声でも、確かに聴こえた言葉に笑う。

「──は、じゃあ、俺の勝ちってことで……」

小さく吐くのは、安堵のため息だ。
得意気に湛えた笑みは少し和らいで
その身を目の前の彼に委ねる。

たしかに宵闇は御山洗の腕のなかにいる。

波の音、夜の海がしずかに見守っている。
ここにある想いは、海の泡沫のように消えゆく夢ではなかった。

「もっとちゃんと捕まえとかないと
 勝手にどっか行っちまうけど……?」

そっと大きな背に手をまわす
こちらはしっかりと体温が感じられるくらい。

「目覚めたらちゃんとお前が見つけられる
 ようなとこにいてやるけどさ、」
(-49) DT81 2021/08/21(Sat) 11:33:40

【神】 宵闇

>>G13 >>G14 >>G15
清和 百千鳥【4日目 『不発弾』処理】

「なになに、なんの手紙よ。ラブレター?
 俺ルカちゃんへのラブレター書いたけど見るか?」

にやにやしながら、からかうような口調で言って
おそらく悪戯や軽いノリで入れたであろうしょうもない
一言が書かれた紙切れをひらひらとさせた。

「反面教師は言うねえモモチさん。
 まあ、たしかに俺は家にあったら捨ててそうな
 しょうもないモンばっか入ってたけど。

 ……悪くはなかったよ。」

自分のノートを懐かしむようにぱらぱらとめくる。

「集まったのは偶然ってやつだったけどな
 でも昔の俺は10年後も会えるって信じてたらしい」

楽譜にさりげなく添えられた手紙を見て、思い出す。
過去と決別するというよりも、未来の自分に
振り返ってほしいものが入っていることを。→
(G17) DT81 2021/08/21(Sat) 14:04:48

【神】 宵闇

>>G17
清和 百千鳥【4日目 『不発弾』処理】

「俺に全部やらせると夜も更けるし明けるけどいいかい?」

わざとだ。けれど、しぶしぶ作業はするだろう。
御山洗が埋めたものもなんだこれーとか言いながら見てるけど。

「ああ、そうだ。"次"はちゃんとアキラも
 引っ張ってくるよ、それは俺の役目だしな」
(G18) DT81 2021/08/21(Sat) 14:22:32

【秘】 宵闇 → 公安警察 清和

「なあ、そういやルカ。お前この間最後のぎゃふんの『ん』は
 ──俺が作る、お前への歌と交換だって言ったな」

不発弾の処理が終わった後くらいそろりとやってきて話す。
ここから帰りたくないような
誰かが自身を呼んでいるような、そんな声が聞こえていた頃
けれど、薄々とここが夢だということに気づきはじめていた頃。

「それは"ここから"帰って再会した時ってのはどうだい」

ここで全て済ませてしまうことはできる。
その材料が揃っているからだ。

「全部田舎で済ませちまうのも、なんか勿体ないだろ
 ──まあ、先に聴いておきたいってんならいいけど」

せっかく再会したのだから、その先があってもいいはずだ。
だからこれは口実のようなものだった。
清和を追いかけるための。

「それに、実はさ、その曲ってのはお前だけでなく
 アキラにも聴いてもらいたい曲なんだよな、どうだ?」

そして、男は不敵に笑った。
(-54) DT81 2021/08/21(Sat) 14:41:04

【秘】 貴方の隣に 宵闇 → ただいま 御山洗

>>-50

「お、やっと素直になったな」

そう、それでいいんだよ、なんて上から目線。
細身の男は背丈も体格も違うその腕の中にすっぽりと収まって
くすくすと機嫌がよさそうに笑う声が耳をくすぐる。
男は、嬉しかったのだ。本当に、嬉しかった。

あの時苦痛を堪えるようだった姿は
怯えるように男を無理やり遠ざける姿は
もう見なくてもいいのだと思うと肩の力も抜ける。

そうだ、彼に笑ってほしかったんだ。
この心が少しだけ満たされるような気分になる。

「ああ、待ってるよアキラ」

目を閉じて、広い胸に額を押し付ける。

「そしたらさ、また俺に好きだって言ってくれよ
 何度でも聞いてやるし、言ってやるし」

ゆっくりと話しもしたい。この先に想いを馳せる。

──だから夢が終わるまで、もう少しこのままで。
(-57) DT81 2021/08/21(Sat) 17:03:54

【置】 あの頃の 宵闇

すこし古ぼけてかすんでいる楽譜、かろうじて読めるくらいの。
まだ音楽への知識が浅い時にはじめて創作したもの。

その曲のタイトルは『再会』

あの頃の少年が細い指でギターをかき鳴らす。
──ふわりと、頬を風が撫ぜた

前奏、それはそよ風のように優雅に
爽やかな空気の流れるはずんだ音
雲ひとつない青空広がるすっきりとした空。

──僕らは繋がっている
──きっと同じ空を見上げている

間奏、転調、雨が降ったように、ぽつりぽつりと。
しっとりとした、音が紡がれる。
それは恵みの雨、悲しみを流す清らかな水だ

──晴れた夕焼け空にカラスが鳴く
──帰ろう、僕らの道へ

後奏、夜が訪れるように
宵闇は光へと続くしずかな夜だ。

──朝は必ずやってくる
──それまでは安らかな夢を
(L13) DT81 2021/08/21(Sat) 18:19:17
公開: 2021/08/21(Sat) 18:20:00

【置】 あの頃の 宵闇

 "未来"の宵闇 翔へ

 元気ですか? ちゃんとメシ食ってますか?
 彼女はできましたか? 夢は叶えましたか?

 俺は小さい頃、なんとなく母さんが喜んでくれるからって
 理由でピアノをやってたけど、今ではすごく楽しんでる。
 都会の音楽に触れられるようになったのはルカのおかげだし。
 俺もなにか夢を持ってみたいと思ったのはアキラのおかげだ。

 未来の俺はどうですか?
 もし、挫折してたりつまんねえなって思ってたら
 いっそ音楽なんてやめちまえばいいと思います。

 それもいやなら、一緒に入れた楽譜を見て思い出してくれ。
 これはアイツらには今はナイショだけど、曲をつくったんだ。
 練習もしたから今の俺は歌えるし、思い出すはずだ。
 まだうまくできないけど、未来の俺がアイツらと再会したら
 歌ってくれよな。絶対はずかしいと思うけど。
 
過去の宵闇 翔
(L14) DT81 2021/08/21(Sat) 18:21:01
公開: 2021/08/21(Sat) 18:25:00

【人】 音楽家 宵闇

ここにずっといたら取り戻せそうだった心があった。
今の自分にはなくて、過去に置いてきてしまったものがあった。
思い出せそうだった、すこしだけ思い出した。

それは『好き』という、身近にあって大事もの。
この村で培ってきたものが、音楽が好きだった。

男はきっと、この夢の事を一曲にするだろう。

ひとりの老人が、皆が愛した村。

──時数えの田舎村。
(39) DT81 2021/08/21(Sat) 20:55:31